2024/04/05 のログ
ご案内:「城塞都市アスピダ周辺 山間部」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
場所 城塞都市アスピダ周辺
時刻 雨上がりの午後
天候 灰色雲で覆われた一面
メイラにとって敵対する勢に対し、足を止めるようなことは珍しかった。
人狼や吸血鬼には銀杭を以って制圧し
悪魔には聖油を纏う剣で貫き人間が足掻いてきた。
なら魔族には身を混ぜ変えることで殺し続けてきたメイラの血筋は
似た者同士と成り苛烈であればあるほど苛烈に変わっていく姿がどうしようもなく鬱陶しかった。
相手取ることはできても、その先を行くことを数度行えばそれをまた相手も行う。
無限に続くような剣撃の果てを誰も望まない。
終わらせる為に先をいこうとしているのに、それについていこうとするそれを
況してや造り物の木偶人形に、誰が心を燃やせるというのか。
簡単には倒せない相手として造られている目の前の相手が自分自身にされていくことが何よりも嫌だった。
破壊するという一点に於いて、メイラはもはや魔族以上にエイコーンに対しての衝動は高まっている。
「―――…、…。」
鎧の内側 剥き出しにした腕から注入されていく混合色の液体。
混ざりきらないマーブル模様を描く薬剤は細身の金属筒の中で満たされ
その先に延びる直伸の針が脈に斜めに差し込まれると、メイラの体の中
体温よりも冷たいなにかが流し込まれていく。
親指で緩やかに押し込んだ筒先の押し込み。
最後まで押し込み終わったところで、メイラは己の体が、鎧の高揚作用という微バフと重なり合い
撚り力が満ちることを自覚する。
「体だけで駄目なら、“ダンタリオ”ですもの。
方法なら、“幾つ”かありますわよ。」
熱い吐息が、ごふぅ、と白いギザ歯の内側から零れる。
空気が冷たい 雨あがりの空は先日と違って、とても冷たかった。
■メイラ・ダンタリオ >
躰を強く作り替えた血筋なればこそ、体が耐えきれると踏んでいるからこそできる
古式ゆかしい強化方法は、此れも正しい。
ドーピング 強者が嫌うようなやり方は、強者という材料で出来上がったメイラからしてみれば
なにも関係がないかのように、躊躇いは無かった。
全身を覆う黒真銀の甲冑
長い髪が尾を持ち上げるように起き上がった、一周する三つ編み
結ばれた頭部に異形の女型兜を被ることで、バチンッと上部の開閉を閉じれば乱杭歯が外側に反りかえる
女型の三つ目跡が残る貌が出現する。
巨剣型の、本来は槍の穂であったそれの増築柄を握り締め、メイラは々轡を並べる者々ら
それらと共に、傭兵とエイコーンが混ざり合う勢へと突撃を介したのはそれから直ぐだった。
互いの勢がぶつかり合う中で、メイラは先陣を穿つ者同士、巨剣擬きのその愛剣
傭兵らの中で向かってくる者らの胴 それらを三度 右へ左へ右へ 振うことで
上にはじけ飛ぶ上三身と千切れブレる肉筒 赤が周囲に振りまかれると同時に、鎧が筋肉膨張
軋みを上げ、兜から篭って放たれる、乱杭歯の薄い開口部から聞こえた声は、声ではなかかった。
「―――ヴォ■■■■■ァァ■■ァァッッッ!!」
傭兵らは、眼中にないように先奔る。
目の前の黒づくめの鎧に対し、認識をあらかじめ持つ者らは避けか
高い金を見込んで襲うかの二択でしかないままに、貫かれ、切断されていくまま
普段よりもより、足は真銀であるといっても軽く飛び、エイコーンに狙いを定めた。
脳内を締める生成麻薬分泌が冷たくしながら、体は熱い。
兜越しに見える視界は冴えわたるままに、エイコーンの2mの巨椀と撃ち合う一打。
古代鍛鉄物の巨剣擬きは、一撃目で“たたら”を踏ませる。
学ぶまでの隙が、エイコーンの弱点ながら、一撃ではどうしようもできないから
ずるずるといつまでも終らない啜り合いをする羽目になる強靭な体躯。
眼の前の狂人が、それを凌駕する一撃を与えんと、注いだのが先の薬物投与だった。
■メイラ・ダンタリオ >
