2024/10/27 のログ
ご案内:「オークション会場」にメレクさんが現れました。
■メレク > 奴隷市場都市バフートのオークション会場。
煌びやかな衣装を身に纏った小太りの中年貴族が会場の片隅からステージを見上げている。
奴隷商の元締めである彼は、今回も神聖都市ヤルダバオートの懇意とする修道会から調達した
元聖職者や信徒の奴隷を競りに掛けており、次々と値が付けられて落札する様子を見守る。
「ふむ、……もう少し値が付くかと思いましたが、高位の聖職者でもなければ物珍しがられる事もありませぬか」
大通りで行なわれているようなフリーマーケットの奴隷市とは異なり、
厳格な入場審査や高値の入場料が発生するこのオークションに出品されるのは
誰も彼も表立っては取引できないような曰くつきの商品ばかり。
マグメールの没落した王族や貴族、誘拐された富豪の娘やシェンヤンの外国人、
或いは、依頼人に騙された現役冒険者や、戦争捕虜となった騎士や魔族に至るまで。
そんな中で彼が準備してきた奴隷は、調教面では決して劣らぬも、既にありきたり感があるのは否めない。
「ふひっ、仕方ありませぬな。今後の課題という事で次回の仕入れの際には商談で相談しましょう。
今回は中々に出物が良いという事もありますからねェ……。」
合法とは言い難い奴隷売買が行なわれる中で、奴隷商の彼自身も時折目を見張る商品が出品される。
そのような状況下、きっぱりと意識を切り替えると売りではなくて、積極的に買い側にも参加するのであった。
ご案内:「オークション会場」にサヨさんが現れました。
■サヨ > 真剣にステージを見上げる貴族の側に佇む女が一人。
ぽーっとした表情でぼんやり佇む姿勢自体は地味ながら、纏っている異国の衣装のせいで客の視線をちらちらと集めてしまっている。
あまりにも奴隷売買の場に似合わないその姿に貴族の召使なのか、奴隷なのか、はたまた情婦なのかと好奇心を煽られる。
そう、誰ひとりとして女が護衛だとは思わない。
それはもしかしたら雇い主もそうなのかも知れない。
腕利きで口の固い護衛のプロ、と冒険者ギルドから紹介されたものの、いかんせん動きが上品と言えば聞こえはいいが、のんびりとしており会話もワンテンポ遅れる。
聞いていた雇い主の出品物が終わったものの、まだ席を立つ様子がない雇い主へとちらりと視線を向ける。
どうやらまだ留まるつもりらしいことを察すると再び視線を前へと戻し、身体の前で重ねていた左手がゆっくりと上がる。
それは雇い主の耳の横で握り拳を作って止まり、まるで雇い主を殴ろうとしたかのよう。
「……すみません、間違えました。」
のんびりとした甘い声。
上げていた左手を身体の前へと戻し、そっと手を開くとトンボが一匹勢いよく飛び出しどこかへと飛んでいった。
■メレク > 期待外れの価格にて落札された最後の出品奴隷に次いで壇上に上がったのは女冒険者。
勇者候補と持て囃されて魔王討伐の旅に赴くも、目当ての魔王は他のパーティに先に倒されて、
目的を果たせずに次の魔王を探していた所、援助をしていた貴族が失脚したという触れ込み。
司会者が来歴を語ると観客の中から失笑が零れ落ち、壇上の彼女が恥辱に顔を赤らめる。
「ふむ、悪くはないですねェ。では、……ん?」
オークション開始の合図と共に片手を挙げて競り値を示そうとした瞬間、
その手の動きを妨げるように右隣に立つ護衛の女性が左手が耳元へと伸ばされる。
まるで殴打するかのような動きを見せる彼女の挙動に怪訝そうに眉根を寄せて、
謝罪の言葉と共に開かれる掌から蜻蛉が飛んでいくのを見て取れば口端を緩め。
「……いいえ、お小夜さん。気にする事はありませんよ。
そう言えば、貴女も元勇者パーティという来歴でしたね。アレはお知合いですかな?」
