2024/03/02 のログ
ケイオスギャラリー > 広いと言われれば広いかも。
狭いと言われたら詫びの言葉もない。
平民地区にひっそりと存在する骨董品店。

客は入店した何もかも。
冒険者であれ、貴族であれ、貧民地区の住人であったもだ。
人間でもミレー族でも不死者でも、人型で対話可能であれば誰であれだ。

店内にはそんな客相手に薦める品の数々が展示されている。
通常の半分くらいの大きさの女神像に手のひらサイズのガーゴイル、真っ黒に塗りつぶされた絵画に大鏡、珍しいところではビキニ鎧に両手剣などの武具まである。

その奥には店主が頬杖をついて暇そうにしている。
全身を怪しげな外套で身を包み、露出しているのは煙草を咥えている口元だけ、店内にはそんな店主の咥えている煙草のようなものの香りが広がっていて――ひどく甘ったるい香りがするだろう。

さて、今宵はどんな素材が届くのだろうか。
今宵はどんな美術品が選ばれるのだろうか。
酒の肴か、甘味の代わりか、どんな顔でどんな声で、楽しませてくれるだろうか。
唯一外部に露出している口元を柔らかな笑みの形に歪め、その時が訪れるのをのんびりと待っている。

平民地区にある骨董品店『』。
窓からはあたたかな光がこぼれている。
その明かりはまるで通りかかる者を誘い招く誘蛾灯が如く。

ケイオスギャラリー > 客が素材が来なければ店主はつまらなそうにため息を吐く。
吐けば吸っている煙草のような何かの甘い香りが広がる。

――…こうして店の明かりは消えて
扉にかかったOPENの看板は裏返るのだ。

ご案内:「骨董品店『』」からケイオスギャラリーさんが去りました。