2024/06/08 のログ
フィリ > 「っぁ、ぁー、ぇーと。……ぇぇはぃ、そのー……はっ。
決してそぅぃったつもりは――っ…ごほん、ぁくまで環境に対する、形質の獲得とぃ、ぃぃますかっ、でして… っ。
…その。そのぉ、ぉ話は――どぅか。特にぉ母様等には、内密で…嫌ぃなのは、ぇぇと、私だけではなぃ…と、思われますので。

それは、責任重大、です。…ぉ二方の舌に合ぅ、ぉやつ。…本日ぉ持ちした中に有ると良ぃのですが。
は、ぃ、笠木様の見立てと、仕立てと、でぁれば。其処は安心とぃぅ物です、ので」

其方の意味合い…については。本当に想像していなかったのだ。折からトラップ解除の件も有り、環境的な魔力形質にばかり意識が行っていた。
が――確かに。子が産まれるには、親の存在が不可欠である。個性云々ではなく、血の濃さ…という物は間違いなく、自分達に順当に現れている。
特に先祖返りで魔の素養を含んだ、直ぐ上の双子辺りが顕著だろうか。
ともあれ。有る意味掛け合わせの血統を考えるにも似た、その手の話題に。半分はノーコメント、もう半分は掌を振り抑えて、と。
トゥルネソルの母というと、まぁ、愛が多いようでいて――本当に、一つ一つ全てが愛なので。ご立腹しかねないと。

小動物。齧歯類。本来どれ程人に馴染むのか。餌を暮れる相手に馴れるのか。
ただ、此方の二匹に関してはもう、本来の範疇を超えた明確な知性…人ではなくとも、人格の持ち主なのだろうし。
そうであるなら、それこそ…姿形がどれだけ違えど、一介の個として。見なすのが当然だろう。
後正直な所。戦ったりしたらきっと、負ける。いや手段を問わず魔鎚から竜詞から使えば別だとしても。単純な運動神経等なら絶対敵わない。
その辺が彼等から見て、本来の一番弟子との最大の差異――な筈。
尤も、地を駆け空を舞う野生動物に、その足だけで追い着ける人間というのは、それこそある程度鍛えた者なのだろうから。順当と言えば順当か。

かの一番弟子が届けてくれた物に加え。此処に入る前少女が所持していた菓子類にも。彼等に提供出来る物が…と思案しつつ。
それはそれとして、人間に対してのご進物。四分の三は人間たる少女にも、さぞ楽しめる物となる事だろう……というか。
今更ながら、件の刀匠たる存在が。人間なのか、それ以外の種族なのか。其処等辺り未だ聞いていないのだが。

「流石に其処まで行ってしまうと出来過ぎ…とぃぃますか、それこそ、物の本でぉ目に掛かる類…とぃぅ事で。はぃ。
ただ、現在どうなのかは別として。侵入者に備ぇる意思の存在だけは確か――なよぅで。
もしかすると先程の小鬼、も。…侵入者扱ぃされて、此処から先には進めなかった…のでしょぅか。

……ぅぅ。ぁまり、宜しくなぃ趣味だと、思われ……ます。先程の彼等に――とか。それも、物の噂にぁりますが。
仮にも宗教施設だった場所に、そのよぅな仕掛けが、後付けされたりとぃぅのは。罰当たりも甚だしいと思われまして…っ。

は、っそぅ――そぅなので、す、そうした所なのですから――っ。
どぅか遠足の中には含まなぃでぃただけますと、有難ぃ訳で…し、て……っ。ぇ、ぇー…と、はぃ……」

もう一つ序でに。其処まで演出に拘り物語を紡がせたいのなら。逐一此方に目を光らせている筈だ。
それこそうっかり想定外を起こされない為に、リアルタイムであれこれ裏からの操作を計ってくるだろう。
先程の戦闘にだって。…仮に小鬼達に”捉えて云々”等させて愉しむなら。そういう痕跡も有っただろうし。
というか、そんなお楽しみも無く餌も乏しく、出入りも困難であろうこの場所に。魔物だって好き好んで長居したがるかどうか。
寧ろ入ったは良いが出られなくなった、という方がよっぽど有りそうだ。

