2023/12/10 のログ
アドラー > 「はは、まさか虫も食べるのか!?かなりの雑食だな!」

命のやり取りにおいて、仲間と肩を並べて笑顔を見せたのは久しぶりだ。
彼女には自由に、大雑把に派手に動いてもらって、こちらが取りこぼしを処理するのが良い。

「細かな取りこぼしは気にせず、君は派手に暴れてくれ!」

自身の得意なスタイル、戦い方を押し付ける方法は最も強い。
彼女が目立って派手に戦うことによって、こちらへの注意がそれて動きやすくもなる。

良い連携だ。

ニヤリと笑いながら、そう考える。

「もし親玉が女王蟻なら、そちらを仕留めたら兵士は勝手に瓦解する。
 …ふっ、行くぞ!」

蟻の生態として女王蟻を失った場合、その社会性は崩壊する。
即物的なものではないが、ともあれ無理に兵士たちを倒す必要はない。

彼女の緩くも力の入った言葉に頷きながら、邪魔をする蟻たちを処理して前へ進んでいく――――


「―――ここで一旦、区切りか」

敵陣を突破し、真っすぐと進んでいくと静寂が訪れる。
何匹か追ってきた個体も居たが大体の個体は混乱と狂騒の中で自分たちを見失い、騒ぎが収まればその場に佇むだろう。

巣の序盤の一本道を通過し終えると、青白く光るキノコが群生するエリアへと差し掛かる。
キノコが光源となり周囲を照らし、洞窟の暗闇の中でも視界が確保される。
光球に割いていた魔力を遮断して消し去ると、周囲を見渡して、一息つく。

ノーマ >  
「まあ、そりゃねー。一通りは食べるよ。
 うまいやつはうまいし、他のヒトが食べても美味しいんじゃないかね」

悪食じゃない、とでも主張したいのだろうか。
そんな軽口を叩く……意外と、本気かもしれない。

「そう、させて、もらう! こっちの、方が、楽、だし、ね!
 こーろせー!」

なんとも物騒かつのんびりした鬨の声をあげて、女は武器を振り回す。
なるほど、相棒、相方。仲間がいるというのは、たしかに……イイ。
心中、そんなことを考えながら。
一方で、蟻を蹴散らしていく。

「よーっし、と……うん?」

駆け抜けた先は、やや開けた部屋。
そこには光るキノコが群生し……やってきたものを出迎えた。

「……区切りっちゃあ、区切り、かあ……後ろから追っかけてこなくなったし。
 それにしても、キノコ、か。毒とかでは……ない?
 キノコを餌にする蟻もいるっていうし、そっちなのかなー?
 まさか、明かりってわけでもないと思うんだけど……」

女は物珍しそうに周りを見る。
出した鈍器はまだ引きずられているので、戦闘態勢自体は解けてはいない。

「それにしても、アドラーってやっぱ器用だねえ。 
 魔法は使うわ、連中もスパスパ切っちゃうしさ。結構修行とかしたの?」

気を抜いたわけでもないのだろうが、一区切りで息抜きの会話のように軽い質問をする。

アドラー > 虫を食べるという行為そのものは別に何とも思わない。
栄養食として出している地域もある。
でもこれか…と倒したモンスターをジト目で見て

物騒な言葉遣いをする彼女に口角を上げながら、敵の一帯を抜けてたどり着いた場所。
蟻を切り裂いて付いた体液を露払いし、片方のナイフをしまう。
そして生えているキノコを触って、その種類を確かめると…

「地域によって呼び名は変わるが…一般的にヒカリキノコと呼ばれている物かもしれない。

 ここは高温多湿で生育する環境としては最適なのだろう。
 発光しているのはキノコそのものがマナ、魔力を生成しているからだ。
 この色なら…口にしても平気だぞ」

懐から小さな手帳を取り出し、パラパラとそれを捲り、とあるページにたどり着く。
そこには目の前に生えているキノコについての情報が記載されており、イラストと実物を見比べる。
紫色や桃色は注意が必要。実はポーションの材料にもなったりする菌糸だそうだ。

「お褒めいただきありがとう。君の豪快な戦い方も見ていて痛快だ。

 ほかの冒険者と組むという機会が中々無かったからな。自分が他人と比べてどれだけ研鑽をしているかなんてわからないな。
 ただ、生き残るための努力は、惜しまなかったと自負している。」

ナイフの切れ味、ポーションの残数を確認しながら回答する。
以前は二人で旅をしていたが、それ以降、彼女と出会うまでは一人で依頼をこなしていた。
他人と共に修行などもっての外だ。

「…分かれ道だ。どちらに行けばいいと思う?」

しばらく進んでいくと、眼前には分かれ道。
右に行くか左に行くか。正解は自分でもわからず、彼女の嗅覚に頼ろうと思って。

ノーマ >  
鈍器といえど。いや、鈍器だからこそ体液の類は当然のようにべっとりとつく。
小綺麗にナイフの手入れをする男とは対象的に、女は汚れを放置したまま解説を聞く。

