2024/02/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 路地裏」にメアリさんが現れました。
メアリ > 王都平民地区の路地裏、にぎわう大通りから外れたその場所で女は壁に寄りかかりながら顔を伏せて座り込んでいる。
気配を消してぴくりとも動かないその様は、見る人が見ればまるで座りながら息絶えた死体のようだと感じるかもしれない。

日の当たらない路地裏は昼間であっても薄暗く、まるで木々が鬱蒼と生い茂っている森の中のよう。
そんな場所故に滅多に人が通ることもない。人気もなく閑散としていて、夜であれば薄気味悪さも感じられるかもしれない。

そこから果実の香りとも花の香りとも似たような、何とも言い難い魅惑的な甘い香りがふわりと漂う。

それは魔の者、もしくは魔族の血をその身に持つ者のみが感じられる特殊な香りで、一度嗅いでしまえば
問答無用で好奇心を刺激し匂いの元へ誘導する効果を持つ。
しかしそこまで強力な作用を持つかといえばそういうわけでもなく、ある程度の精神力を持つ者ならば
匂いを嗅ごうとも誘導に抗う事は可能であって。

もし匂いに誘導され路地裏に足を踏み入れてしまえば最後、仕掛けていた拘束魔法が自動的に発動し
罠を踏んだ対象者に魔力で出来た鎖が巻き付き、その者を捕縛する仕組みだ。

しかしその捕縛用の魔道具は引っかかった対象が目的の獲物かどうか判別できるような優れものではなく
踏んだだけで誰彼構わず発動してしまうものであって、もし偶然にも迷い込んだ人間が罠を踏んでしまっても
魔道具に捕縛されてしまうことだろう。
だからこそ、あえてこんな人気のない場所に居るわけなのだが……

ご案内:「王都マグメール 路地裏」に肉檻さんが現れました。
肉檻 > 日中にもかかわらず薄暗く人気の無い路地裏の一角。
やがて其処へ近付いて来る気配と、仕掛けられた罠が発動する手応えが女の元へ伝わるだろう。

魔法の鎖に拘束され苦悶の声を上げる人物が目当てとしていた対象の特徴と合致するか如何かは判らないが、
外套のフードを目深に被った男とも女とも判らぬその相手が日の差す世界の住人では無いであろう事は明らかだった。
不意に、その人物の懐から零れ落ちたのは握り拳程度の大きさをした真球の透き通った水晶玉。
カツンと硬い音を立てて地面へと落ち、そのままコロコロと転がり女の視界に入る其れは何処か妖しげな煌めきを放っていた。

メアリ > 死体、もとい女は気配を感じ取り、ぴくりと動いた。
顔を上げ、仕掛けていた罠に誰かが掛かったことを感じ取ると、その獲物を確かめるべく立ち上がり
ゆったりとした足取りで苦悶の声を上げる者の元へ歩み寄る。

「あぁ、やっとかかってくれました。さて、お仕事しますかぁ……」

どこか眠たげにあくびを浮かべて口元を抑えながら語る。
ふと、硬い音が耳に入る。自ずと視線の先は音の元であろう、転がる球体へと向けられ

「……ん?なんでしょう、これ。綺麗な石ですねぇ」

宝石やその類に興味はなかったが、妖しくきらめくその石に珍しく興味が向いて、好奇心が擽られるがまま手を伸ばす。
片手でひょいと手に取れば、手の上で転がしながら薄暗い中でも煌めきをみせるそれを見つめて

肉檻 > 拘束から抜け出そうと足掻く人物を他所に、眠たげな欠伸混じりに路地裏の隅から立ち上がる女。
だが捕縛した相手から足元の水晶玉へと興味が映り、其方へと手を伸ばし拾い上げた瞬間。

突如、硬質な手触りを持った筈の其れがぐにゃりと輪郭を歪め、
まるで丸めた布のように大きく広がると、女の全身を包み込むように捕らえてしまおうと蠢いて。

メアリ > 唯の石だと完全に油断していた。

ぐにゃりと輪郭を歪め始めてからワンテンポ遅れて危険を察知し、急いで手放そうとするも時すでに遅く
布のように大きく広がったそれに包み込まれ、成す術なく捉えられてしまって……

ご案内:「王都マグメール 路地裏」からメアリさんが去りました。
肉檻 > 女を飲み込んだ其れは、何事も無かったかのように元の水晶玉へと形を戻しては再び地面へと落ち。
やがて拘束から抜け出した人影がフードの下でほくそ笑むように口元を歪めると、
拾い上げた其れを懐に収め路地裏の彼方へと去って行くのだった。

ご案内:「王都マグメール 路地裏」から肉檻さんが去りました。