2024/04/29 のログ
ご案内:「王城 サロン」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 城内 応接間
 洋館にあるような、主の席と向かい合う客のソファが二台
 そんな小さくまとまった場所とは違い広く取られた場所。
 本来は、主や代表者が招いた客らと、談話や政治的な話を行えるような規模。
 席は点々と存在し、今は小さくまとまりながらいくつもの群れが話ができてしまうように見える。

 しかし、此処は今は無人。
 稽古や轡を並べる者 メイラが数少なく目上という扱いをする者
 それらを除き、王以外は あの御方以外は、皆平等という縦社会を覆すメイラの精神性は
 数多の貴族から畏怖と忌避を以って反応される。

 当のメイラは気にしていない。
 黒い衣 黒く放りだした長い髪 赤い瞳 白いネクタイ
 いつもの姿のまま、サロン内の一つの席
 テーブルに二刀を並べ、鞘から抜いた一刀ずつを手入れしていた。

 王城に備わっているものなのか、置いている私物か。
 一式揃えられている品に抜かりはなく、打ち粉を刀身に対し塗していく。
 触れる先で丸く粉が塗されるのなら、それが半円ずつ重なるかのように。
 厚く塗すようなことはなく、全身にそれを纏わせるだけ。

 反りがややキツイ、全身から異様な空気を纏う愛刀。
 対象を斬り続けた血と脂が浮きにくくなった、纏う油を取り除くための粉で今は刃文が見えにくい。
 圧もやや弱まっているように見える中を、二つ折りにさせた紙が下からゆっくりと挟みこまれていく。
 白く塗されていた刀身が、下から本当の色を出現させ、悪くなった油が拭われた真っ新な姿。
 それを眺め、赤い瞳は細まる。


   「…、…お前は不思議ですわね。 あの男(クシフォス)を斬ろうと思わない。」

 
 斬れるかと言われれば斬れると思うものの、やはり戦場で抜く刃ではないと思っている。
 だから未だ戦場で刀を抜く機会は無い。
 油を塗布し再び纏う刃 また幾つもの体を臓腑を貫いて、尚血糊を振るうだけで掃ってしまえるのだろう。
 鞘の中へと納め、パチンッと納まる音は髪の整いを終えて肩の力を抜いた夫人のように空気は緩やか。
 飢えも悦びも見せず、ただ手入れを受け入れている気配がする。
  
 

ご案内:「王城 サロン」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
各個室は廊下に面しているため、稀に受付を経ていない誰かも紛れ込むこともあるようだが、それはさておいて。
現れたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。

エレイ > ともかく、男は客を迎え入れ。カーテンは再び閉ざされて──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。