「へぇ……マナ、魔力……かあ……」

しげしげと、光るキノコを見つめる。
確かに、こんな光を放っているのであればそういうことがあっておかしくはない。

ふむ、と軽く考える仕草をしてから迷わず1つをむしってそのまま齧った。

「んー……確かに、なんかそんな感じ?」

むしゃむしゃと咀嚼しながら、謎の感想を漏らす。

「そう? まあうちも誰かと組むとかしてこなかったから、その辺よくわかんないけどさー。
 大雑把なことしてるのだけはわかってる。
 それにしても、そっかあ。アドラーも、ねえ……小器用な方だと思ったけどねえ」

そういえば、以前にアドラーから友人のことは断片的に聞いた。
おそらくは、他人と組んでいたのはその人物くらいだったのではないだろうか。

そこまで付き合いが長いわけでもないが、今まででわかっている人当たりだったりを考えれば。
彼と組みたいという人物は少なくなかったのではなかろうか。では、なぜ組んだ相手が少ないのか。
多分なにか、そこにこだわりというか、悩みというか、迷いのようなものがあるんだろうな、ということは察せられた。
そういう困りごとを割り切れない、というのは女には理解できない部分であった。

「え、うち? まあ、いいけど……んんー」

そうこうしているうちに次の試練。といってもただの分かれ道なのだが。
ただ、その先行きを任されたとなれば話は別だ。
少々真面目ぶって両方の道の先を探る。

「……正直、どっちもどっちっていう感じはする、かなあ。あんまりいい感じはしない。
 ただ、うーん……あえていうんだったら、右のほうが、よりめんどくさそうって感じがする……かな?」

右と左を交互に。行ったりきたりを繰り返し、考えてから答える。
正直、くさいかといわれれば、どっちもくさい。
区別がつけにくい中で、あえて勘に近い感覚を載せて、感じ取ったことを答える。

「……ちなみに、どっち選ぶ?
 うちは迷わず、悪い方選んじゃうけど」

アドラー > 「それも食べるのか…」

確かにポーションの材料ではあるが、生で食べるのは初めて見た。
詳しくは知らないが一応は洞窟に生えているキノコ。
多少の毒素は持っていそうだが、とジト目で彼女の行動と感想を受ける。

「得物がナイフだからか。手先は器用な方だな。
 あとは…図体に反して俊敏だとか」

逆手、順手にナイフをくるくると器用に回して見せる。
身体の瞬発力、動きとしても大きな身長と比較してもかなり素早く機敏に動けと自負している。

何故パーティーを組まなかったのか。様々な理由はある。
が、それは今聞いても色々なことを言って真意を霧に包むだろう。

彼女の嗅覚と野性的にも近い直感を頼りに道を選択しようと考えていて。
どちらの道も先はヒカリキノコが群生しており、視界には困らないが、曲がり角になっていて奥の様子がわからない。
が、よりめんどくさいと言われた右の方に目をやる。

「旅をしている場合、楽な道を選びたいが…今回は依頼だ。
 悪い方へ行けば、そこには大抵目的のモノがある」

彼女の言葉に、顎に手を添えて考えつつもそのような言葉を発する。
面倒くさい、悪い方向には依頼の目標がいるケースが多い。

「こちらへ行こうか」

彼女の言葉に従って右側の通路を選択。周囲を警戒しながら先へと進んでいく。

ノーマ >  
「いやだって、たべられるっていうから……」

本当に他意はなく。ただ、食べられるという言葉に従って、ちょっと食べてみたのである。
まあ、好奇心がなかったか、と言われれば嘘にはなる。
とくに、マナ、魔力、といったたぐいの言葉に惹かれてしまった。

「……図体……いうほどでっかいってほどじゃないような……」

そんなことを、自分より明らかに長身の相手に発する。
彼女にとって、図体がでかい、といえばあと数倍は欲しいところ、なのである。
明らかに基準値がおかしい。

「……ま、そっちはいっか」

ぽつり、とナニやらを虚空につぶやく。
どうせ、答えは得られない。それに今、理解できないことを解決しなければいけない、というわけでもない。
そもそも、そういう思考に至ったきっかけの内容ですら。男はあまり言いたくはなさそうな内容だったのだ。
だから、あえて追求してナニかを聞くことはなかった。

「まあ、冒険って目的はトラブルと出会うこと、みたいなところあるからねー。
 じゃあなんか悪い感じの方、いこうかね」

いつの間にやら、鈍器は引っ込めて。
右の奥の道をじっと見つめながら、女は言う。

先行きは……まだまだ不明である。

「そういえばさー、この蟻ちゃん。さっきのがソルジャーなら他になんかいるの?」

まだ明確な敵が出ていない気軽さからか、そんなことを投げかけながら女は男について歩く。

アドラー > 「いや、まぁ…確かに言ったが」

まさかいきなり食べるとは思わず、吃驚する。
しかし、ヒカリキノコを食べて力を吸収するとすれば、彼女はどのような能力を発揮するのだろうか
魔法・魔術関係の何かが出来るようになれば、それはそれで面白そうだが。