つまる所。現実的に考えると――犯人の、黒幕の演出は。裏でやる事が多すぎて割に合わないのである。
そんな諸々を度外視出来るだけの酔狂な御仁というのもまた。やはり現実ではなかなかお目に掛かれないのだろう。
もし居るのなら…それはそれで。少女も遭ってみたいと思う。
但し此方はついつい興味本位で話を聞こうとしてしまい。余計な危機に足を突っ込みかねないのだが。

さてさて。こんな場所で、という話題の転換を図った所で。また一つ、掘った墓穴に片足を突っ込んだ気がする。
帰るまでが遠足である、と。先程も口にしてみせたが。裏を返すとそれは――では、帰った後ならどうなのか、という事だ。
…これもまた。無事帰れたら云々の構築になるのかもしれない。というか、男女のアレコレという代物自体立派にフラグの一つである。
世の中深夜の危険な場所で事に及ぼうとして。悪霊だの殺人鬼だのの犠牲になる男女、という物語のお約束が。どれだけ溢れている事か。

「む、む――それも確かに。
…この辺りぉ店とぃった感も有りますし……その当時の術式が、ずっと残っていた可能性も……
だとしたら少々。勿体なぃ事をしてしまった…のですが。

それにしても…寧ろ、見張ってぉくには最適の場所。なのでしょぅか。少なくとも、それこそ飛べない限り――確実に。此処を通ると思われまして」

魔術という物も、流行廃りが存在する。術であり式であり…要するに書き上げたり組み上げたりするそれ等だって、使用言語含め時代によって変化する。
仮に、身体的なダメージが危ぶまれるような物でなく。それこそ目や耳だけであったなら。貴重な過去の資料の一つとして置いておきたかった。
勿論…そんな可能性も有ったというだけなので。今現在の安全と天秤に掛ければ、仕方なかったと納得するが。

そうして歩き出した回廊は。立地も有って確かに風が強く。それこそ先程から裾を押さえっぱなしである。
吹きっ晒しの左右を建物が塞ぎ、身を隠すような場所も殆ど無い。真っ直ぐに寺院を目指すしかない其処は――守りには適していただろう。
では、誰から何の為に守っていたのか、という辺りに。色々な思惑を感じもするが。

そんな中どうやら。比較的マトモな形で残った建物の中にまた一つ。宝箱と呼べる品物が見つかるようだ。
其方へ向かう彼の後を追い、背中越しで覗き込むようにして…

フィリ > 「――ん…先程より。更に良ぃ、箱、なのです。…出来れば資料として残したく――  っぁ。どぅやら、良かった…」

小鬼達が拝借していたそれに比べ。店舗の財産、として存在していたのだろう分。いかにも宝箱、といった装飾も見受けられる容れ物だ。
それなりの調度品としての価値をついつい見てしまいつつ…お陰で。壊す必要なく、スムーズに開くその様子に。一安心。

さてさて入っていた中身はどうやら。これまた、それなり…プラスある程度、といった感の有る杯だ。
商店を思わす建物からして。上得意の客を迎える時にだけ用いるような、逸品と呼ぶべき品物だったのかもしれない――家でも、そういうのは有るし。と。

もう一つ収められていたのは、像。これまた年代の古さを思わせる石造りの、但し――此処で祀られていた神でもなく、まして今現在の主神でもなく。

「………、 …竜、ですか…? ――…私が言ぅのも難ですが……ご神体にするよぅな物では、なぃと思われ……?」

つい首を傾げてしまった。それは――何処からどう見ても、典型的な、竜、である。
石を彫ったと思えない程細かく、蜥蜴状の鱗や角のねじくれまで見て取れる辺り。これにもそこそこ以上の価値は付けられそうだが…
後生大事に仕舞っておくべき物、とは思えなかった。芸術品、商品、として。店頭の目立つ所にでも置いてある方が似合っている。

……この辺りに。こうやって竜を崇めるような習わしは無かったと思う。そも、昔はもっと……ヒトから危険視されていた、筈だ。
お陰で疑問符を次から次に浮かべつつ…ちょいと、指を伸ばし、偶像へ触れてみんと。

