2023/11/24 のログ
ご案内:「夜より深い、真夜中の街」にレイ・L・アイリスさんが現れました。
ご案内:「夜より深い、真夜中の街」にレヴィアさんが現れました。
■レイ・L・アイリス >
なんとか騒動一つを抜けたその日のこと。
チラシを届けるつもりが、とんだ長居をしてしまった。
ああいうアクシデントは勘弁願いたいな、と思いつつ気づけば大分夜も更けていた。
此処はマグ・メール平民地区。すっかり人気らしい人気はなく
満点の星空と明かりもない噴水広場。水の音ばかりが周囲に響く。
「……まぁ、こんな所か。今日は切り上げよう。
皆もご苦労だった。後は他の騎士団がやってくれるさ。」
こめかみに指先を当て、誰もいない広場で喋る。
所謂通信魔術だ。特定の刻印を持つもののみ脳内で会話が出来る。
各々の黎明騎士団が挨拶をし、皆が皆自由な時間へと向かっていく。
きっとあるものは女遊び、あるものは宿屋で休む頃合いだろう。
「さて……私も帰るか。」
今日は色々あった。
今日の日報を纏めるために宿へと行こう。
そう思って、歩を踏み出した頃合いだった────。
■レヴィア > ――今夜も吸血鬼は夜を歩く。
手元のワインの中でも特に高価な赤ワインの瓶と、真っ赤なバラの花を一輪だけ綺麗な紙に包んだものを抱え、人の気配がさっぱり消えた噴水広場をのんびりと歩く。
空を見上げれば満点の星空、雰囲気はバッチリ、空気も悪くない、で、何をしているかと言えば以前目をつけた聖騎士様を玩びに…もとい、お友達に……でも無く、約束とも言えない約束を果たすと同時にスカウトに。
日を跨がず即日実行。
星明りでも十分に見える鮮血のように透き通る紅色の瞳は早速ターゲットを捕捉して、わざと足音を立てないように、ブーツの裏をほんの僅かだけ地面から浮かせながら、そーっと、そーっと、背後から調度歩みを進める後ろ姿に声をかけてみる。
「お迎えに上がりましたよ騎士様。
生憎ホワイトスケルトンホースは触媒足らず召喚できませんでしたので、徒歩で、お土産片手に馳せ参じましたよ?」
隙あらば手を伸ばして聖なる騎士様の背中をつつーっと撫でて見たいが、それは流石に不意打ち判定でズンバラリンを切り裂かれそうなので、あくまでもルージュののった唇で微笑みを浮かべるだけに止め、悪戯は……我慢した。
■レイ・L・アイリス >
今日も少し肌寒いな。帰ったらスープでも作ろうかな。
そんな事を思いながら歩を進める最中、水音に紛れてなにかの気配を感じたような気がする。
「……?」
レイは現役の騎士であり、戦いの場に立つ者でもある。
戦場と言わずとも、暗殺などには常に警戒している。
足音はないが、妙な気配だ。直剣の柄に手を添えて、ゆっくりと、徐々に、徐々に歩幅を狭めていく。
瞬間、マントを翻して振り返ったが、ついぞその直剣が抜かれることはなかった。
代わりに、金色の両目が驚きに見開かれる事になる。
「アナタは……確かレヴィア、だったか?どうして?