「そ、そうか?…言われてみればそうかもしれないな」

以前戦ったサイクロプスや、先ほど蹴散らした蟻もそうだ。
この世界のモンスターはサイズでいえば自分を軽々と凌駕するモノが多い。
それに比べて自分は小柄な方だ。人間の中では大きい、という自惚れは消さなければならない。

「…あぁ、引き続き、油断はするなよ、ノーマ」

彼女のつぶやきは耳に届いていたが、その言葉の意味を問うようなことはせず。
右の道を進みながらも周囲を警戒する。
ヒカリキノコによって道は明るく照らされ、先を進む。
彼女と共に道なりに歩んでいくと、角を二、三曲がった先で広い大きなドーム状の空間に出る。

「あぁ、ソルジャーアントの他に赤色の……、…あれは…」

天井を警戒すると、2匹のモンスターが張り付いている。
一匹は左右と下部、合わせて3本の角を持つカブトムシのような漆黒の甲虫型モンスター。
異様なのはそのサイズで、ゾウと同等程度と巨大。

もう一匹は白と黄色の縞々、そして複眼と2対の羽を持った蜂に似たモンスター。
その腹部の先端には太く長い毒針。虫自体のサイズは2m程度だが、発達した毒針がまるで鋼のようにぎらついている。

「妙だ。様子がおかしい」

ジロッとその二匹を見ながら、小声で彼女に伝える。
ナイフを懐にしまうと、腰の黒いサーベルを引き抜き、動向を探る。

2匹は…天井に生えている木の根から滴る蜜を摂取しているようだ

ノーマ >  
「さて、なにがでるかなー……」

周囲を警戒……しているのか、傍目からはわかりにくいいつもののんびりさ。
それでも、これでも、警戒はしているのだ。
ただ、しばらくはその警戒も必要のない穏やかなときが進み……

そして、ソレが目の前に現れる。

「……うわぁ。ほら、ああいうのが図体がでっかいっていうやつ」

などと、さっきの話を蒸し返す女。
だが、象ほどのサイズもあれば確かに大きいと言って差し支えないだろう。
……ヒトの考える基準としてはどこかおかしいことは変わらない。

「んー……みたとこ、食事中……って感じー?
 邪魔しなかったら素直に通してくれたりしないかなー?」

様子がおかしい、と相棒は語る。
少し真面目に様子を探れば……おそらくは蜜をすすっている様子。
それならば、と少々楽観的な将来予測をする。

……そんな簡単にことが運べば世話はないのであるが。

「やりあうとしたら、ちょっとめんどうそうだねえ」

そういって、なにやら取り出した袋からぐびり、と中の液体らしきものを女は口に含んだ。

アドラー > 道中、彼女にモンスターの話をしようとするも、それが許される時間は長くなく
次の空間に到着すれば明らかな強敵に目を細める。

避けて奥にある通路へ行こうとするも、わずかな足音、話し声が響き
それに敏感に反応したかのように虫たちが動き出し…

「いや、どうやら戦闘は避けられないようだ」

ドォォオン!!

轟音を響かせ、誇りを巻き上げながら甲虫型のモンスターが地面に降り立つ。
その傍らを蜂が羽音を立てながら飛び、眼前に居る侵入者2体との距離を測る。

「ジャイアントタンクビートル。見ての通り、巨体と装甲、パワーが自慢の化け物だ。
 もう一方は、エンプレス・ビー。高速移動可能な羽と大型の毒針を有する。猛毒で、その上毒針は飛ばしてくる」

