2023/11/25 のログ
レヴィア > ン、何か寒気が、何て思いもしたが時既に聖騎士様の部屋である――けども、何かを気取られた視線を受けて、視線の主を忘れる吸血鬼にあらず、後々彼女には特別に贈り物をすべきだと、頭の中に良く刻んだ。

「今は仕える者亡き騎士団。
 今度極々普通に小説の題材に取材をさせて頂こうかな。
 失礼でなかったら、の話だけども……。」

これはほとんど独り言。
先ほどのドワーフの店主といい、美味しそうで面白そうな少女騎士といい、視線の先の聖騎士…だとややこしいので、レイといい、王都にはまだまだ面白い者が山ほどいるようで、浮かべる笑みも深くなれば、視線の先のレイの表情が穏やかでどこか嬉しそうな表情に、思わずほっこりと。

――…貴族お抱えの騎士団なんてどうだろうか。
と、不意に思いつく、思いつくし確か貴族ならばと言われた覚えが、吸血鬼としては鎧に魔力でリビングメイルの兵団で誤魔化そうと思ったが、それはそれで今は提案すべきではないかなと思い、言わずに心に仕舞い込む。

好奇心が刺激され、あの時のように徐々に紅色の瞳にキラキラと奥底ではギラギラと輝きを宿しながら、視線んはワイングラスへ、その中より選ばれた二つのワイングラスがテーブルに並ぶと、レイのコレクションであるワイングラスに自分のコレクションである赤ワインが並ぶのを見て、うん、と満足そうに頷いた後に、視線を再びレイへと戻して。

「これでも貴族ですから料理は召使に、で済んだらチラシ配りはしてないんですよねー……えぇ料理は私の仕事、なので程々に料理はできますし、食べて頂いても恥ずかしくないレベルだと自負もありますの。」

料理の話をする時だけ、自信ありげにむふーっとドヤっとした表情に笑みから切り替えながら、視線は……あはんうふんな思い出?を浮かべてまた艶やかに顔を赤くして、胸元を抱きかかえ、その奥には見事なたわわが…らしい、そんな胸元に視線を送りつつも、瞳をにまーっと細めた。

「それはもう御招き頂いた分はご奉仕させてもらいますが。
 あ、レイの匂いは好きだからそのままでもいいけど、シャワーならぜひご一緒しますけど?」

ほっそりとして白い手を胸元を弄るイメージでワキワキと動かし、じりじり、と距離を詰めようとすり足で近づこうとするが、冗談半分なので相手が下がれるように、一定の距離を保ってみる。

レイ・L・アイリス >  
「はは、取材か。そんなに面白い話もないぞ?
 本当に何処にでも転がっているような話さ。ある意味、燃えカスのようなものだ。」

最も、腐敗したこの国からしたら逆に異端なのだろう。
諸外国にいた自分からしたら、この国の治安悪化には驚いた程だ。
それこそ、初めは自分たちに出来ることをしようとしたが、今はこの通りだ。
自らの正義のために、王国騎士から離れて自由騎士。
信念に基づいた行動故に後悔はないが、そう語るレイは何処となく寂しそうだ。
例え、母国ではなくても、この国の惨状に心を痛めるほどの良心は持ち合わせているのだ。

「…………そ、そうか。それなら興味はあるん、だが…………。」

まぁ、それはそれとして今ある意味ピンチなのは自分なのかもしれない。
思えばあの時よりは外に人がいるが、今も二人っきりじゃないか。
……何たる無用心、何たる無防備。好意だからといって気を許しすぎた。
彼女(?)の料理には興味はあるが、このままでは自分が料理されてしまう────!

「っ!?なぁっ……!?」

彼女(?)の美しい指先がワキワキと何かを弄っている。
そう、そう言えば興味津々だった。この身隠しに使っていたこの衣服の"奥"。
一気にかぁ…と顔は真っ赤に染まって湯気まで出てしまいそうだった。
じりじりと迫ってくるので、自然と半歩下がってしまう。

