2024/06/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 狭間地区 酒場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 風がほぼ無い状態の夜
 この時期の、こんな夜は厄介だ。
 雨を降らせる雲が中々移動してくれず、この月日の時期を感じさせる。
 外では強く叩きつけない代わりに、強弱は有れど静かに雨続き。
 降りが止んだからと外に出て、ずぶ濡れになった者はそれなりにいるだろう。
 ―――が、今晩だけは都合が好い。

 雨の夜、狭間地区というはっきりしない治安の中に建てられた酒場
 学院のような身分混合クラスという物を表現するためのものとは違い、此処では互いの身分
 それらが同じ店 同じ席 で注文した者に口をつけられる。

 メイラのような、どこの地区でも気にせず顔を出しそうな一人歩きが珍しく雨の中顔を出し
 そして“群れている”のが、この都合に含まれていた。
 酒場の一角 甘みを感じるラム酒で満ちた杯に口をつけている面々。
 メイラと同じく先日のタナールで剣の切っ先を並べた者ら
 ベテラから懐の寂しい若い者まで、さまざまにいる。

 メイラは、常に先陣で斬りこむような気概を見せているせいか
 それと同じようにその空間にいた者ら 未だメイラに付いてくる者を含め
 者々にラムを振る舞い、好きに酔わせている。
 下手に品がない暴れ方でもしない限りは、好きに酒が飲めてストレスが発散できているだろう。
 こんな雨の夜にこんな狭間まで出歩いてきて呑んでいる面子など、訳アリか物好きだ。

 適度に物を口に入れ、海沿いの国にはよく合うラムを飲み干して、全員不満げにてしていない。
 そんな様子を、夏服姿で眺めながらメイラもまた、平等に扱うように珍しくラムを口にしている。
 普段よりも度数がわかりやすい、海兵海賊も好む海の酒。
 喉を焼き頬に熱を宿すそれは、白いギザ歯を開けば、向こうに ゴブリ ゴブリ と
 容易く喉を鳴らして消えていった。
 底辺冒険者らが毎日帰ってきては一杯だけ飲んで出ていく一番安い酒よりも、よほど上等ではあるだろう。


   「―――ハァ 体が暑くなるのが欠点ですわね。
    雨で外が冷えていて丁度良かったですわ。」


 蒸し暑いジメッとした夜とは違うせいで、メイラも不快感は無い様子。
 奢る役目以外は適度に群れの中で呑み、適度に一人で夜の雨冷えの風を浴びるメイラ。
 今は壁際の一角で窓辺を開けながら、雨の向こうから冷えた風を独り占めしている様子。
 

ご案内:「王都マグメール 狭間地区 酒場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。