今にも襲い掛かりそうな2匹と対峙し、右手には黒い剣を、左手に先ほど使った爆発ポーションを手にする。
時間がないから要点だけ彼女に伝える。

「本来あの二匹は縄張り意識が強く、あのように同じ蜜を共有するなどない。
 明らかに異常が起きている。決して油断するな」

彼女を横目に捉えると、何か液体を飲んだように見えたが、今は目の前の敵に集中。
そして、敵が動き出す。

二匹 > その巨体を生かしてタンクビートルは突撃を仕掛けてくる。
見かけによらず途轍もないスピードだが動きは直線的、横か上部に動けば回避は容易だろうが…

次に、相手の動きに合わせてエンプレス・ビーは複数の毒針を放つ。
タンクビートルにも毒針は命中するが、その強固な外骨格に守られ無傷だろう。

二匹の攻撃が二人に襲い掛かる

ノーマ >  
「ですよねー」

こちらに反応する二匹と、男の言葉に肩をすくめて答える。
世の中、都合よくことが進む方が珍しいのだ。
といっても、戦闘自体は別にいやではないのだが……

「……へえ? 縄張り意識強いのが一緒に、か。
 なんか変な秘密がありそうだねえ……奥にいるのはどんなやつなんだか」

面白そうに口にして……

「で、解説はありがたいけどさ。
 あれ、どーするのよー」

迫りくる巨体と毒針。
女は突撃を飛んでかわそうとするが、そこには毒針の雨。

「んー……少しでも散らすかー」

一瞬だけ、自分の相棒の方の様子を伺い……まあ多分大丈夫だろうか、と思ったりもしながら。
それでも、保険は在ってよいだろう、と判断する。

「……そぉ、れ」

瞬間、女の口からナニカが吹き出される。
それは、毒針と正面からぶつかり、その勢いを完全には殺さないまでも相殺していく。

アドラー > 「だから妙なんだ!…ちぃッ!」

本来ならば仲良く蜜を吸うなどありえず、熾烈な争いを繰り広げるはず。
それをしていないということは奥に居る『何か』の仕業だろう。
人の手が介在していても可笑しくはない。きな臭い依頼を請けてしまったと若干後悔する。

ビートルの突撃を避けたと思ったら連携のように、飛んでくる毒針。
針は大きい故に右手のサーベルで弾くことは容易。
掠ることも許されず、歯を食いしばりながら集中力を研ぎ澄ます。

「秘密兵器か!?何にしても、我々も連携しなければ勝ちの目はなさそうだ…ッ!」

彼女の口から噴き出る何かを見る。
先ほど口に含んでいたものだろう。毒針と正面からぶつかって相殺したように見えたが…
ともあれ、相手は即席の組み合わせではないようだ。こちらも連携をしなければやられる。

「最初はエンプレス・ビーからだ!
 私が動きを封じるから一撃で仕留めてくれ、出来るな!?ノーマ!」

飛行能力を有し、高速移動、毒針を飛ばす相手は厄介だ。
まずはそちらからフォーカスして倒すべきと彼女に提案して、爆発ポーションをエンプレス・ビーに投げる。
そして空いた左手を振ると、手首に仕込んだ格納器よりワイヤーが飛び出て天井に張り付き、それを引き戻すと勢いのまま地面から離れて天井に釣り下がる。

二匹 > 「―――ッ!」

タンクビートルの突撃が避けられ、壁に激突するとまるで地震が起きたように周囲が揺れる。
人の頭程度の岩が天井より落石し、2人と2匹を襲う。
2匹はそれぞれ甲殻で受け、羽により移動で避ける。

そしてタンクビートルは自慢の角を地面に突き刺し、ノーマへ向かって頭を振り上げる。
地面がえぐれ、岩々と硬い土が大砲のごとくそちらに飛んでいく。


もう一匹、エンプレス・ビーは爆発ポーションを迎撃。
そのまま二人から距離を取りながら、アドラー向かって毒針の攻撃を繰り出す。

ノーマ >  
「確かに、これは厄介だなー……」

同種ではない虫が綺麗に連携を取って攻撃してくる。
自然の中ではそうそうお目にかかれない現象だ。そのうえ、相手のサイズは自分より大型ときた。

そんなことを考えつつも、ひとまず相棒の確認。
うん、さすが。巨体の突進は当然かわすし、続けざまに飛んでくる死の針は華麗に捌いている。
弾き、反らし、かわし……ただ、キツそうなのも確かだ。

「飛んでる方ね。確かに、面倒臭さはあっちのほうが上っぽいねー。
 じゃあ、動き止める方は任せるよー……っと?」

アドラーの指示に心得た、とばかりに答え……その瞬間、甲虫から質量の塊が飛んでくる。
ちらりと見れば、アドラーの方には毒針が飛ぶ。
こっちもあっちも対処ができなければ、互いにだいぶ危険なことになりそうだ。

「あーあー、もー……虫がさー……」

ばさり、と左腕を毒針に向けて振る。
そこからはアドラーには見覚えがあるだろう、杭状のモノが打ち出され毒針の一部を迎撃する。
当然、その程度ですべて相殺できるほど甘い攻撃ではないが……

「あー、うざっ。アドラー、気にしないでやってね!」

女が袖を振るったと同時に打ち出された土塊もまた、女に着弾。
轟音と土煙が上がり、ノーマは弾き飛ばされるように飛んだ。
その方向は、エンプレス・ビーの方。

アドラー > タンクビートルの方は巨体を生かしたパワープレイでこちらのペースを乱し、
エンプレスビーはその乱れたペースを突くかのように的確な攻撃をしてくる。

こちらが数的有利ならともかく、2対2なら厄介な相手ではある。
が、全く勝てないという訳でもない。

「任せろ…、くッ!」

ワイヤーを器用に使い、ドーム状の空間を飛び回るように移動してエンプレス・ビーを追いかける。
あちらも二対の羽を使用して飛び回るが、閉所という環境からいくら速くても追いつかれてしまうタイミングはある。
しかし、それをケアするように毒針が複数飛んでくるが…