「まま、待て待て!?私の匂いとはなんだ!?そ、そんなに匂ったのか私は!?
匂いには気を使っているつもりだったんだが……って、そうじゃない!」

動揺しすぎてて思わず変なことを口走ってしまった。
ブンブンと首を振り、両の黄色は潤んだ状態で見開いている。
一旦すぅ、と一呼吸しながら、震える声音で尋ねる。

「そ、そもそも其処まで私に興味がある、のか?
 あ、あのチラシといい……ぐ、偶然なんだぞ?」

飽くまで二人の出会いは偶然だった。
好意自体は無碍には出来ない。だが、距離感の詰め方にはどうにも戸惑ってしまう。
事実、そういった経験に乏しいところもあるので、此れが正しいと言われればそうだ。
レイは押しに弱かった。事実、心を許しかけているのだから。

レヴィア > ――だから聞きたいのだ。
人間が短命な種族がその存在を燃やした話を。
不死者にはない一瞬の輝きを燃えた証を物語を。
でも、それもまた素面では話せぬ事もあろう、その為にコレクションを開けるのも悪くないと、思って一番良いものを選んで持ってきたのだ。

自由騎士、その響きは吸血鬼の心に心地よく響く。
眠ってばかりの同族や人を食らう事ばかりに時間を割く下種共より、レイ達は価値がある、だから丸ごと買い上げて自分の配下にしたい、けど――ダメかな、とそこは自信がない。

まあ、それもそれとして。
あとはベッドの中で寝物語で、何て下心を笑みに少々混ぜ込みながら、レイのかぁっと赤く染まった顔、その顔が大変美味しそうで、小さく生唾を飲む音すら響かせた。

取り繕うように、思わず「こほん」と咳払い。
それから首を横に振り、黄色い瞳を潤ませたその顔を近くで眺めたくて、トトンと、我慢できずに半歩の距離を詰めていき、両腕をするりというよりもヌルリとレイの腰に絡めて抱き寄せて、人と違って少しだけ冷たい体温を密着させり。

すると不幸な事に、視線はだいぶ持ち上げないと顔を覗けず、少々首をのけぞらせて顔をあげると、唇には妖しげな笑みをのせて、レイの質問にひとつひとつ答えていく。

「匂いは、私、嗅覚が敏感なので。
 それにレイの香りはとーっても甘く美味しそうな香りだから、せっかく二人っきりだし、カプっと頂きたいくらい。」

まずは匂いを褒める。
なんせ吸血鬼でも異端な少女?は鼻をわざとスンスンと鳴らして、少なくとも自分とは真逆の属性を持った香りを満足げに嗅ぎながら、一度ゆっくりと瞬きをして、震える声色で問うもう一つの質問に答えようと妖しい笑みを浮かべていた薄い唇を開く。

「偶然だから、じゃないかな?
 偶然にチラシを拾ってもらって、偶然に届けてもらえて、偶然は何度も重なると必然ともいうし、あっその防壁の奥に潜んでいる果実も気になるけど、今聞いたお話や何からすべて含めて、今すごくレイに興味があるんだ。
 このレヴィア・スルーク・ビネヴィアはレイが欲しいんだ。」

少々芝居かかったかもしれない。
でも、嘘偽りはない、全くもって全てが事実。
特に防壁の向こう側への興味も事実だし、今の騎士達の話を聞いて、その話を聞かずに終われるわけないし、その為なら料理も財力もつぎ込んでも良いとまで思っている。

だから、今宵一番妖しい笑みを唇に浮かべて、潤んだ黄色いシトリンのような瞳をじーっと見つめてみる。

レイ・L・アイリス >  
勿論レイ自身には、他人の心を覗ける能力なんてありはしない。
彼女(?)がよもや、人でないことすら感づいてもいない。
レイにとってはそもそも些細なことだ。無償の性善説。
レイ自身にとっても、他人のことをとっても、如何なる存在であろうと善性を信じている。
余りにも甘くて、マグ・メールには沿わない思考。
それでも、それを曲げる事はしない。それが、聖騎士の、レイ自身の生き様なのだから。

「お、美味しそう……か、カプッと!?ま、またか?アナタは噛み癖でも持っているのか!?」

案の定、今度は自分が料理されてしまうかもしれない。
そんなに甘美な匂いがするとは思わなかった。香水は使ってないのに。
拒否することも出来ず、抱き寄せられるとひゃ、と短い悲鳴が漏れてしまった。
突然抱き寄せられたのもそうだが、その冷たさにも驚いたからだ。