影時 > 「――ははは、まぁ、安心してくれ。こんな話は雇い主殿にも出来るかね。
 その手の話には覚えがあってな。その、なんだ。正直俺も好かん。

 おっと、そこは俺はあンまり心配してねぇとも。
 押さえるところ押さえておけば、極端に甘かったり辛くなけりゃァ大丈夫だろう。
 頭と身体、使うところは違えども、疲労回復に甘い奴が効くのは何処も変わりはないからなぁ……」
 
その手の考え方、かけ合わせに思い至るのも、何のことはない。“覚えがある”からだ。
忍びの者は多様だが、極端な分別の仕方がある。身体を改造しているか否かだ。
そして、身体を改造していないものには細かな分け方がある。異能、突然変異的に獲得した資質がある等々。
希少性の高い特異性を遺し、または別の特異性と掛け合わせて、高めたいとなると……どうなるか。
その際、アイも何も無い人間のかけ合わせが行われてしまうのも、実によくある事例だった。
感情を捨てたはず、感情なぞないものと思わがちな忍者にとて、情はある。――我ながら嫌なコトを思い出したもんだ。
口元を覆面のように覆う襟巻を引き上げつつ、嘆息の仕草を隠す。
嫌な記憶がある事柄を雇い主たちに対し、積極的に宣う理由なぞ、内心をどれだけ探しても何処にもない。

――話題を変えよう。

息を継ぎ、返す言葉は少々強引だが、子分たち二匹の嗜好は話題転換に供するのに丁度良かった。
喋れはしないが、人語を解し、簡単な道具を使えるだけの知性がある彼らはどちらも雑食だ。
だいたい植物由来のものを食べるが、昆虫の類も食べる。
人間と同じ味付け、過剰な甘辛さを避けるなら、お気に召すものはきっと持参の品やお弁当の中にもあるに違いない。
例えば、最近はチーズの欠片も気に入っていただろうか。
知己の鍛冶師はどうだかは分からないが、少なくとも甘い物を厭う人間はそうは多くない――筈で。

「……その可能性はあるな。若しかしたら、小鬼を忌避する魔法仕掛けも何処かに彫り込まれてたのかもしれん。
 だが、どっちかと云やぁ、この場は色々と風当たりが強い説を俺は推したいね?
 大昔は兎も角、今はこンな有様だと、諸々手を入れて整えねぇとおちおち安心して眠れやしねぇ。
 小鬼にそういう機微があるという話は、これっぽっちも聞いたことがない。
 
 俺たちにとっちゃぁ悪趣味でも、仕掛けた奴らにとっては高尚であった……なんて考えると、あれだな。
 つくづく価値観の相違というコトバの意味を感じずにはいられねェや。
 聖なる場所であった処であったとしても、気にもしないのは信心がない以前の問題と思うな、って、それを言うと俺もか」
 
分かった分かった、と。墓穴に片足を突っ込む有様に楽しげに肩を揺らし、ひょいと両手を振り上げてみせる。
事に及ぶ気はなくとも、引きずり過ぎるのは油断大敵過ぎる。慢心が過ぎる。
それは悪趣味の産物から成った、悪辣非道の迷宮の中ではないから、とも言いうる。
小鬼たちが今見る風が荒ぶ処まで入ってこないのは、大仰な仕掛けや対策より、住環境を求めるには過酷過ぎる状態からだろう。
何より、修繕をして使うという知能、概念が行き届いている様子もない点も強い。そう考える。

「術式の原本、魔術書でも残ってたらイイなぁ。
 ……向こうに本殿だかナンだかはある恐れがあるが、見通しが良いのは確かだ。あとは……」
 
飛行可能な魔物、妖怪変化の類が大挙しない限りは、意外と守りに適している見立ては出来る。
本陣と出来る本殿から見て、大きく広がった所がこの遺構、遺跡の群れにはない。
山の峰を削り、繰り抜いたおかげで少しくねったところはあっても、おおよそは一本道ともいえる。
そんな一本道の片隅、割合形状を留めた建物がもともと何の店かは伺い知れない。若しかしたら詰め所、集会場だったのかもしれない。そんな処を探して見つけるのは、