「…!」

横からの杭状の攻撃が毒針を一部相殺する。
これは、以前の遺跡で彼女が使用した間接攻撃。
此方への猛攻が緩和されると、残った毒針はワイヤーによる回避と剣で弾きながら、エンプレス・ビーへと接近。

素早く、空中でも不自由さを感じさせない身のこなしで剣を振るう。
一息に2対の羽を切断し、腹部に刺突を放った後にワイヤーを射出して、敵を雁字搦めに拘束する。

「平気か!?ッ、なるほど、計算通りかッ…!」

途轍もない轟音に思わず目を向けるが、土煙から彼女が飛んでくる。
敢えて食らって、こちらに飛べるよう衝撃を利用したのか。

二ヤリと笑って、羽を切断されワイヤーにより自由を失ったエンプレス・ビーから離れ、彼女にとどめを任せる。

二匹 > 「……!」

高速移動と毒針による引き撃ち。人間程度ならばこれで完封できるはずが
明らかに異様なワイヤー操作、空中での身のこなし。
そして横からの毒針を邪魔されれば接近を許してしまい、エンプレス・ビーは羽を切断され、ワイヤーで拘束、自由を奪われる。

一連の動作があまりにも素早く落下する前に飛んでくるノーマと接触するだろうか。



一方、タンクビートルは空中の敵には対処する方法がなく、尚且つ二人のスピードにはついていけず、
その光景を見ているだけしかできなかった。

ノーマ >  
「いや、ホント、器用だね、アドラーは!」

ワイヤーを使った立体軌道。理論上は可能かもしれないが、それでも余人には不可能であろう。
そんな異様な動きでエンプレス・ビーを追い詰めていく姿に感心する。

一方の自分は、といえば。
飛んできた土塊を踏み台にしての奇襲。
可能な手段のうち、色々なことを度外視すればおそらく一番最速が出せる、ソレ。

力をため、直撃の瞬間に土塊を蹴り飛ばす。
足にとてつもない衝撃を感じながら、跳ぶ

「さて……それ、じゃ……」

飛びながら、両の袖を振る。そこからは、凶悪な爪が飛び出す。
目の前には、段々と距離が縮まってくるエンプレス・ビーの姿。

それも、すでにアドラーによって無惨に羽が絶たれ、体の自由すら奪われている。
あとは、止めを刺せばいい。

「じゃあね!バイバーイ!!」

ジャギン

女と虫が交錯する。
飛んできた勢いを載せ、容赦なく両袈裟に振られた爪がエンプレス・ビーを引き裂く。
その勢いのまま、あわや天井と激突するところを反転。鈍い音とともに逆着地を決める。

「で、下の奴はどーするー?」

女の目線は既に残った一体に向かっていた。

アドラー > 「君の方こそ、良くもまぁ、傷一つ負っていないものだ…!」

まさか飛んできた土塊を踏み台にしてのスピードを付けた奇襲をするとは。
自分では想像できない移動方法には感動をするしかない。

すたっと先に地面に着地し、止めを見届ける。
彼女の強固な爪がエンプレス・ビーを切り裂くと、体液を吹き出しながらその体がバラバラになる。
拘束していたワイヤーをするっと引き、手首の格納器へと戻せば、こちらに向かってくるタンクビートルに目を向ける。

「ここで残して先に進んでも良いが、帰るときに厄介だ。
 余力のある時に仕留めておこう」

彼女の問いかけに、剣をタンクビートルに向けながら答える。
すぅ…と深呼吸をすると、漆黒の剣身の輪郭は青みを帯び、同様に剣全体に薄くオーラを伴う。

魔力の刃。親和性のある剣は、魔力を込められたことによって熱を帯び始め、鋭く、強く、青く輝き始める。

「私があの装甲を剥ぐ。合わせて内部を破壊してくれ、ノーマ」

得物に魔力を込め終えれば、敵を睨みつけて彼女にそのように告げる。
いかに相手の装甲が厚かろうが、これで切り裂けぬものはない。
剣を構え、足に力を籠めれば、直後に勢いよく走り敵へと突撃していく。

アドラー > 【後日継続】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 モンスターの巣」からアドラーさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 モンスターの巣」からノーマさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 モンスターの巣」にアドラーさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 モンスターの巣」にノーマさんが現れました。
ノーマ > 【再開】
ノーマ >  
「いやぁ、まあ……ね?」

当然のことながら、高質量の土塊など受け止めて蹴り出せばそれなりに負担はある。
傷ひとつ負っていない、というのは厳密には違うのだけれど……まあ支障はないしよし、ということで一人納得する。

そんな彼女は、天井に着地したまま自然の摂理を無視したように逆さを維持して男の提案を待つ。
異様な光景であるが、だらりと垂れた服や髪からは女の全てが自然の摂理に反していないこともわかる。