素体を強くし、己を磨いて、何もかも捧げるかのような狂信性
先王に対しての精一杯の成果の献上と国が続く何かを続けること
それを真っ向から、全て呑み散らかすような目の前の駄物と繰り広げる。
6割の力で制圧し10の成果を出せそうな普段とは違い。
目の前の相手は10の力を8の力か9の力で迫ってきて、11の力で潰そうとすれば10の力になろうとして。
それは対峙する者以外に誰にも手が付けられないかのような目にあって、最後には息切れし
11の力を前にして4以下の力にしかなれないような脆弱となって押しつぶされる。
このままこれがずっと続けばいいのに なんていう戦いはまやかし 幻想 クソの成れの果て。
硬くて太くて重いものが、何度も互いに当たる衝撃音が響く。
片足の脛位置をまるで殴りつけるかのような巨剣擬きの一打で、ドーピングも相まって浮かせ転倒させるのなら
その背すじではなく関節部位に対し、アナクロとも取れそうな連続化させた最上段振りの連打。
死ね、死ね、死ね、と叫び続けて敵兵を殺す新兵がしそうなそれを、最も破壊力のある一撃を連発して見舞う姿。
起き上がる前に、四肢も首も、動けないように破壊してやるとする巨剣擬きの一打。
古代鍛鉄製の、通常の芯鋼とは違う過去の異物による材料勝負は。
「―――くだ けろォッッ!!」
脚に狙いを定め、何度も起き上がりを阻止した上での膝裏側の狙い。
土魔術による落とし穴や丈夫な鎖での転倒、束縛
いくつも考えられそうな戦術を放り投げて行うエイコーンに対する憎悪は凄まじかった。
疲労を知らないかのような薬物と呪物による相乗は、斬り飛ばすことは叶わなくても半分以上を抉り
二足歩行ができないようにさせた結果だけが目の前にある。
「ふ゛ん゛ッッッ!!」
そして起き上がれないのならと、両腕を伸ばしてこようとする上半身野郎に対し
頭部や肩口から横薙ぎに一撃を加え、転倒させる。
少なくとも脅威レベルはかなり下がっただろう。
その応酬の果てを見て、周囲は士気を上げ、邪魔さえされなければと傭兵らに
襲い掛かるそれは凄まじい。 次のエイコーンが現れるまで続くだろう狂宴だった。
■メイラ・ダンタリオ >
前に何度も何度も煩っていた アスピダに入らせろ病 などと口づけていた病なんてずっとマシだ
いずれ滅ぼせると確信できるからこそ起こる病だった。
エイコーンが出てきてからは、あの内側で何かが起こっていると思う前にエイコーンを始末することだけが
今のメイラのその混ざり具合が極上なメイラにとっての本懐でもあった。
気にせずこそりと潜り込み、何度も凶事を眼にする者がいたとしても
メイラはただ全身で制圧していくしかできない。
目の前のエイコーン 魔導機械 という得体の知れない何かを破壊するための一撃を何度も出し終えると
其処には未だ稼働停止できないままただ外側を動けない程度にされたデカブツが転がっているだけ。
「ゼッ ゼッ ぜっ ゼェッ」
息切れが凄まじい。
躰の湧き上がる力に対し内臓が追い付いていない。
脳内が軽くボウっとしながらも、未だ動かせるのは酸素吸収が恐ろしく高まっているのか。
ぐるんっと兜越し 赤い瞳のような額側の紅玉が睨むと悲鳴が聞こえる。
怯えと震えの懐かしい悲鳴が。
「―――死ね。」
それだけ言って、再び山間部を駆け上がり始める
足場が足されながら、目の前の傭兵らと繰り広げる場所へと
巨剣の切っ先を浮かせて飛び込んでいく姿に、周囲は狂気に触れて狂気を伝染させ
同じく狂気に浸かっていく。
エイコーンに比べればどうということはないという、見比べと錯覚と苦しみからの解放
戦場は今だけ、珍しく加速した。
ご案内:「城塞都市アスピダ周辺 山間部」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
ご案内:「城塞都市アスピダ周辺 山間部」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。