2024/06/01 のログ
フィリ > 「はぃ。職も違ぅ、種も違ぅ、差異が出るのも当然とぃぅものでして――…寧ろ其処は。個々人ですら違ぅのだと。思われ、ます。
…等しく人竜でぁれ、はぃ。私とラファルちゃん様だって、まるで違ぅ訳ですし…教わっても、出来なぃ事。有るのは仕方なぃのかと。

……ちょっかぃ。どぅぃった事が。ぉ気に召さなぃのでしょぅか。…食事の邪魔、とか?
実際その。動物、摂食中が一番無防備になるとぃぃますし――其処で何やら、手を出される、のは。気になるかも、で。

は――ぃ。其処につきましては、納得なので、す。…私自身、何と言ぃますか…世間一般より。拘るタチだと思われます、ので。
そんな所で、フィーリング?に、近ぃ部分が見出せれば……ぇぇと。話のタネと言ぃますか、切っ掛けと言ぃますか。なるなら、良いな…と。
只そぅぃったのは本当に、人心につぃて――完全に、話術、の方ですので。……はぃ。やはりぉ母様頼りになるのかと」

出来る事と出来無い事が有るのは当然。飛ぶ鳥は泳げないし、泳ぐ魚は飛べないのが世の摂理。
その上で…本来出来ない事を、技術で補うも良し。出来る者を頼るも良し。単純に「出来無いから無理」で終わらせさえしなければ。それで良い筈だ。
――人間以上に。どうやら竜というのは、個体毎にも大きく違うらしい。親しい属性だとかもそれぞれにバラバラだ。
二人の叔母、それぞれが別個に、出来る事を持っているが。それが少女に、もしくは彼に出来るとは限らないのである。
それでも――近しい術は見出せるかもしれない。勿論、彼女達二人に、力を振るって貰う流れを作っても良い。
代替案を考える、というのも。今の内から出来る、学びの一つと言えるだろう。

――出来る事、になるかは未だ判らないが。そうした他者を動かす力。他者と繋がる力。それ等は立派な「力」である。
それが会話から、言葉から、生じるのだから。言の葉に力や魂が宿るというのは。強ち大袈裟な話ではないという所。
此処に関しては矢張り彼の言う雇い主。少女にとっての、母。…会話の切っ掛け一つすら考え込む少女にとっては。さぞ学ぶ事も多いのだろう。

勿論。言葉さえ足りれば、それで万事解決するという訳ではない。中には言葉を介さぬコミュニケーションだって有るだろう…例えば。二匹の先輩だとか。
向こうはきちんと人語を理解してくれているものの。悲しいかな齧歯類の喉に発話機能は宿らないらしい。
彼方の理解力に任せきりでなく、此方からも理解を進めたいのなら。矢張りあれこれ試していかざるを得ないのだろう。
…もし、その中で。今まで毛皮やら喉やら耳やら尻尾やら。もふりもふもふと撫で過ぎてきたきらいが有ったなら。今の内に謝っておかないと…いつか。
彼以外でも噛まれた事が有る人物、という。大変不名誉な称号を得てしまう…のかもしれない。要反省だ。

「ぅ。其処は、まぁ――その。確かに。 …今の内から、終わった後の話ばかり重ねてぃますと。所謂、フラグという物みたぃ――です、し。
そぅですね…願わくば。山一帯深く、拡がってぃるとは。出来れば考ぇたくない物、なのですが。

――……遭難……は。大自然のあれこれは。流石に始末に負ぇなぃ、と思われまして。
考ぇてみると、時間が経てば経つ程――…それこそ。日が落ちてしまったら。先ず山を下りるのも危険なのでしょぅか…ぅぅ」

御褒美に釣られ過ぎて、「この冒険が終わったら…」などと洒落込むのは。確かに止した方が良さそうだ。
先程触れたように、仮に言霊という奴が本当に存在するのなら。古来より連綿と繰り返されてきた言い回しにだって。怨念めいた運命力が宿っていそうではないか。
良からぬ事を口にした。そう言いたげに、一度人差し指で自分の唇を抑えてから…さて。
改めて奥へと歩み始めたのなら。幸い勾配は上方向へ向いており。この侭際限無く広大な地下へと拡がっていく…という事はなさそうだ。
尤も山の中を巡っているというだけでも、広さとしては充分な物になりかねないので。努々油断するべきではないか。
加えて山というロケーションは。地中だけでなく地表だって、充分に危険な自然環境である。例え熟達した冒険者の引率が有っても、緊張を忘れてはならない程に。

