2025/04/13 のログ
:: [一覧へ] :: :: ::

ご案内:「設定自由部屋」にミレイさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」からミレイさんが去りました。
ご案内:「宿屋『マグメールの灯』」にミレイさんが現れました。
ミレイ >  
太陽が沈みはじめる時間。
王都マグメールの平民地区、冒険者の集う酒場は一番の賑わいを見せる。

冒険から帰ってきた者達が自慢げに戦果を謳い、
賑わいの中央では楽器を鳴らす者、踊りを楽しませる女が舞う
勿論喧騒から離れ静かに酒を嗜む者も。

そんな酒場のカウンターでミレイはまだ年端もいかない少年少女の話を笑顔で聞いていた。

「そう、そんなに大きなネズミが?
 この街の地下水路も広いものね。お手柄じゃない」

まだまだ冒険者としては小さな冒険。
それに成功を収めた…おそらく自分の息子とそう違わない年齢層の冒険者パーティー。
依頼の成功と思わぬ勲功に湧く少年少女を眩しく感じながら、食事にちょっとしたおまけを足したりなんかもしながら、わいわいと賑やかな喧騒を楽しむ。

実に普段通りの酒場の姿だった。

ご案内:「宿屋『マグメールの灯』」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 銀髪の男がふらりと賑わう酒場に入って来た。
奇妙なバンダナで額を覆っている以外、ジャケットにカーゴパンツとありふれた服装だ。
ゆったりと店内を眺める様は、この店を初めて訪れたことを物語っている。

だが、あるテーブルの空気が変わったことに女店主は気付くだろう。
あまり柄の良くない冒険者連中。彼等が出す感情はわかりやすい。警戒――そして撤退。
じゃら、とテーブル上に硬貨を置くと、ゆっくりと店を出て行った。普段滞在する時間の半分にも満たない。

銀髪の男はそんな動きに気が付く風でもなく、カウンターの空いている席を見つけると足元に肩掛け鞄を置いて腰掛ける。
店内にメニューはないかと見回し、まぁいいかと女将に向き直った。

「スタウト、なければエールを。あと……ナッツかチーズをつまみに」

先程女将が話していた駆け出し冒険者を一瞥すると、ふっと微笑む。
会話の内容は初々しさを感じさせるものだ。おそらくパーティーを結成して半年と経っていない。
思わず漏れた言葉は独り言だろうか。

「若いのが街に出てくると、春が来た……って感じるな」

ミレイ >  
こういった、お客さんの冒険譚を聞くのも、こんな仕事の醍醐味の一つ。
少年や少女の一団が新しい冒険に出かけてゆくのを見送る度、かつての自分の姿を重ねて思い出す。

楽しいことばかりでないのは当然のこと。
苦汁をなめることも、辛酸を味わうことも。
当然別れを経験することもあるだろうから──彼らが帰って休める場所で在り続ける。

「スライムに遭わなかったのは運が良かったわねえ…。
 知らない?最近ギルドのほうでそんな噂があって───」

さりげなく、今回遭遇しなかっただろう地下水路の危険なんかも伝えていると……。

ドアベルが鳴り、入ってきたのは余りこの店では馴染のない顔。
一部、雰囲気が揺らいだテーブルの者たちか彼を知っているのか、そそくさと店を出ていった。
──まぁ、札付きだろうとそうでなかろうと、店で暴れたりしないのであれば客は客。

「いらっしゃい、スタウトでいいのね?
 ナッツは燻製にしたばかりの良いのがあるわよ」

カウンターに座る見慣れない男にそう言葉を返しながら、手際よく注文を用意する。
さほど待たせることもなく、男の注文通りの品がカウンターへと出され……。

「そういう意味ならここ最近は春だらけね。
 若い子がたくさん来てくれるのはいいけど、心配も増えるってものだわ。
 そういうお客さんは、冒険者?」

この店だとあんまり見ない顔だけどと、つけくわえ、柔和な笑みを浮かべ問いかける。

ヴァン > 「いや……普段は平民地区で働いている。
冒険者は副業みたいなものかな。休みの日に日帰りや一泊二日で片付く依頼を受けるんだ。日曜大工ならぬ休日冒険者、ってやつさ」

だから彼等とはそうランクが違わない、と肩を竦めてみせる。
冒険者の昇級には様々な条件があり、その中には長期間拘束される依頼も含まれる。
見ない顔、と言われれば顎に手をあてて。

「そうだな……住んでいるのが、同じ平民地区でもお城を挟んだ反対側だからね。あまり馴染みがない。
今日はこのあたりに用事があってね。で、よさそうな店を見つけたから入ってみたんだ」