影時 > 「……持ち帰りたい分については俺は止めねえが、ちゃんと鞄に収まるかね。まぁ、収まらねえなら俺の方を使えば良いか」

見つけた箱、チェストは懸念していたような迷宮式のトラップボックスではない。ミミックの類でもない。
奇麗にして補修を加えれば調度品、売り物にも出来るクオリティが十二分にある。
そんな箱の中身は一応厳重に保護、保管しておきたかった――のだろうか。
中身の一つ、ゴブレット自体は悪くないが、どちらかと言えば普段使いよりも史料とすべき類だろう。問題はその片方。

「いや、若しかしなくともフィリ。
 ……――ご神体だったのかもしれねぇぞ?本当に信心を託すべき相手が竜だったのかもしれん」
 
竜を掘った小さな石造、偶像。そう呼べるようなものを弄び、しげしげと眺めて触れようとする手に示す。
触れる手にはきっと石特有の冷たさが変えるだろう。だが、一瞬。微かに目のような部位が光ったような気がするのは、気のせいか。
気のせいのような感覚に瞼を瞬かせれば、ちょいちょいと。肩上のシマリスが己が頬を突くように触れる。
どうした?と。そう言いつつ、視界を巡らせれば奥に何かが見える。

――灰色の石壁に描かれた絵のような、壁画のようなものが見える。
素朴なタッチ、顔料の使い方は王都の画家たちからすれば非常に稚拙だが、翼を広げる緑色の何かに祈り、供物をささげる人らしき姿がある。
風雨に洗われ、削られてもなお識別には困らない。自分たちには翼あるものが直ぐに連想できる。竜であるのだ、と。

フィリ > 【継続いたします】
ご案内:「山窟寺院跡」からフィリさんが去りました。
ご案内:「山窟寺院跡」から影時さんが去りました。
ご案内:「辺境の領主の館」にメレクさんが現れました。
メレク > 王都から離れた辺境の地。
魔族領と隣接するその土地を治める領主の館で夜会が催されていた。
控えめに照明を落とした薄暗いホールには管弦楽団による艶やかな音楽が鳴り響き、
華やかなドレスで着飾った男女が肌が触れ合う程に身体を近付け、会話や舞踏に興じている。
そして、灯りの届かぬ会場の隅からは男女の熱い吐息や嬌声が、音楽の途切れる合間に漏れ聞こえてくる。
彼等は皆、一様に仮面を付けており、己の素性が何者であるのかを分からなくしていた。

表向きにはやんごとなき者達の社交の場である不埒な夜会。
だが、その実、この屋敷で行なわれているのはただの乱痴気パーティではなかった。
王国貴族と魔王、二つの顔を持ち合わせ、人界と魔界の各々にて隣り合わせる領土を有する大領主。
そんな彼が莫大な富と権威をちらつかせて集めた客達には人間、魔族、双方が存在した。
しかも、認識阻害の魔法の影響で来客の殆どは仮面の内側の正体が何れであるのかを知らずに接している。

結果、羽目を外した教会の司教が淫魔の女王とまぐわい、精を搾り尽くされて、
魔軍を率いる勇猛な将軍が、擬似陰茎を身に着けた人族の姫君に尻穴を掘られて嗚咽を漏らす。
普段であれば敵対する人間と魔族が、仲良く揃って快楽に翻弄されて堕落する様を、
会場中央の壁際にて二人掛けのソファに腰掛けた夜会の主は愉快そうに眺めて嗤うのであった。

ご案内:「辺境の領主の館」からメレクさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──さーて、今日もブブイーンと張り切ってやりますか、ねぇッ……と」

その中の一室に腕をグリングリンと回しながらやってきたのは作務衣姿の金髪の男。
知り合いからの依頼という形で臨時のマッサージ師としてやってきている冒険者、という立場は今も変わらないのだが、
もうすっかりここの一員として馴染んでしまっていた。
そんな自分に時折疑問を持たないでもないが、男自身としてもなんやかんやこの仕事は
気に入っているのでまあいいか、とあまり深く考えないことにしたのだった。

「今日はどんなお客が来るかねぇ……」

ともかく、男は施術台の傍のスツールに腰掛け、腕組みしながら客待ちを始める。
出入り口のカーテンが開かれ客が現れるか、あるいは魔導機械の通信機を通して客室への
出張依頼が来るか。
いずれかの訪れが、今日の男の仕事の開始の合図となるのだろう。
もしかしたら、受付を経ずに紛れ込んで来てしまうような珍客が現れる、なんてこともあるかもしれないが。