2025/05/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 深夜の教会」にボスさんが現れました。
■ボス > 人気が感じられない教会の庭。
時刻は深夜ごろだろうか。周囲から聞こえるのは、虫か何かの鳴き声くらい。
庭は綺麗に草が刈られている。どの地区にあるかはともかく、この教会の管理人はしっかりと手入れをしているようだった。
そんな庭の端にこじんまりと設置されたベンチに、影のような男が佇んでいた。
黒いコート、黒い眼鏡、黒い手袋。
口に銜えた煙草の先端が燃える赤だけが、ここがモノクロの世界でないと証明している。
ふぅ、と紫煙を吐き出した後で、男は周囲をじっくりと見渡した。
「いい場所だ。ここにいる者の性根も良いのだろう」
その者は男を認識することができるかもしれない。その予感に自然と口許が綻んだ。
とはいえ、時間が時間だ。善き者なればこそ、もう眠りについているかもしれない。
吸い殻を取り出した携帯灰皿に納めると、ベンチに背を預けた。
■ボス > 繁華街から距離があるのか、墓場のように――敷地内には確かにあるが――静かだ。
黒眼鏡の奥で目を閉じたのは、他の感覚を研ぎ澄ませようとしているかのよう。
ふわりと肌を撫でる微風、葉が擦りあわせる音、雨の到来を感じさせる匂い……
男の口許は満足そうに歪んだ。
「ん……?」
近くを移動している存在を感知した。二足歩行、一体、大きさは……ゴブリンやオーガではなさそうだ。
足音を潜めようとしている。こうも静かなら、あえて音を立てようとするのは愚か者ぐらいだろう。
こちらに近づいているのか、ただ歩いているだけかはわからない。男は静かに、ただ待っていた。