「ほいほい、仕留める方向ねー。うわ、もう降りてるの?
 うちそっちいないから突進気をつけなねー」

逆さのまま、青の瞳の男に忠告を飛ばす。
とはいえ、いつもの口調。そこには言うまでもない、という信頼感も在った。

「……って、まって待って!
 アドラー、あの装甲剥げるの? 本気で言ってるの?
 うわー、やっばいなー。うちも頑張らないとー」

そして、伝わる提案。
男は、事もなげに言った。
――あの装甲を剥ぐ、と

ソレを微塵も疑わず、女は自分に託された仕事の算段をする。

「内部って言っても、装甲剥ぐんなら内部破壊ってか出てきた身をぶっ潰せばいいわけだよねー。
 アドラーも突っ込んでいってるから……まあ、これでいいか。」

逆さの状態で、足に力を込め……タイミングを見計らう。

アドラー > 天井に逆さに着地している彼女を見上げる。
恐らく、彼女がいつか吸収したモンスターのどれかが持っていた力なのだろう。
壁に貼り付ける虫か、蜥蜴か。何にしても今考えても仕方ない。

「直線的な突進なら避けることは容易だ。
 君がフォローする必要もないさ」

ちらっと彼女の方を向き、呼吸を整える。
相手は残り一匹。それでも油断はせず、笑顔は見せずに真剣な表情で。

「多分な。若干の耐熱性も備えている甲殻と聞いたが、"これ"であれば行けるはずだ」

輝きを増した剣身。空気の温度も、雰囲気も変わっていく。
地上に降りた標的を捉え、タンクビートルもこちらを向き直って突進を仕掛けてきて

「では…ッ!」

相手の動きに合わせて自分も突っ込んでいく。

その後は一瞬の出来事であった。
輝きを放つ剣身と相手の角が交わると、角の断面が白熱化し、溶断されるように切断される。
相手の3本の角をほぼ同時に切断し、敵の上部を通過しながら剣を振るう。

男とタンクビートルが交差すると

パァン

軽い音を鳴らしながら、タンクビートルの装甲が剥がれ、脆い内側、身の部分が露出する。
余りの苦痛と衝撃にタンクビートルは動きを止め、無防備な状態となる。

ノーマ >  
「ほいほい、知ってた。じゃあ作戦通りいくよー」

フォローする必要はない、と言われれば軽く答える。
まあそうだよね、と予想通り。

続く男の真剣な表情を見て、軽口はとりあえず閉じておく。
一応、空気くらいは読めなくもないのだ。

なにより……何をするのか、見届けたい。

「……位置よし、向きよし……速度、時間……」

突っ込んでいくアドラー
迎え撃つタンクビートル
その両者の動きを見極め……最上の瞬間を計る。

「……ここ!!」

アドラーから遅れて、天井からはじき出されるように飛び出す赤毛。
その目の前では、男と巨蟲が交錯し――

蟲の殻が、弾けた

「やりすぎると、まずいし、ね!」

先程も巨蜂を切り裂いた両の巨大な爪を合わせ、全身を槍のようにして……

ドズン

女は巨体に上から突き刺さり……下まで突き抜けた

アドラー > 弾けた甲殻。
堅牢な装甲がなければ弱点をむき出しにしているだけの巨体に過ぎず。
直後に彼女の攻撃が命中し、巨体に穴が開く。

ゾウほどの大きさといえど、人間サイズの穴が空けば一たまりもない。
苦痛にしばらくのたうち回るように身体を動かし、明後日の方向へ突進を繰り出す。

ドォオン!

轟音が響き、ぐらぐらと周囲が揺れると、巨大な岩がタンクビートルにめがけて落ちてきて
ぐしゃりと生々しい音を立て、体液を飛ばしながら押しつぶした。
その後は動くこともなく、絶命。

2匹のモンスターを仕留めた。

「…やったか」

服と剣についた敵の体液を払いながら、二匹の死骸を見つめる。
増援のようなものが出現する様子もなく息を吐く。
得物を纏っていた魔力の放出を中断し、剣を鞘に納める。

それにしても彼女は大丈夫だろうか。
あの巨体の下に突き抜けたように見えたが、絶命する前のタンクビートルはかなり暴れていたはず。

「…無事か?ノーマ」

彼女の方へと駆け寄り、そのように問いかける。
跪いているようであれば手を貸し、立ち上がれるよう手伝う。
そして身体中に昆虫の体液が付着しているのであれば、清潔なガーゼやタオルを懐から出して渡す。

ノーマ >  
「……」

どうも勢いをつけすぎた。
まあ、貫通しないで突き刺さったまま、とかもだいぶだいぶアレなので結果的にはよかったのかもしれないが……
地面に思い切り爪が突き刺さっている。

抜けない!とか思ってたら虫は断末魔で暴れるのでぶつけられるわ体液がかかるわで散々であった。
……よく考えれば、爪は引っ込めればいいじゃん、と気がついたのは虫が大人しくなってから。