私兵として取り立てるのか、或いは、性的な欲望の対象とされるのか。
好事家の貴族達に値が付けられていく壇上の女性に視線を投げながら隣りの彼女に問うて。
■サヨ > 雇い主の言葉に視線を壇上へと向ける。
そこに立っていたのは見知らぬ冒険者。
ぼーっと眺めながら聞いていて聞いていなかった司会者の言葉を脳内で再生する。
その境遇は自分達とよく似ていて……違いと言えば目的を果たしたか果たしていないかの差。
自分があの場に立っていないのは単なる債権者の気分がそうではなかったと言うだけの話だろう。
「……いえ、知りません。」
脳内で色々考え込んだせいで質問に返答したのはたっぷり10秒後。
ふるふるとゆっくり首を左右に振ると後れ毛がさらさらと柔らかそうに揺れる。
「……お殿様は……買いますか?」
ぽやんと自分と重なる冒険者の泣き顔を……否、調教の成果を見せつけるよう乳首を引っ張られて悦び鳴いてしまっている姿を眺めながら問いかける。
■メレク > 狭義における勇者とは魔王のカウンターパートであり、魔王討伐を果たせる者である。
壇上の彼女は飽く迄も候補であるが、謂わば、彼にとっては天敵のような存在に等しい。
その彼女を手許に置いて管理するのは保険としての意味合いもある事だろう。
「そうでしたか。……ふぅむ、今回は辞めておきましょう。
出遅れている間に随分と値上がりしてしまいましたからねェ」
候補とは言えども、稀少な勇者という存在に会場内は本日一番の盛り上がりを見せる。
紛れもない目玉商品であるので、金に糸目を付けないという者達もいるのだろう。
価格の高騰ぶりに、会場が温まり過ぎていると見て取れば、冷めた視線で壇上を仰ぎ、首を左右に振るい。
「……元、という事はお小夜さんも同じような境遇ですかな?
先程の話にあった失脚した貴族が援助していた中には、偉業を成し遂げた勇者にもいたとの事ですが」
壇上の彼女から興味を損なえば、代わりに隣りの護衛の女の素性に関心を移して、
勇者や冒険者に援助を惜しまず、私財を叩いた結果、政争に負けた貴族の一件を思い返しながら尋ね。
■サヨ > 「……そうですか。」
値上がりしたから買わない。
それはつまり、雇い主にとって端金程度の価値も彼女にはないと言う事。
人とは何だろうと思う。
人の生命を助けてもお金持ちの小遣い程度の価値もなく、端金の為にその身も尊厳も踏みにじられる。
月々一定額の借金を支払うことによりある程度の自由を許されている自分はまだましなほう。
仲間の魔法使いは今日もカジノで奥歯を噛み締めながらケツアナ掘られているだろうし、勇者に至っては所在すらもわからない。
どんどん値がつり上がっていくにつれて甘く蕩けた声を上げさせられる人助けのプロを眺めつつそんなことを考えると雇い主からすでに次の質問が投げかけられており……。
「……そうかも知れません。」
失脚した貴族の名は出なかったがそんなお人好しな貴族はそんなに多くはないだろう。
呟くように答えながら雇い主へと首を向け、何を考えているかわからないぽやっとした黒瞳で雇い主を見つめる。
■メレク > 北方から国境を侵して進軍してくる魔族。
それを統べる魔王を討伐できる存在は人類の希望の筈である。
だが、偉業を成した存在も、その候補である彼女も、支援してきた貴族も、
人類の都合で貶められて、強欲な者達の享楽に玩ばれる運命を辿る。
正に自分の首を自分で絞めている愚かな人々の様子を眺めると肩を小さく揺らして嗤い。
「――――どうでしょう、お小夜さん。
先程の冴えた腕前も含めて、壇上の彼女よりも貴女の方が気に入っております。」
競り合う二人の貴族達が相争い、最終的に老年の域に達した貴族が競り勝って壇上に上がる。
顔中に皴を刻み込んだ醜悪な老貴族は、それでも尚、衰えぬ好色ぶりを表情に浮かべながら、勇者候補の女に奴隷紋を刻み込む。
