2024/02/26 のログ
ご案内:「魔族の国・何処かの領地」に天ツ鬼さんが現れました。
■天ツ鬼 >
魔族の国、広大な地の一角。
特に女鬼は何かしら用があったわけでもない。
ただただ粗雑に踏み入った地が強力な魔物の巣だったか。
紅い月の下、灼けるように輝く亜麻色の髪を振乱し、女鬼は片端から大型の魔物を捻じ伏せる。
「──ククッ、いずれも小粒とは言い難い…!!」
…あるいは名の在る者の統治する領土であったか。
知能の高さからか魔法を使う魔物すらも居る。
何より、力のみを是とする女鬼の腕力を以てすら満足に御せぬ巨獣までもが混じる。
頭数こそ少ないなれど、どれもこれもが粒揃い
血風吹き荒ぶ中、返り血だけでなく女鬼自身の血もそれに交ざる。
苦戦、それもまた良し。
痛みなど闘争の快楽に比べれば微々たるもの。
狂ったように凶悪な笑みを浮かべ、迸る翆の眼光と共に疾走る女鬼。
──辺りには雷鳴にも似た、闘争の破音が鳴り響いていた。
■天ツ鬼 >
何匹目かの巨獣の頭蓋を砕き、大地に埋没させる。
一瞬、女鬼の動きが止まったトドメのその瞬間を狙い、編み上げられた炸裂魔法、そして高熱のブレスが飛来する。
「───!!」
無論回避など出来よう筈もなく、直撃。
爆炎の中、蹌踉めくように蹈鞴を踏む、───が、倒れはせず。
「…やってくれるのう」
大きなダメージはむしろ更に女鬼の戦いへのボルテージを上げてゆく。
傷つけば傷つくほどに力が増大しているかのような錯覚を与える女鬼の戦場での振る舞いに、高い知能を持つ魔物は先んじて離脱を始める
「呵々、逃がすか───!!」
痛い目だけ見せて逃げ果せようなぞ果実の如き甘さ。
背からなどと気にするべくもない。荒ぶる鬼の爪が魔物の肉体を引き裂き、場の血の匂いを更に濃くしてゆく───。
…幾らか時が過ぎ
「がは、っ……ええい、歯ごたえがありすぎるのも、考えものぞ…」
すっかりと静けさを取り戻したその場に、女が力尽くしたように胡座をかき座り込む。
強敵との死闘は大歓迎であるものの、こうも強敵ばかりとは如何なものか。
頑強なる肉体に任せ襲い来る魔法を殆ど受けきってしまったのも問題だったが、いちいち避けるのも面倒という性分ゆえ、仕方なし。
──ひとまず
辺りにとりあえず獰猛な魔物の気配は感じられない。…さすがにこの場で大の字に眠るわけにはいかないまでも、しばしの休息。
まぁ、またご馳走の追加が来るのであれば、それはそれで…もう今日は十分に満腹ではあるものの、悦んで喰らわせてもらうのだが。
■天ツ鬼 >
幾ばくかの時が過ぎ、やれやれと女鬼は立ち上がる。
万全とはいかぬまでも傷は塞がり、体力も戻った。
「さぁて。もう少し奥地まで進んでみるか?」
より強い魔物がいるかもしれぬ、と。
飽くなき期待に胸を弾ませ、魔族の地を鬼は歩んでゆく──
ご案内:「魔族の国・何処かの領地」から天ツ鬼さんが去りました。