肉体的な損傷は……そこまででもないが、とにかく見た目がぼろぼろであった。

「うはははー……虫のやつ、活きが良かったねえ……」

どうやらアドラーの方も落ち着いたようで、こっちに近づいてくる。
まあ無事は無事なので、へらへらと笑ってダボ付いた袖から手を出して振る。

「ところでさー、その『やったか』とかいうの、失敗の呼び水っぽそうな言い方じゃない?
 復活とかされても困るんだけどー」

たしか、ふらぐ、とかいっただろうか。
まあ流石にあそこまでやって起き上がってくることもないだろうが……

「ふう……それにしても、そっちも平気ー?
 と、ありがとね」

あちこちが裂けたり、どろどろだったりする自分に差し出されたガーゼやらタオルやら。
そういえば、そういう備えはしてなかったな、と割りと無頓着だったことを思い出す。
自分だけならそのまま進んでしまっただろうが……差し出されたからには、使ったほうがいいだろう。
素直に、どろどろな姿を整える。

「で。いまのが、そのサーベルの真価ってやつ?
 前、随分自慢げだったけどさ。」

無造作ではあるが、まあとりあえず体を拭き――
黙ってるのも落ち着かないので、作業をしながら問いかける。

アドラー > 「次に君と依頼をするときは、替えの服を持ってきた方が良いな」

体液をかぶり、衣服がボロボロとなった彼女に苦笑いを向ける。
破けた衣服から見える無傷の肌から、損傷はしていないことは確認する。
彼女の動きや呼吸からもまだ余力はありそうだ。

「他の冒険者もこの言葉を口にしたがらないが、迷信だろう?
 敵に作用する回復呪文でも蘇生呪文でもあるまい」

自分の言葉に注意を入れられると、頬をかきながら微笑んでそう告げる。
その手の迷信はあまり信じないようにはしているが、煙たがられるなら控えるようにすべきかと思案する。

「私は平気だ。君のおかげだな。ありがとう。
 あぁ、私の魔力を通すことで剣が熱を帯びて敵を溶断できるようになる。あの程度の装甲なら一息で真っ二つだ」

平気かどうか聞かれれば、笑顔で返答する。
こちらは彼女のおかげで服も比較的整っているし無傷。というか、こちらとしてどろどろの相手の方がやや心配だが。
そして腰に下げている剣をちらっと見ればそのように返答する。

魔黒鋼で鍛造されたロングサーベル。
耐久性や重量があるなど、普通の鉄剣と違う点はいくつかあるがその真価は魔力を通した時に現れる。

やや自慢げに語りながら、彼女が拭きずらい部分があれば手伝おうか。

ノーマ >  
「えー。めんどくさいなあ、それは」

替えの服を持ってきたほうがいい、といわれればそんなブーイング。
目を向ければ、服の下から覗く柔肌はさして鍛えられてもいなさそうな白い肌。
それが見えることも大して頓着してはいなさそうだった。

「迷信……そっか、迷信かー。ま、それならいっか。
 そもそも蘇生の魔術とか御大層なもの、もってないしねー。」

自分で言いだしたことながら、別にいいか、と思い直して笑う。
間違いないのは目の前の事実だけだ。

「うちのおかげ……ってほどでもないとは思うけどなー。
 アドラー、結構うまいことやってたじゃん。
 あと、おかげっていうんならお互い様ってとこでもあるし。ありがとねー」

自分一人でやっていたらどうなっただろう。
負けることはなかったかもしれないが、こんなあっさりとはいかなかったことは想像がつく。
助け合いっていうのはなかなかイイ。

「いや、ほんと大した武器だよね、それ……と。
 ん、し……あんま此処で時間とってもよくないだろうしー。
 そろそろ先行こうか。」

結局乱雑に体を拭いた女は、早々に出立を宣言した。
注意深く見れば、気になる者は気になる汚れも残っているかもしれない。

アドラー > 「…その時は私が持つ」

鍛えていなさそうな白い柔肌。戦闘中に発揮する膂力とは明らかに矛盾している。
頭ではわかっていたが、この瞬間が一番彼女が人間でないことを実感してしまった。
彼女のブーイングには呆れたように目を細め、ため息交じりに自分が管理すると告げる。

「そうだ」

彼女の笑顔をしっかりと見たのは初めてなような気もして、微笑む。
そして何かを思い出したかのようにエンプレス・ビーの死体へと近づく。
懐から空になっている小瓶を取り出し、辛うじて残っていた腹部から出ている毒針に口を当てて、その毒を採取する。

「はは、お褒めいただき光栄だ。
 中々いいコンビかもな。私たち」

彼女の言葉ににっこりと笑って、改めて手を差し出す。
最初の蟻たちから、今の2匹。初めてにしては中々悪くない連携をしている。
こうも息が合うとこちらも気持ちがよく、感謝を込めて握手をしようと

「待て待て。そんな汚れを残していくな。
 いくら君が強いとはいえ、感染症にでも掛かったら厄介だ。
 時間を取るのは良くないことは分かるが、…今の君はかなり臭うぞ」