メニューを再度眺め、焼肉串を、と告げた後に、そう言えば、と思い出したように言う。
面白い話をしようとでもいうのか、少し表情が綻んでいる。

「心配も増える、ってのは? 社会に出たばかりの若者をカモにする悪い奴等がいるとか、そういうこと。
――あぁ、そうだ。騎士の決闘、って知ってるかい?」

ミレイ >  
「休みの日にまだ働こうなんて、働き者ね…。
 ああ…この街も広いものね…。ふふ、気に入ったらご贔屓にしてね」

追加の注文をもらえば、会話を続けつつ手慣れた様子で調理をはじめる。
魔力石を用いた簡易的な焼台はカウンターの裏から香ばしい香草の香りを客へと届け食欲を刺激する。

「若い子が冒険に勇み出て失敗する、なんて珍しい話でもないもの。
 もちろん、お客さんの言うような褒められない輩もいるけど、ね」

はいどうぞ、と注文の焼肉串の乗せられた白いお皿を差し出す。
良い焼け具合、良質の羊肉からは脂がとろりと落ち、故障と香草の香りがそれを引き立てている。

「騎士の決闘。勿論知識としては知ってるけれど‥・今はそうあることでもないでしょう?
 うちの旦那が生きてた頃でもそう聞いた話じゃなかったわ」

表情を緩めてするには、重い話。
僅か、怪訝な顔をしつつもそう答えて。

ヴァン > 「働くというか、身体を鈍らせないようにかな……。
立場が上になると、身体を動かす機会が減ってね……」

口ぶりから、デスクワークの管理職か何かだろう。商人も職人も、偉くなれば身体よりも頭を動かすことが増える。
そんな話をしながらスタウトを呷り、喉を潤わせた。仕事終わりの一杯は美味いのは季節を問わない。
燻製されたナッツを齧り、鼻に抜ける香りを楽しみながら相手の言葉に頷く。

「ちょっと背伸びした討伐依頼を受けた若手が戻ってこずに、救援依頼がギルドから出るのもこの季節か……。
あぁ、騎士が身内にいたのか。うーん……俺が言うのは、騎士同士の決闘、ではないんだ」

若い冒険者達が座っている丸テーブルはカウンターから近い。彼等は話を止めて、興味深そうに聞いている。
男はそれに気付いたのか、カウンターに半身を向けて女将・若者達のどちらにも声が伝わるように顔を巡らせた。
低いゆっくりとした声は吟遊詩人ほどではないが耳に残る。

「女将は旦那さんから聞いたことがあると思うが、騎士は法的に決闘が認められている。その制度を悪用する奴等がいるんだ。
決闘の相手は騎士に限られない。食いつめた連中は街道で通行人相手に決闘をふっかける。
山賊まがいの強盗騎士(ロバーナイト)街道強盗(ハイウェイマン)ってやつだな。とはいえ、王都のような場所ではそうもいかない」

街のチンピラのようなことを騎士がやるというのは意外かもしれないが、騎士もピンキリだ。
あまり街の外から出たことがなさそうな冒険者達の表情を見て、男は笑う。

ミレイ >  
「騎士の身分になっても食い詰めることなんてあるのかしら」

手元でグラスを拭きつつ、一つ一つを丁寧にカウンターの裏へと並べてゆく。
男の話に耳を傾け、相槌を打ちながら、

普段この場で聞く冒険譚やギルドの依頼なんかとはまた違った趣の話に首を傾げる。

「うちの息子も新米の王国騎士だけれど、
 懐事情が侘しいなんて話は聞かないわね」

そうだとしても、親には黙っているだけかもしれないけれど、と笑って

「なにか、よくない噂でもあるのかしら?」

男のそんな話題に、つい、そう問い返す。

ヴァン > 「騎士といっても色々ある。王国の騎士団や主教の修道騎士団は堅実だな。
地方領主に仕える場合、収入は平民に毛が生えた程度、支出はそれなり、と金回りが厳しい者もいる。
領地を失った貴族で、身分としては依然王国に仕える騎士ってこともあったな。
おぉ……親子揃って騎士なのか。お子さんは騎士になってどれくらい?」

王国は広い。近年悪化の傾向はあるものの、王都やその周辺の治安は良い方だ。辺境に行くにつれ、悲惨な場所もちらほらとある。
親には黙っているかもしれないけれど、という言葉には思わず笑った。
新米騎士という言葉に興味を惹かれて軽く聞く。一緒に聞いている冒険者達とさほど年は変わらないのだろうか。

「っと、話を戻そう。街道沿いならともかく、王都でそんなことをしたら衛兵がとんで来る。でも金が欲しい奴等はいる。
そういう奴等は訓練場で、騎士や冒険者に一緒に訓練しようと声をかけるんだ。
模擬戦を何回かやると相手の力量がわかってくるだろう? で、ちょっとした金を賭けて模擬戦をやろう、って提案をしてくる。
後は想像がつくかな。勝った負けたを繰り返す内に勝負にのめり込む。賭け金は上がり、悪党は隠していた実力を発揮して大金を奪う」

驚いた様子の冒険者達に笑いかける。そんな話をしてくる奴がいたらさっさと逃げなよ、と教訓めいて告げるとカウンターに向き直る。
冒険者達は感心したように頷いて、彼等だけで話を始めた。その背後の様子を聞いて穏やかに笑う。
男は最初に話した、『若者をカモにする連中』の一例を話したかったようだ。
少し時間が経った肉串に、確認するように口をつける。軽く数度頷くと肉を歯で挟んで串から外し始めた。猫舌らしい。
興味を惹かれる話だっただろうかと、カウンター内にいる女将へと視線を向けた。

