2025/05/11 のログ
■れあ > 新しいお客さんのご案内役はまだまだ続く。
次にやってきたのは、既に多少酔っぱらっているような汚い男だった。
このお店は高級店ではないけれど、安酒を提供する場所でもない。
「あぁ?」とか言いながら店内を一望した彼を案内するのを躊躇していたら、「早く行けよ」、と後ろから支配人にお尻をつねられた。
お金を持ってなさそうな酔っ払いに、笑顔を向ける。
「ようこそいらっしゃいました。当店のシステムをご紹介しますね。こちらは、お客様と女性キャストの1対1で、お酒とお食事と会話を楽しんでいただく場所となっております」
いきなり仮面をつけた裸の女がやってきたことに、男はニタリと笑い、「へぇそうかい」とだけ答えた。
「ご注文いただいたドリンクを、こちらのテーブルに運んでくるキャストがお客様の相手をいたします。ですがお客様には、あらかじめ店内にいる女性キャストを──」
席まで誘導しつつ、先に立って歩いていたら遠慮なくお尻を触られる。それも、ぴしゃぴしゃと叩いてきてる。
「──指名していただくことも可能です。その時は、定められた指名料をお支払いいただくことになっております。よろしくおねがいいたします」
若干笑顔を引きつらせながら、そのオヤジを席に座らせ、オーダーを求める。
彼は「一番安い酒を」とか言ってヘラヘラと笑い、振り向いた私の尻をバチンと強めに叩いた。
「一番安い酒、だってさ」
厨房にソレを伝えると、そのグラスが私にそのまま渡された。
他の手が空いてるはずの女性キャスト達は見事なまでに気配を消していて、これは「あの金にならなそうな客にはお前がいけ」っていう意味に他ならない。
こめかみぴくぴくさせながらテーブルに戻ると、オヤジは「お前が俺の相手すんのか」とか言った後、早速私の腰に手を回して強く引き寄せ、身体を触り出して、臭い口を肌に這わせだす。
私がすかさず「軽いボディタッチと会話以外のサービスには追加料金がかかる」と説明したことで、彼は「金とんのかよ」とか言いながら顔を遠ざけて安酒をあおり出す。
その後は安酒の片手間に人の乳房を玩び、時に乳首を摘まんで乱暴に捻るなどの嫌がらせをしながら、「俺を誰だと思ってるんだ」とか息巻いて、「昔は町中の女にモテた」「猛牛を素手で殴り殺した」などの、まったく興味の湧かない武勇伝を延々と語り出す。
最後には、もはや愛想笑いも出来なくなってる私の身体を嗤った後で、その顔を見せろと仮面を引っ張りはじめ──用心棒役の男性キャストにつまみ出されていった。
これで私のお賃金は「安酒一杯代の1割」である。
(「安全に稼げるいい仕事がある」)あの馬鹿貴族が言ったセリフが、脳内でリフレインした。
「どこがじゃ…!」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 怪しい酒場」かられあさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に篝さんが現れました。