「……外で冷えてしまったのか?」

それを、人ならざるものとせず、そう言ってしまえるのがレイという人物だ。
彼女と違い、その体は確かに暖かな人の温もりを持っていた。
彼女の真意はともかく、おずおずとその背に両手を回す。
覗き込まれるレイの表情は相変わらず赤く、扇状的な戸惑いが見て取れた。

「…………。」

その言葉には一理ある。
それが重なって今、こうして二人抱き合っているのがその証左になっている。
何時までも目をそらすのも失礼だと、戸惑いの視線と紅が交差する。

「……わ、私は……そ、そこまで安い女ではない、と自負しているが……。
 その……しょ、正直戸惑っている。こ、此処まで人に好意を向けられるのは、その……。」

「は、恥ずかしながら初めて、なんだ……。」

それはもう生娘と相違無い。
震える声は何処となく上ずっており、その言葉が本当だと教えてくれる。
冒険者として生きた半生、人斬りとして、騎士として生きた半生。
激動の中に、色恋や色欲が挟まる隙間など、ありはしなかった。

「……そ、そのっ!その、"欲しい"と、言うのは……れ、例のメイドとして、なのか?」

「そ、それとも……わ、"私自身"、なのか……?」

そこだけは、ハッキリさせないといけない。

レヴィア > 吸血鬼は正直人間と感性は違う。
一般的には人間は自然と自分達より下だと認識している。
生まれながらにして吸血鬼である始祖吸血鬼である己もそれに近しい考え方をしていた。

一昔前であればそのレイから感じるお人好しと言えばいいか、善性の強い人間と言えばよいか、どちらでもあるのだろう、その気質を感じ取っていれば少なくともこんな穏やかな関係でいられ無かっただろう。

だけど今は違う。
人間は短命であるが吸血鬼などより眩しく温かい。
今も極当たり前の死者に近しい体温を温めようと抱き締めてくれるのだから、吸血鬼同士、或いは血を吸い配下とした者からは得られない、得難いものである。

触れると余計に体温の低さを感じさせるだろう。
それと同じくらい華奢な印象を返すだろう。

――…アア美味シソウ。

レイという存在にもう一度生唾を飲み込んでしまう。
吸血鬼の本能がジクジクと表面に這い出そうになる。
あの首筋に喰らいつけと、思うが儘に女の顔を苦痛に染めよ、と人間を尊重しているからこそ、食らいつきたくなる。

矛盾を抱えて、一方を抑え込んで、戸惑うレイの黄色い瞳に紅色の瞳と視線を重ね交差させ、レイの言葉を最後まで聴き取り、言葉と意味と質問を頭の中で咀嚼して、答えをひとつ導き出そう。

その答えを今宵極上なる妖しげな微笑みにのせて、細くすらりと伸びる両腕で黒色のサテングローブに包まれた掌で、腰から腰から這い上がるようにして、赤く染まって温かそうなレイの頬を包むように触れる。

「……レイの全てが欲しい。
 髪の一本から吐息まで、柔らかな肌から血の一滴まで。
 貴女を作り上げたその物語から記憶まで何かもが欲しい。」

少し、いやだいぶ背伸びすることになるが、つま先で床を踏みしめて、踵を浮かせて――ルージュを引いた薄い唇をレイの唇に寄せる。

間際で、先ほどのもう一人の騎士の言葉を借りて、からかうよに、囁いてみる「せふれ?のほうが、いい?」と。

レイ・L・アイリス >  
「す、全て……と、言うのは……そ、そうか……。」

もう文字通り、言葉通りなのだろう。
偶然の関係性が其処までレヴィアを惹きつけたのだろうか。
そこまで自分に価値を見出したのだろうか。もう、そういう風に"意識"をしてしまった。
そう考えた途端、彼女の冷ややかな体温も、蠱惑的な視線も、鼓膜を揺らす声音も。
全部が全部、熱として自分にくべられている気がした。
どくん、どくん。心臓が早鐘を打ち始める。

そのまま気が抜けてしまったかのように、彼女を抱きかかえたままベッドに座り込んでしまう。

「そ、そんな爛れた関係はイヤだ!
 わ、私は娼婦になるつもりは、ない……。」

その囁きには反射的に声を上げ、首を振った。
そういう職業を軽視している訳では無い。
ただ、事実不健全な関係になるくらいなら此方から拒否している。
……今の状況自体、健全かどうかはわからない。わからない、けれど。
熱い吐息の感覚も、どんどん短くなっていく。