お迎えに、って……まさか、本当に来たのか?私の?」
つい先程会ったばかりの相手だ。
脳裏にはその光景が思い浮かび、ちょっと羞恥にほんのりと頬が赤く染まる。
それくらいには恥ずかしい思いをしたのだ。
直剣の柄から手を離せば、改めて気を取り直してこんばんは、とご挨拶。
「本当に会いに来てくれるとはな……冗談ばかりだと思っていたが……。
まぁ、何はともあれ出迎えには感謝する。宿までの道すがら、一緒に行こう。」
と、柔く微笑んだ。
そう、精々宿までの道すがらだろう。その程度にしか思っていない。
■レヴィア > 危なかった。
本格的に危なかった。
決して甘く見たわけではないが、小粋な吸血鬼的な悪戯くらいなら、と思ったのだが、紅色の瞳に映るマントを翻し振り返る姿は思わず見惚れそうではあったが、片方の手は確りと剣の柄を添えられているが見えた――判断を間違えたら、色々と隠しているが吸血鬼であるし、不意の行動でその剣が抜かれる可能性はやっぱり消えない。
「ハイ、貴女の、貴女のレヴィアです。
一緒にワインを飲みたくて、お約束の通りレイをお迎えにあがりましたが?」
瞳に映る先ほど健全にからかったばかりの騎士様のほんのりと頬を染める様子に、わざと『貴女の』を二度言葉に混ぜながら、本当に迎えに来たことを告げると、こんばんは、とご挨拶を返してから、花束のように白い紙に包まれた一輪の真紅の薔薇をすっと差し出して。
「行き成り花束だとご迷惑かと考えて1輪だけ。
えぇ、じゃあお言葉に甘えてレイのお宿にお邪魔させて頂きますわ。」
柔らかな微笑みに同じだけ柔らかな微笑みを。
そう、お気に入りの高価なワインを持ってきたのだから一緒に飲むつもり、何なら軽く温かいものでも作ろうか。
そう、最初から最後までそこまでご一緒する心算である。
なので、極々当然のように宿にお邪魔すると言い切ったのだ。
頭の中で、お屋敷に招くつもりだった時のシナリオを脳内のペンで書き換えて、脳内のシナリオブックには聖騎士様のお部屋で何をするかを考える、先ほど考えた通り今夜は寒い?っぽいので温かなものでも作ろうかと。
■レイ・L・アイリス >
「…………。」
一瞬、硬直。
「……"私の"にした覚えもないのだが……???
わ、私のことを気に入ってくれるのは嬉しいのだが、我々は今日知り合ったばかりじゃないか……?」
なんというか、こう、距離の詰め方が凄い。
あの時もそうだったが、一体何がそんなにお眼鏡に叶ったのかよくわからない。
レイ自身の自己評価は極端に低い訳では無いが、そこまで言われると困惑に繋がる。
とは言え、それが全て好意からなるものと考えると無碍にしづらい。
何より、ちょっと悪い気がしない自分がいた。んん、と咳払いをして気を取り直す。
彼女といると、調子が乱れっぱなしだ。
「ん、ありがとう。此れは……薔薇か?部屋に飾らせてもらうよ。
……ほ、本当に付いてくるのか?い、いや、邪魔するのは良いのだが……面白い場所でもないぞ?」
薔薇を受け取りつつも、此処まで本気だとはちょっと恐れ多い。
人に施しを与えるならかくも、こんなに物を貰うと申し訳ない。
「こんなに良くしてもらうと、私もお返しを考えないとな」
貰いっぱなしはよくないから、と歩いていくと程なくして民宿の前についた。
平民地区にある通り、冒険者御用達の民宿だ。
慣れた手付きで扉を開ければ、シックな雰囲気のラウンジが広がっている。
全体的に派手ではないが地味でもない自然な木目の色合いに、自己主張の激しくない植物達。
カウンター店主と思わしき、ヒゲモジャのドワーフはレイとレヴィアを一瞥すれば、すぐに視線を本に戻した。
無愛想な男ではあるが、レイにとっては信頼のおける人物だった。
そして、ラウンジのテーブルには何やらカードを広げる少女が一人。
緑髪のぼんやりした表情で、レイと同じ軍服姿の少女だ。
『……あ、おかえり。だんちょー。……その人誰?せふれ?』
「違うぞドミー。友人だ。他の団員は?」 『まだ~帰ってきてない~。』
凄い慣れた感じできっぱり訂正する。随分と独特な雰囲気のある少女だ。
こっちに、とレヴィアを誘導するように向かったのは、民宿の一番奥の部屋だ。
「うちの団員が、不躾ですまない。彼女はドミー、私の騎士団の一員だ。
此処は我々が活動する際にご行為として間借りさせてもらっている。」
と、簡単に説明すると扉を開ける。