日が暮れたら無理に下山を強行せず。朝まで留まった方が良いのかもしれない。
…時間の流れという物は。流石に、人であれ竜であれ、それ以上の存在達であれ。どうにも出来なさそうなので。
祈る、というのも。やむを得ないのかもしれず。

「また思い出しましたら。その際にでも、はぃ。 ――……矢張り、その。人の知らない何処か、から。
そうすると当然私達が入って来たのと、逆方向となるのでしょぅけれど」

少なくとも。複雑な枝分かれ等は見受けられない、一本道だ。
思えば洞窟と称しているものの――鍾乳洞等ではない。嘗て人の手で掘られた人口の空洞であり、恐らく通路。
何処かへ向かう為の代物であったなら。目的地たり得る場所が存在していても、何ら不思議ではないのである。

――果たして光の向こうに覗いたそれは。
此処までの道行き同様掘られ、削られた、だが地中ではなく山肌を突き抜けた――路。
往時には建物として機能していたのだろうが、今は無人の。或いは破損した、石造りが幾つも残ったその向こうにも…どうやら。
嘗て此処を歩いた者達にとっての目的地となったのだろう、再度山中へ潜る入口が有るようだ。
ざっと遠目でその建物を…作りを。装飾を伺ってみる。この山脈で他にも残る、この文明の建物であるのなら。
宗教施設なのか。住居なのか。それ以外なのか、位は。当たりを付ける事が出来るかもしれないから。

が、そうして前へ前へ意識が向いていたからこそ。
足元不如意であったし、それこそ目にも留まらぬ相手を、悟り得るなど丸きり不可能だったのだが。

「………、っ!! ………!!!」

ばんばん。太古には敬虔な修行僧が、手ずから祈りと共に掘り進めたのだろう岸壁が。少女の照れ隠しめいた掌で叩かれまくる。
幸いにして悲鳴は言葉にならず、終いには声にすらならなくなって。無為な大破壊は回避され――彼がちゃんと背を向けてくれたので。
其方に類が及ぶ事も無かったし。序でに言うなら、襟に隠れた先輩達が。彼を囓る事もなく済んだのだろう。

ごそごそと衣擦れらしき音がして。其処から、深呼吸二往復分程度の間を置いてから――やっと。もう大丈夫、と少女の声音。
彼が此方を振り向くのなら…まぁ、少女は未だに肩で息をしているし、頬が熱いし、何ならちょっとばかり涙目かもしれないが。
それでも、再び歩き出す程度なら支障はないだろう。どうやら――未だ理由ははっきりしないが。少なくともこの先、次に洞窟へと入るまで。
生きた何かの気配という物は、まるで感じられなかったから。

「 っ、と、……取り敢えず分かり、ました…っ… ……小鬼は兎も角。 翼でも有れば、幾らでも入って来られそぅなので――す…っ」

例えば。風に親しむ竜へと変じる、誰かさんだとか。

影時 > 「ヒトで違うのは勿論そうなンだが、竜も竜でこうも違ってンのも……俺の目から見ても嗚呼。摩訶不思議が過ぎる位だ。
 雇い主殿にラファル、でー、竜胆お嬢様と。親は同じと聞いてンのに、見事に違ってるとなりゃぁな。
 
 ……こいつらの嫌なことねぇ。食事もそうだが、構い過ぎるのは嫌だろうなあ。
 遊びに飽きたよぅな素振り見せてる時に、手ェ出すと。かぷっとされンぞ?
 
 そのこだわりは多分、あれかね。――形から入らなきゃなンねぇというような感覚にも似てそうだ。
 何だろうなあ。下手に商談やら政治みてぇな話より、思うに、だ。友達、知り合いを作るトコから始めた方が良いかもしれねぇか。
 胸襟を開いて話すと云う言い回しは、知ってるだろう?
 茶飲み友達とか、読書仲間とか、何気ない話で笑い合うのは、下手に仰々しいハナシよりずっと誰かの懐に入れるように思うなぁ」
 
己は風に乗る手管は使えても竜のように飛べない。水に浮くことは出来ても、魚のようにはなれない。
忍術で真似が出来る点は幾つか見つかるだろうが、違う別種の生き物になれる、というものではない。
俺とお前は違う。あなたとわたしは違う。相互の差異を認識するのは、如何にして近づけるという方法論の手がかりになる。
努力で補えるのか。努力のカバー範囲外なら、道具または魔法で可能なのか。思い馳せることは原動力(チカラ)たりうる。
とはいえ、難しく考えることが万事良いとも限らない、とも男は思う。

