2024/10/09 のログ
ご案内:「王都郊外」からヘレナさんが去りました。
ご案内:「冒険者ギルド 酒場」にヴァーゲストさんが現れました。
ご案内:「冒険者ギルド 酒場」にドリィさんが現れました。
■ドリィ > 『ああ、都合のイイのがいるよ。丁度今、──…飲んでる。』
ダンジョンに潜ろうと思ってるのだが、腕の立つ同行者はいないか、と。
世間話ついで、ギルドのカウンターに肘を突きつつに女の持ち掛けた相談に、
ギルド員男性はそう告げて、顎を隣接する酒場へとしゃくってみせた。
「あら、即答なんて珍し。」
女は夕暮彩の双眸を、きょんと丸めてみせた。
面妖な男は御免だの、碌でも無いのを紹介してくれるなだの、散々申し上げている女へと
随分とアッサリ告げたものだと、それはそれで興味が湧く。
故に。此方もアッサリと、──…乗ってみたくなるもので。
「じゃあ、紹介して?」
昔は彼も腕利きの冒険者であったのだろう。腕の丸太程に太いギルド員と連れ立って
酒馨と肉煙漂う酒場へと足を踏み入れる。
酒場は雑然と、鬨の賑わいやパーティ連中でごった返している刻だ。
果たして彼の告げるは何れのことやら───。
■ヴァーゲスト > 男は賞金稼ぎである。
賞金を懸けられた魔物や人間、若しくは同族を狩る事を生業としている者で、今夜も寂しくなった財布を温める為
掲示板に貼られている手配書や討伐依頼を探しに来たのだが、………捕まった。
誰に?
治安維持を目的とした衛兵に?
それとも一晩相手にしたら病んでしまった娼婦に?
いやどちらでもない。
ここ冒険者ギルドに併設された酒場の主にである。
何時ぞや飲み食いしてツケにした分を返せと。
金が返せないなら働いて返せと今すぐにだと。
睨まれて詰められて「そんなに出禁にされたいか?」と凄まれると首を横に振れるわけがない。
冒険者ギルドには今夜の目的であって賞金首の照会や討伐依頼の受発注で世話になっている。
険悪な関係になる事に何一つメリットがない、多大なデメリットしかない。
そんなわけで酒場の主に押し付けられた仕事がこれ。
次に来た冒険者の仕事に同行せよ、と。
言い訳をするわけではないが賞金稼ぎなので、冒険には疎い。
サバイバル技能や生存に関しては問題はないが、罠などの搦手には滅法弱い。
だから皿でも洗うから許してくれと、散々妥協案を出したのだが、ダメ、だそうで。
賑やかな酒場の片隅の席に生ぬるいお酒が注がれたジョッキと共に押し込められていた。
幸か不幸か、待ちぼうけを食う前に声が掛かったようだ。
隻眼であるが良好な視界の片隅に、酒場の主人ではなくギルド職員の男の姿が映り、こちらと一瞬だけ目が合う。
ああ、つまり、仕事の時間だと
ため息を大きく吐き出して、適当に気怠そうにギルド員の男に手を振って合図を。
■ドリィ > 本日は実に気持ち好く晩酌に一杯引っ掛けた帰り、気紛れに立ち寄った格好である。
冒険者、と呼ぶには些か毛色の異なる女は、むさ苦しいギルドの酒場では目を惹いた。
既にできあがっているのだろう、赤ら顔の探索者の口笛を軽く片手振る愛想でいなして
その癖バーカウンターを通り過ぎざま、歩みを止めずにウインクひとつ、
ぱちんと指先が銅貨を置き去りに蒸留酒と肴をオーダーする手慣れっぷり。
それにしても──都合のイイとは如何なる者ぞ。
ギルド員曰く『好きに扱き使ってくれて構わない』とのことだ。
コレは負債か罰則か。何にしてもギルドが首に縄を括った相手なら女には丁度良い。
煙と喧噪に白む中、屈強なギルド員の背中越し、持ちあがった片手が見えた。
ひょいと覗き見るよに相手を窺えば───
「あら?」
僅かばかりの既視感は、その黒髪に宿る銅焔か。
それとも特徴的な隻眼か。
「あらあらあら?───… あーれーはぁー……」
兎に角にも女は、にぃーーっこり、と口角を弛め。
背後よりぴらぴらと片手を振った。
「ハァイ、いつかの奢りっぷりのイイお兄さん♡」
『…何だと?』などというギルド員のひと睨みというおまけ付きである。
■ヴァーゲスト > 誰かに命じられて行動するのは大嫌い。
誰かに首輪をつけられるのは特に嫌い。
報酬なしに誰かに従うなんぞ真っ平ごめん。
――…酒は不味いし、やりたくない仕事に本気で帰りてぇ。
と思うのはたぶん顔をあげるまで短い時間になる。
喧しい冒険者同士のどんちゃん騒ぎと、誰かが吸ってる煙草の煙を抜けて、顔も見たくないギルド職員と何時ぞやすれ違いになった顔が隻眼に移り、いやな顔と『おっ?』という顔を交互に浮かべた。
「よぉ!あんときのお嬢ちゃんじゃねぇか!