その光景に拍手が沸き起こる中、己を見詰める女の腰に手を回すと、その身体を抱き寄せて。
「貴女の借金を肩代わりする代わりに、私めに身請けされませんかな?」
着物姿の相手の腰から臀部へと緩やかな動きで掌を滑らせると臀部の丸みを撫でようとする。
■サヨ > 今、壇上で人を助ける為に命がけの戦いにその身を投じた女の人権が奪われた。
それをぽーっと眺める女の身体は雇い主の腕の中。
細身ながら猫のように柔らかな身体は雇い主の腕の中で特に強張りもせずに脱力して体重を預け――。
「……多分無理ですけど……ありがとうございます。」
雇い主の顔を間近でじっと見つめ、ほんの少し感情の籠もった甘い吐息混じりの声で耳を震わせる。
女の中ではこの雇い主は自分達の身を案じてくれる優しい人だと認識された。
だが、助けてもらうことが不可能であることも知っている。
魔王討伐した勇者パーティの所有権を持つ債権者は悪辣で強欲だった。
いざとなれば戦力にもなる金の卵を産む雌鳥を手放すつもりはなく、月々の返済額の上限はパーティ内で一番稼ぎが少ない人間が納めた金額と定められていた。
あくまでパーティ全体の連帯責任という名目であるのだが、勇者の所在が分からない以上、仲間達は告げられた上限額が本当に正しいのかわからない。
それが故に借金の元金はなかなか減らずにただただ搾取され続けるだけ。
もっとも利子を返すだけでもかなり苦しいのは事実だが。
「……お殿様はお優しいのですね。」
無垢なようで男の味を知っている身体は一ヶ月以上ぶりに身体にふれる男の大きな手の感触に自然と熱くなっていき、優しさに飢えた心が溶けていく。
■メレク > 壇上の勇者候補の彼女は、他の奴隷とは比較にならぬ程の金額で落札される。
勇者という存在は、そのネームバリューだけでも価値があり、
その効果は落札された『候補』や、隣りの『パーティ』にも波及する程である。
業突張りな債権者が彼女を手放すには、相応に骨が折れる事は間違いない。
「ふひっ、手を回すだけ、回しては見ますが、流石に利を知る輩であれば、
おいそれと手放しは致しませぬか……。」
魔王の彼にしてみれば、勇者候補も厄介な存在ではあるが、
既に魔王討伐を成し遂げた勇者の仲間と云うのは看過できない存在である。
何しろ、彼女とその仲間が手を取り合えば、自身が滅ぼされる恐れすら存在する。
都合よく勘違いした女がしなだれるように身を預けてくる様子に双眸を細め、頬肉を綻ばせ。
「ならば、少しでも早く借金が返せるように仕事を斡旋しましょう。屋敷の護衛が欲しかった所です。
それと、……主の伽役として閨での勤めは如何ですかな? 勿論、手当は弾みますぞ」
そのような提案をしながら湧き起る会場を尻目に席を立ち、護衛を伴なってその場を後にする。
滞在している奴隷市場都市でも有数の高級宿の部屋まで彼女を連れ込もうとして――――。
■サヨ > 「……助かります。」
割の良い仕事が助かるのは事実。
何かと容量の悪くて戦うことしか出来ない自分には安定して稼ぐことは難しい。
本当に優しい人だとぽやっとしたまま瞳を潤ませ、されるがままにお尻を撫でられ続ける。
「……閨は……その、下手くそですけど。」
初めては初恋の相手である勇者に捧げた。
しかし、その勇者には幼馴染である魔法使いがいる。
だから、身を引いて、色んな人に身体を預けたりもした。
だから、今更……。
壇上で落札されたばかりの女勇者が落札者の計らいで犬に犯され泣きじゃくる様を横目で見ながら優しい雇い主に身体を預けついていく。
その様子を見て周囲の客は思うのだ、やはり情婦だったか、と。
ご案内:「オークション会場」からメレクさんが去りました。
ご案内:「オークション会場」からサヨさんが去りました。