――思えば、まだまだお前らについて知らねぇことも多いもんだ。

そう思いつつ、襟巻の上から潜っている二匹をぽんと軽く撫でる。
呼んだでやんすか、とばかりに頭を出す毛玉たちの頭を指の腹でわしゃわしゃとして、嫌そうな素振りを見せたら離す。
機嫌が悪くなったら、ヒマワリの種を始め、ナッツ類を与えれば落ち着くらしいが、与えすぎもいけない。
大きく欠伸をする気配を肩上に聞きつつ、思う限りのアドバイスを送ろう。
取り敢えず、現状で今共に旅する少女のコミュニケーションは毛玉たちについては十分問題ない範囲であろう。

「……そーだな。オヤクソクというものが仮に起っちまったら、最早その時はその時としか俺も言いようがない。
 迷宮という奴も、そのつもりが無かったのに見つかってしまうという“けぇす”も多いらしくてなー……。
 
 概ねその認識も間違いじゃない。そもそも、暗くなったら安全を確保して寝るというのは、云わば本能のようなもんだ。
 俺は夜間行軍に慣れてるが、そうじゃねぇ誰かをそうさせるのは本意じゃねえよ」
 
おおっと。迂闊すぎる言葉を言い放ち続けることは、止めておこう。
向こうの仕草に剣指に揃えた人差し指と中指で己も唇を押さえ、足元を見る。足元すぐ下に迷宮が潜んでいる可能性がない、とは云えない。
そんな万一にも似た可能性を拭い去る意味でも、この調査を完遂させることは大変重要だ。
そうした探索完了後、即時帰還を果たすというのは今のペースを思うと最適な選択肢ではないだろう。
いざとなれば、自分の雑嚢を使うと、トゥルネソル邸の庭先に秘匿された倉庫の入口へと直通で移動は出来る。緊急用も兼ねたショートカットだ。
けれど、経験を踏ませる面で思うなら、過保護過ぎるのも良いことではない。野営だってまた、経験の一つだ。

「か、或いは誰かが召喚などした、とかか。此れを遣るのは迷宮の支配者のような手合いの仕業だがー……あー」

峰の天辺から少し下がった中腹よりやや上を円筒状に削ったそれの縁は、魔物が攀じ登るのを抑止するオーバーハングでもある。
猿のように登攀力に優れた生き物なら違うかもしれないが、小鬼の手合いが登山に長けているとは寡聞にして知らない。
最早参道に続く順路、のように見えてきた洞窟以外から侵入するなら、例えば巨大な猛禽に掴まって飛んでくる以外の手段があるのだろうか?
少々調査または確認が必要、かもしれない。今の時点で間違いない事項は一つ。翼持つ竜は容易く侵入できてしまうということが、証明された。、

「……――ははは、それはほんっ、とうになぁ。おいヒテン、スクナ。御飯はちょっとお預けだ。
 先に念のため、手ぇうつか。フィリ、落ち着いたら槌で前方の地面を叩いてくれ。進行方向の大地から魔力を奪うつもりで、な?」
 
良い音がしている。風雨で表面が洗われ、風化しているとはいえ、堅固な岩壁が何度も叩かれていい音がしている。
竜詩になる直前か手前か。破壊が生じる前に背中を向けたのは、正しい判断に違いない。
中身を見てみても良かったのだが、そうしたら巻き添えになるのが嫌な二匹が実力行使に出たこと、疑いないことだろう。
大丈夫、と聞こえれば一先ず、竜のデリバリーよろしく運ばれていた弁当箱を丁寧な手つきで拾い、抱え上げながら一つ依頼を頼もう。

――少女の所有物である魔槌は、神秘的な素材故に叩いた対象から魔力を吸い上げる。
地面を叩けば、大地から魔力を吸い上げ、吸収できる。
もし仮に周囲に魔法的な仕掛けがあるなら、何も対策をされていない限り、その一打のみで霧散、解除されてしまう。
忍者の言葉通りに地面を叩けば、若しかしたら聞こえるかもしれない。遺構の壁、床から爆ぜるような解呪音が幾つか連続するのが。

フィリ > 【継続いたします】
ご案内:「山窟寺院跡」からフィリさんが去りました。
ご案内:「山窟寺院跡」から影時さんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にフィリさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」からフィリさんが去りました。