こんなところでどうした?……って、まあ、それとなく
アレだ想像はつくが……腕利きの賞金稼ぎがご入用かい?」
ギルド員の男を完全に隻眼の視界より外して、手を振り返すいつぞらの美人さんに向けて、気だるげではなくやる気のある振り方でひらっひらと手を振って見せ、口の片隅をニィと釣り上げて笑みを浮かべ返す。
あーこれは当たりだ間違いなく当たりだ。
しょんべんくさいガキの面倒でもむさ苦しい男との冒険でもない、これは当たり美人と一緒に楽しい楽しい稼ぎの予感だ。
一睨みくれたギルド職員に心の中で親指を下にさげて『くたばれ』と声に出さない気持ちだけの挨拶をするのは忘れない。
■ドリィ > 『知り合いか?』と問われれば、女は悪びれず答えよう。
「ちょっとだけね。この前、オイシイお酒を御馳走になったの」
払うものも払わずイイ度胸してるじゃねえかと如何にも言いたげな視線に
女なりに事情は察した。察しはするが──此処から先は此方の時間である。
「ありがと♡ もういいから、お仕事に戻ってネ」
人差し指ヒトツに弾いて渡す投げキッスに
苦虫噛み潰したギルド員を宥めて返し。
入れ違いに蒸留酒と杯2つ、小魚のオイル漬の皿とを店員が置いてゆけば。
女はこれまた手慣れた風情に酒瓶の弛められたコルク栓を抜き、
「御名答。今晩はお兄さんに、前金代わりにあたしが奢るから…
───ビジネスライクに、商談といきましょ?」
とぷとぷと杯に酒精を注ぎ、片方を彼に押して寄越しては、
己が杯を軽く目線の高さに掲げ。小頚傾いで微笑んだ。
「水棲馬の鬣酒、12年物だったかしら?──…再会に、乾杯♡」
■ヴァーゲスト > 知り合いかとギルド職員が問う言葉に対して、忘れもしないあの晩すれ違ってしまった美人さんの返答を聞いて、心の中でギルド職員に中指を立てるが、あくまでも心の中でだけだ。
いくら俺でも流石に冒険者ギルドに正面からケンカを売れないので、あくまでも心の中でだけだ。
と、美人さんが見せた投げキッスに思わず口笛を吹きかけたが堪えると、酒場のマスターの奢りより美味そうな蒸留酒の登場に口の隅を持ち上げて浮かべる笑みを深めてから、隻眼を女の方へと向け直す。
投げキッスをする仕草もいいが、コルクを抜く姿も悪くない、オイル漬けの魚よりも肴になるな、と邪な事を考えて、隻眼の視線をコルクを抜く手元へと、それから胸元へと移しかけたが、『商談』の一言に隻眼を彼女の夕暮色の瞳へと合わせた。
「類稀なる幸運と再会に乾杯。」と、まずは素直に己の手元に寄せられた蒸留酒の注がれた杯を遠慮なく受け入れ、杯を女と同じ高さまで上げて、軽く揺らして笑って見せて応える。
――…それから『商談』の内容を問う前に杯を傾け、口をつけるや否や、酒をぐいっと呷り飲み、喉が焼けるような酒特有の喉越しと、芳醇な香りを楽しみながら、空になった杯をコト、とテーブルへとおろして。
「……商談前に一つ言っておくけどよ。
腕ににゃ自信あり、罠や開錠は期待をすんな。
そんな男にアンタは何を求めて何を払うんだ?」
さて商談(ビジネス)である。
口の中から酒の味と香りが消える前に、少々その酒臭い息を吐きながら、まずは軽く出来ることと出来ないことを告げて、相手に対価と目的を問う。
本当なら好きな酒と3サイズと問いたいが、今はそのタイミングではない。
■ドリィ > 酒を呷り、女もぐいっと飲み干した。
魔物の鬣を漬けたそれは一口含めば味蕾に芳醇な辛さと電流じみた痺れが奔るのが堪らない。
ぷ、は。さも旨そうに厚ぼったい唇から息を抜いてから、
「罠や開錠はぁー……心配しなくてだいじょぉぶ。
腕に自信があってくれれば充分、それでオッケーよ」
一杯で終わりとは言わないだろうとばかり、男の杯に酒を注ぎ、己が杯も満たし。
そうしながら相手の風貌を眺め遣る。
鍛え抜かれた体躯、己より年上だろう男の年齢を考えるに経験浅ではないだろう。
腕もギルド員が勧めるとあっては事情はあれど御墨付き、共連れとするには最適だ。
「あぁ、勿論彼はああ言ってたけどー…報酬は損させないから安心して?
少し前に、ちょぉっと大金叩いて、楽しそうな地図を手に入れちゃったの。
こ、れ、なん、だけ、どぉーー………」
女は冊子状に連ねられた羊皮紙束を取り出し、ぺらと開く。
先日せしめた纏まった報酬で競り落とした、古の探索者の書き遺したちょっとイイ地図だ。
曰くありげの情報に投資するには中々の出費であったけども──…
その一角に記された稀少魔石の鉱床や開かずの宝物庫の類が気を惹いた。
ともあれ、女が綺麗な爪にて差し示す付近に没食子の墨で記された文字が不穏。
遭遇すれば面妖そうな魔物を印す文字がちらほらと。
「こ こ ま で───… 行きたいの。距離にすれば大したことないのだけど。
腕利きの賞金稼ぎさんは、美女とダンジョンで過ごす刺激的なお仕事に興味はあって?」