また、その紅から目をそらしてしまった。
気恥ずかしさもそうだけど、それ以上にもっと"別のなにか"が理由になってしまっている。

「……わ、私とアナタは今日出会ったばかりだ。
 興味を持ってくれるのは、素直に嬉しいとは、思っている。」

「た、ただ、私自身にそこまでの"価値"があるとはお、思えなくて、な。
 どうやって、今日あった人間に見出したのか……少し引っかかるのだが……。」

「ただ、そう、そうだ、な……。」

何度も、何度も、息を整えようとする。声音を正そうとする。
けど、一向に熱は収まらないし、声は上澄み、瞳は潤んだままだ。
どうやっても、熱が引きそうにない。だったら、もう思うままに伝えるしか無いのだろう。

「わ、私はハッキリ言って"恋愛オンチ"だろうし性行為の…そ、その…。
 ……ち、知識くらいしかないぞ!?今でも、戸惑いを隠せない……。」

「あ、アナタに弄ばれて、騙されていることも考えてはいる、いる、が……。」

再び、視線が交わった。
熱っぽく、今にも涙が零れそうな黄色の瞳。

「……こ、こうして本気で送り届けたり、あ、あの時私をそ、その……。
 っ……わ、私なりに色々受け取ってばかりだから、あ、あの、だな……。」

一呼吸、飲み込んで。

「────"レヴィア"。ど、どうしたらアナタは悦んでくれる?」

レヴィア > ――女がベッドにへたり込んで座り込む。
――少女/少年の蠱惑的に煌めく紅色の瞳と女のシトリンに似た黄色の瞳と視線の高さが重なり、もっと近く、もっと温かな距離で顔を寄せてまた三度妖しく微笑む。

冷たい身体にほんのりと残る女の体温を心地良く感じながら、始祖故に生きていて死んでいるどちらであるが、それでも鼓動を刻む心臓のその鼓動を少しだけ早まるのを感じながら、熱いレイの吐息を唇で受け止め、代わりに薔薇の香気が微かに香り吐息を吐いて返し、レイの唇に触れるか触れないかのとこまで近づけて、触れさせずに言葉を返す。

「嫌でしょう?私だってせふれ?なんて面白くない関係で終えるつもりないよ。」

首を振る、否定する、そう、己もそのつもりは無いと同調し、否定して、それから鮮やかな紅色の髪を静かに揺らして首を左右に振る。

シトリンカラーの瞳が離れた。
ルビー色の瞳でそれを無理に追うことはない。
レイが言葉を紡ぐのを聞いて、頷いて、温かくてまばゆい彼女の言葉が全て終わるのを再び聞き届けてから、……一度静かに息を吸い、静かに再び吐いてから、答えを返そう。

『どうしたらアナタは悦んでくれる?』への答えを。
『私自身にそこまでの"価値"があるとは思えない』という言葉の否定を。

「レヴィア・スルーク・ビネヴィアがアナタに感じる価値。
 言葉を重ねて説明してもいいし、アナタが納得するまでワインと一緒に語ってもいいよ?でも一言で言うなら、私がアナタに感じている価値が確かにある事を信じて欲しい。」

順番は逆だったかもしれない、けど、ただ肉欲でただ戯れで欲しているわけではない事を先に言葉にし、真っすぐに伝えてから、再び戻ってきたシトリン色のレイの瞳をルビー色の瞳でつかまえて、最後の問いにも甘く柔らかい声色で歌うように答える――。

「……私が悦ぶのは、レイが全てを差し出してくれること。
 恋愛音痴でも性的な経験がゼロでもいいんだよ。
 だから、もう一度、レイの全てを私に頂戴?」

サテングローブに包まれた両手をレイの両肩にそっとのせると、少しだけでも拒絶すれば拒めるだけの微弱な力で押して、ベッドに押し倒そうと。

その力加減は絶妙。
受け入れるなら自ら倒れなければ倒れられない力。
あくまでもその手は優しく、押す力もゆるく、ルビー色の瞳を細めて、再び甘い声色でささやく「私のレイになってくれる?」と。

レヴィア > 【後日継続致します。】
ご案内:「夜より深い、真夜中の街」からレイ・L・アイリスさんが去りました。
ご案内:「夜より深い、真夜中の街」からレヴィアさんが去りました。