2025/05/25 のログ
ご案内:「魔族の国」にジェーンさんが現れました。
ジェーン >  
夜更け。街中からは多くの光が消えて夜空には星と傾いた月が煌めいている。
どこかでは、まだまだこれからだと飲み騒ぐ喧騒もあるが、国門近くは閑静。
見張りに精を出さない兵士の欠伸や松明が燃えて崩れる音も響くほど静かなそこに

「――」

首無しの死体が壁にもたれて足を投げ出し手を投げ出して放り出されていた。

「んぁ?」

――違った。

ぼう、と、火山の噴火口を人工的にあつらえたような……
首に据えられたその何とも奇妙なものから青白い炎が立ち上る。
同時、人間、魔人、魔族ともあれ人型なら口がありそうな箇所から、
寝惚けた声。

「……おっとぉ……いけない。飲み過ぎたかなぁ~……飲みすぎたなぁ……」

よっこいせぇ、と気怠そうな声が口もないのに口があるところから出て
億劫そうに相変わらず首のないまま顔のないまま傍目死体が起き上がり
片手に持った酒瓶ごと両手をうんと持ち上げて背筋を伸ばす。

ジェーン >  
ふわり。
風もないのに、マントがはためき、マントの内地も首の炎のように青白く燃え上がる。
ふわり。
風もないのに、足元の帽子が舞い、頭もないのに頭に被る手の仕草で頭の上? らしき位置に鎮座。

「頭が痛い……」

どこだよ頭は? と見物客がいたなら突っ込み受けるだろうぼやきを一つ零した、あと

「二日酔いには迎え酒」

間違ってるよ? と見物客がいたなら突っ込み免れないだろう呟きを一つ零した、あと。
酒瓶を持ち上げれば親指で栓を回して酒瓶の口を開ければ、口? らしき場所に宛行い傾ける。

ごく、ごく、ごく、ごく、ごく、ごく……。

酒が溢れ落ちて消えていく。
無い喉が鳴っている。

ジェーン >  
「ぷはぁ!」

酒瓶から、口? を離せば満足そうな吐息を盛大に吐き出した。
上着とマントを繋いだ薔薇のブローチは今まで萎びていたが……
酒を飲み下した途端から赤赤と色付きはじめた。

「美味い! 頭は痛い! 二日酔いには迎え酒というじゃないか!
 致し方ない。薬を買いに……空いてるか? 薬屋。朝だった気がするんだけどなぁ飲んだの。
 というかここどこ?」

きょろきょろ。
とシルクハットや身体が右に左に傾いたり回ったり。
後、多い独り言をぶつぶつぶつぶつ溢しながら傾く。

「ぜんっぜん記憶がない。ただでさえ記憶喪失なのに酒で記憶失くすとは。ウケる~」

ジェーン >  
「まぁまぁとまれ、歩いてみよう、なぁに、どこかには着く」

かつ、こつ、かつ、こつ、かつ、こつ。
記憶失くすまで飲んで二日酔いの割には確りとした足取りで。
素なんだかまだ酔っ払ってんだか多い独り言はそのまま。
どこか見覚えのある場所を探して人気のない通りを歩き始めた。

ご案内:「魔族の国」からジェーンさんが去りました。
ご案内:「魔族の国 鎧都市グレイゼル」にラストさんが現れました。
ラスト > 鎧都市グレイゼル―――
魔族領に位置するこの都市が、先刻まで騒々しい最中となって居たのは
他領より攻め込んで来た、他の魔族の軍による攻撃が原因だ
本来ならば、攻め込んで来る人間に対して、同じ敵を持つ同胞で在る筈だが

――まぁ、魔族と言う物は、得てしてそう云う物だ。
其の価値感は、力と覇権に偏り、協力と言う選択を選ばぬ者も多い。
そう云う物だと理解して居るが故に、怒りは湧かぬ
ただ、手を出してくる胆力が在ったのだなと、寧ろ感心さえ覚える程だ。

「―――――――………さて、後は任せる。
外壁の修繕と、防衛兵器の点検を済ませろ。 負傷兵が居れば救護して遣れ。」

――――但し、手を出して来たならば当然ながら、憐憫する必要も無い。
後に残るは、城壁の突破に失敗した敵軍の残骸と、全力逃走した敵将の痕。
圧倒的な被害の差を示しながら、相対する将として最後の指示を部下に送り
後を任せて、再び城へと戻って行く。

――久方ぶりに、余興にはなったか。
最終的に敗走撤退を選んだのも、まだ諦めてはいないからであろう。
其の意気や良し、其の儘消沈して大人しくなって仕舞う位ならば
いっそ、この場で首を刎ねてやっても良かったのだが。
後を、愉しみとしよう。 再び、己が首を獲りに来る事を。

ラスト > 敵となるべくは必ずしも人間ばかりではない。
同胞である筈の魔族もまた、一枚岩とは到底言い難い状態だ
だが、そうでなくては。 そうでなければ、詰まらぬ物だ。
故に、己は歓迎する、強き者を。 其れが何者であろうと構いはしない。

其の為に、また、今暫くは、領主としての己を全うするとしよう。
其の果てに何が待ち受けているのか、退屈が紛れる其の時を、楽しみとしながらに。

ご案内:「魔族の国 鎧都市グレイゼル」からラストさんが去りました。