レイが普段使っている部屋。その中はよくある民宿部屋と言った感じであり
最低限のテーブル、クローゼット、清潔感のある大きなベッド、と言った具合。
また、彼女の趣味なのだろうか。食器棚と思わしきものにはいろんな形のグラスがある。
「余り面白みのない部屋だが、寛いでくれて構わない。」
■レヴィア > ちょっと面白いし、かわいい反応が見れて役得である。
あまりやり過ぎると嫌悪に代わる可能性もあるので、悪戯は弱火にしておいて、突くと楽しい聖騎士からかいは一度中断。
距離を詰めて、相手の懐に飛び込んで、首筋にガブッとするのが楽しくて、美味しくて、己の見目麗しさを自覚して事もあり直ぐに相手との距離を詰めていく吸血鬼の少女?である。
さて、本当についてくるのか?と問われると、返答の代わりに微笑み浮かべる薄紅ひいた唇の両方の隅を僅かに持ち上げて、悪戯めいたものを微笑みに混ぜた後に静かに頷くと、聖騎士様の隣につかず離れずついていく、腕の一つでも組んでみようか?とまで考え付いたが、それも何とか飲み込んだ。
――冒険者御用達の宿。
貴族であるが小説家でもある吸血鬼の好奇心をそそる宿。
ドワーフの店主とか、凄く小説のネタに取材をしたいが我慢我慢と小さく自分に言い聞かせ、更に進んでいくと今度は聖騎士様の同僚の……少し美味しそうな緑髪の軍服の少女。
「えぇ今はですがせふれというモノでも、恋人というモノでも、何でもないお友達ですの。」
キッパリと否定する聖騎士様をよそにしっかりと補足説明。
『今は』とつける事で冗談とも何れとも想像できる余地を相手に与えながら、オマケとしてサテングローブに包まれた指先をパチンと鳴らすと同時に棘のない赤いバラを一凛、何処からともなく取り出して、ドミーと呼ばれた少女のそばを通るときに、そっとそのテーブルにのせてから、軽い会釈を残し、聖騎士様の後へ。
「ドミー様も聖騎士様なんでしょうね。
次にお邪魔する時はドミー様達の分の差し入れも持ってこないといけませんね。」
にんまりと笑って聖騎士様を見上げた後に、招かれるがままにするんっとお部屋に入り込むと、一度だけ室内をぐるりと見渡したのちにテーブルにコレクションの一つでもある高級な赤ワインの瓶を静かにのせて、さてどうしようか。
「お腹が空いてらっしゃるようなら温かなスープでも作りましょうか?ほら空腹でワインは悪い酔いするかもしれませんし、それともシャワーか何か浴びてきますか?お体を拭くという選択肢もありですけど。」
瞳と同じだけ鮮やかな紅色の髪を揺らして、小首をかくんと傾げて、部屋の主に問う。
なおそろそろ対外用の仮面が外れそうではあった。
■レイ・L・アイリス >
「("今は"……???)」 『またねぇ~。』
聞き逃しはしなかった、一旦言及は避けておいた。
ドミーの方はと言えば薔薇を一瞥した後、じぃ、とレヴィアを見ていた。
そのぼう、とした視線は何かを"気づいている"ようだった。
「ああ、我等は黎明騎士団。今は使える主もいない自由騎士団だ。
気のいい奴らばかりだが、そう気を使わなくて結構だ。アイツ等は、アナタみたいな美人だと調子に乗ってしまうからな。」
使える主も、国もなくなってしまった。
そこに名誉がなくとも、未だ全員の胸に誇りはある。
例え、どのような腐敗した国であろうと、恩義があれば民を守る守護の剣。
最早、この騎士団は第二の家族のようなものだった。
事実、そう語るレイの表情は穏やかで何処か嬉しそうだ。
「そんなに物珍しいものは無いが……ああ、そのグラスか?
私の趣味なんだ。なんというか、集めるのに丁度いいと言うか……。」
所謂惰性で続けるタイプの収集癖。
何が良いのか、と言われるとフィーリング的な所があるので口で説明は難しい。
軍帽を取れば、棚へと立て掛けると軽く伸び。自室ということもあり、あの時よりはやや無防備だ。
ワイングラスを二つ取り出せば、ことりとテーブルに並べる。
「ん、確かに小腹は空いているが……アナタは料理も出来るのか?
シャワーは後でも……んん?待て待て、なんだか全部アナタがやること前提になってないか???」
シャワーはともかく、もしかして返答次第では体を拭く気だったのか。
そう考えるとちょっと脳裏に過るあはん、うふんな感じのそれ。
勝手に表情がまた赤くなり、ばっと胸元を庇うように抱きかかえた。
「そ、そういうのは後で良い!……き、気になるならシャワーだけ浴びてくるが……。」