ミレイ >  
「この街だと騎士様といえば王国の騎士だもの。
 そういう連中もいるのねえ。 ああ…うちのはまだまだ新米。成り上がったばかりよ」

小さく肩を竦めて見せながら、そう言葉を返す。
丁度そこのカウンターの子たちと同じくらい、と指し示せば、概ね15~16歳の若者ということが伝わるか。

「悪どいことを考えるものね。
 賭場で鴨を囲うのとやり口が一緒じゃない」

あんまり"騎士"の品位を落としてほしくないものね…。と。
亡くした夫、そしてそれを追うように王国の騎士となった息子を持つ見としてはまったく不甲斐のない話として聞こえたようだ。

「この酒場に来る子の中にはいずれは王国に登用されて騎士に…なんて、
 そう思って傭兵稼業に勤しんでる子もいるのよね。
 いい注意喚起になりそうなお話だわ」

ヴァン > 王国の騎士、という言葉には頷きつつも、口許には苦笑が混じる。
神殿騎士・聖堂騎士・修道騎士……主教絡みはマイナーな方だ。

「こんな陳腐な手口も、若い騎士や冒険者はよくひっかかる。彼等は面子を重んじるから被害に遭ったことを言わない。
悪党の情報は善人にはなかなか共有されず、犠牲者は増える……って寸法さ。
新人よりは、自信をつけてきた若手が一番危ないかな。あとは、正義感が強い、まさしく騎士、って子も」

右のこめかみに指をあてて、どんな者達が被害に遭っていたかを思い出すように特徴をいくつか伝えた。
注意喚起する上で、特に言って聞かせるべき相手が具体的に想像できる手助けをする。
何口かに分けてスタウトを飲み干し、おかわりを頼んだ。二杯目を受け取った後に、そうだ、と呟いた。

「ちょっと読んでほしいんだが、この中に見覚えのある単語はある? はいかいいえで教えてほしい」

懐から紙を取り出すと、さらさらと何かを書きつけてカウンターの上に置いた。
中には数人の人名。見覚えのない女性の名がいくつかある中に混じって、先程女将が口に出した人物の名がある。
しかし、会話の中で名前までは話していない。

ミレイ >  
「―――…あるわ。それが?」

紙に視線を落として、数秒の沈黙。
僅かに薄い紫の視線を細め、カウンターの男に向き直れば、そう答える。

──見慣れない顔がやってきた、割にはよく喋る。
それ自体は珍しくはないし、酒に酔って饒舌になる者もいる。

ただ、長年の勘もあり、ミレイはその男の言葉をほんの僅か、訝しんでいるようだった。

ヴァン > 背後の若者たちが自分たちの話で夢中になっている様子を一瞥する。
ここからは、本来あまり人のいる場所で話すものではない。

「若者は十分な金を持ってない。だから、悪党は借金をさせる。
回収が見込めない債権の証文は裏の市場で安く流れたりする。そういったものをいくつか俺は持っている」

男はスタウトを一定のペースで口にする。

「情報収集をするのも大切だからね。あぁ……申し出がない限り本人以外からは回収しないから、安心してほしい。
そういえば……ここは宿屋もやっているんだっけ? 部屋はまだ空いているかな?
酒場が落ち着いてから話ができれば、と思うんだが……」

口調は変わらず低く穏やかだ。断れば男は立ち去り、おそらく息子の所へと向かうだろう。

ミレイ >  
口を閉ざし、鼻から抜けるように深く息を吐く。
立ち去る男の背にかける言葉はない。何事もなかったかのようにミレイは通常の業務へと戻り──。

やがて酒場が看板をあげた、とっぷりとした夜。

二階の一室、元はミレイの私室であった部屋にて…再びその男と話をすることになるのだろう。

ご案内:「宿屋『マグメールの灯』」からミレイさんが去りました。
ご案内:「宿屋『マグメールの灯』」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「平民地区・広場」にアメリア・ストライデンさんが現れました。
アメリア・ストライデン > 日の高い時間の平民地区、通りに面した広場。
何軒かの露店やそれを目当てにやってくる暇を持て余した人、そういう人を相手にする大道芸人が芸をするその場。
それなりに人で込み合う中で露店で買った飲み物を片手に大道芸を眺める。

「偶にはこんな日も悪くはないかな」

日の高い時間は大抵は店の経営、もしくは冒険者としての活動を粉うことが多いので、ゆったりとした時間はあまりなく。
偶には何事にも時間や仕事に追われない時間は貴重なもの。
そんな時間をゆったりと過ごしては、上手いか下手か微妙なラインの大道芸を眺め。

「もうひと頑張りほしい所かもね」

そんな感想を口にしては飲み物を口に運び。
もう少し暇時間を満喫すれば帰ろうか、そんなことを考えてはゆっくりとした時間を過ごして。

アメリア・ストライデン > そうしてしばらくしてから広場を後にする。
ご案内:「平民地区・広場」からアメリア・ストライデンさんが去りました。