2024/11/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 狭間地区 大酒場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
王都マグメール 冬
白い吐息が当たり前になってきた。
日差しが強い日でも、寒いものは寒い。
激しい大雪こそまだ訪れていないものの、一部で見える雲纏う北の大山
そこの山頂はいつもの倍は白雪で覆われていたらしい。
王都へと戻っていたメイラ
まだ戦場にいた頃のようなピリッと肌が小さく弾けるような雰囲気が抜けきらない。
王都の外の出で立ちで使う、腰に備えた大小二刀
肩から羽織るだけで済ませた悪狼の毛皮。
メイラは今夜は一人ではなく、同じ相手に切先を向けた者ら
身分は様々な者らへ労いを兼ねて大酒場へ繰り出している。
平民地区では誰かが窮屈で 富裕地区ではこちら側が少し窮屈。
全員が行儀よくナイフと二本歯で切り分けて食べる世界が好きなわけじゃない。
故の狭間地区だった。
狭間地区の大酒場一階 酒場
今夜の全てはメイラの奢りである。
そう言われても調子づいて最高級の酒をとろうとするものはいない。
いつもよりも高い酒はもちろん頼むだろう。
肉串もシチューも、赤身であり具がたくさんはいったものを摂取できている。
「中年共、酒ばかり浴びていないで肉もお食べなさい。
いざ場となって、ガス欠ヒョロ助になったらわたくしが許しませんわよ。」
内臓を下手に故障させてはたまらないと。
メイラは半眼で美味そうにいつもより高い酒を飲む同輩らに、呆れ口を投げる。
メイラ本人はと言えば、野菜を摂取せず大振りに切り取られたリブ。
それが骨際からぎりぎりまで離されたものをギザ歯で噛みついて刺し込むことで
ブチンッと綺麗に剥がれた肉が咀嚼されていく。
脂も強めなせいか、口の中の脂と甘ったるさを流すように手に取る酒。
いつもより少し度数が高いそれを杯から グゥッ と呷り、苺色の舌先が唇をなめる。
貴族としてははしたない行為だったか。
■メイラ・ダンタリオ >
酒を飲み 食事を頬張り 全員が満たされていく。
削った心身が満ちていき、元の形を取り戻す。
欠けた牙 折れた爪 それらは修復されていく。
「―――陛下。」
ポツリと零す気持ち。
皆が屯し、時折メイラ自身にも声を掛けられ答え、全員が笑みを浮かべる。
群れは塊であり、塊は一つの大きな物質だ。
それは全ては あのお方 の為。
仲間が修復される喜び
その大きな塊で再び尽くすことができる歓び。
しかし陛下を思うたびにメイラは飢餓にも似た感覚が付きまとう。
この腹部に キュウッ と感じる切ない感じ。
あの悦びが訪れることはもうない。
ふと、仲間の幾人かから、へべれけになる前に娼婦を買って二階に上がるのが見え始める。
ここで使わずに入れた金で始まる出来事だ。
誰だってそうするだろう。
メイラは軽く手を振って、満ちた心身で再び楽しい疲労へと出かけていく仲間を見送る。
「よくもまぁ、ああも飲みながらできるものですわね。」
勃ちますの?
と他へ投げかける質問には全員の意見が賛否両論だ。
ド直球な貴族の問い メイラには今更なだろう明け透けな言葉。
誰も戸惑わずにやいのやいのとする光景を見ながら、中が橙色がかる柑橘酒を飲み干すと
酸味と度数が喉を駆け巡り、臓腑の形が明確にわかるくらいに染み渡る。
ご案内:「王都マグメール 狭間地区 大酒場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。