出立を宣言する彼女の服の襟をつかんで制止する。
代わりに汚れている部分を拭きながら、ジト目で彼女の臭いについて言及する。
レディに言う言葉にしてはかなり直接的だ。…相手がレディであるかは置いておいて。

ノーマ >  
「そこまでするー? アドラー、気にしいだなー。
 んー……でも、仕方ない……の、かなあ」

自分が服の替えを持ってまで用意しよう、という世話焼き具合に少々首を傾げる。
とはいえ。未だ理解の外にはあるが、この相手が言うからにはそれなりの理由はある、のだろう。
飲むしかないだろうか、とちょっと考えた。

「んー……そうだねえ。正直、どうなるかはいまいちわかんなかったけど。
 今んトコ、割といい感じかもね、うちら。」

いいコンビかも、といわれればそのとおりだと、自分も思う。
他の誰かと組んだことがあるわけでもないが……少なくとも、今はイイ。
間違いなくそう思える。

「いっそ臭ったほうが虫対策にはなりそうだけど……
 む、むう……まあ、わかったよ。でも終わったら行こうよ?」

虫はある種のニオイで仲間を識別したり、やりとりをしたりする。
それにならえば、この中にいる虫のニオイをさせることは案外プラスに働く……かも、しれない。
……半分くらい言い訳だが。

主張の弱さはわかっているので、結局は素直にされるままにする。
対応的にはレディというよりは、お子様だ。

アドラー > 「君、一応女性だろ?
 人間社会に女性として溶け込むなら多少は身なりに気を付けた方がいい。
 その方が、生きるのに苦労はしない」

容姿に関して無頓着なのは知識不足からか、それとも彼女の性格的な所なのか。
ともあれ、女性の冒険者として生きるのであれば強さの他に見た目も多少は気遣った方が良い。
その方が荒波を立てず生きやすい場合もあるからだ。

「ん、この先も協力していこう。
 君の力、頼りにしている」

彼女の言葉を聞けば、笑顔を浮かべる。
同じ気持ちであったことが少し嬉しい。

「虫の臭いは最初の蟻で十分に付着した。
 行くのはわかってる。時間を使うごとに私たちが不利になるからな」

身体を拭きながら、言い訳に対して無慈悲にカウンターをする。
駄々を捏ねるお子様を相手するような感覚でそそくさと身体の汚れを取っていき、全てを取り終えると満足そうにする。

「…ふぅ、時間を使わせたな。
 それでは行こうか」

息を吐いて、服装のところどころが破けた状態にまで彼女を持っていけば、先に進もうと告げる。
来た場所とは反対側の道を一瞥し、そちらの方へ歩いて行って

ノーマ >  
「……う。そう……だね。
 やれやれ。敵わないなー」

相手から発されるのは多くの言葉ではないが、忠告めいたもの。
そして、その内容といえば……ナニかを見透かすような、それ。
降参、とでもいうように肩をすくめて見せる。

だからこそ

「……そうだね。いや、ほんとね。
 こっちも色々と、頼りにさせてもらいたいかな」

笑顔で協力を求められれば、安堵を覚える。
いずれ、本当にナニかの形で報いなければならないだろう、と心の何処かで思う。

「く。口ではそっちのが上か……」

どこか悔しそうな感じで無慈悲なカウンターにうなだれる。
元より、幼稚な言い訳が通じるとは思ってもいないが悔しいものは悔しいのである。

「……にしても、ほんとさ。
 もの好きだよねえ」

ようやく開放されてため息を1つ。
それに合わせて、ぽつり、と一言漏らす。

「まあいっか。次いこ、次。
 そろそろ親玉にぶつかりそうな気もするから気をつけないとね」

一言漏らせば気が済んだのか、素直に男のあとに付いていった。

アドラー > 「ふふ、納得したようならいいんだ」

自分の言葉に降参したように肩をすくめる様子が面白く微笑む。
『パーティーを組んだら日常的な事を教えることが多いだろう』という、いつかの予想は的中していたようだ。
それでも彼女は素直だから色々と教えるのは苦じゃない。

「私にできる範囲のことなら、何でも」

相手の言葉に頷きながら、快くその言葉を受け止める。
パーティーを組むとは元より助け合いだ。お安い御用と、表情で示して。

相手を論破できた様子で面白そうに微笑む。
そして、次には…

「何が、と聞いてもいい言葉かな?それは」

相手の物好きという言葉に片眉を跳ねさせて問いかける。
大体言葉の真意は分かるが、あえてその意味をはっきりさせようとする。

「そうだな。気を引き締めて行こう」

そうして、道をどんどんと進んでいく。
ヒカリキノコによる光源はさらに続いており、今度は緩やかな下り坂に差し掛かる。
足を取られないようにゆっくりと下り、ぐるぐると下に向かって螺旋を描くような通路が続く。