2023/10/20 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
「呵呵。渾沌の者なぞ眉唾と思っていたが」

岩肌、月光の下
生まれの山に戻っていた女鬼が一匹、佇んでいた

全身に無数に刻まれていた傷跡は跡形もなく癒え、失われていた右腕はその姿を取り戻している
潰れていた右目もまた紅く爛々と夜闇に輝き───鬼は五体満足な肉体を取り戻していた

「…傷痕まで綺麗さっぱり、というのはやや寂しいが、已むを得ぬな…」

自身の闘争と苦戦の記憶でもある傷痕、この肉体に傷を遺したとあらば余すことなく強敵から手向けられたもの
それを誇りに…とまでは思わぬまでも、消えさり美しい身体を取り戻してみるとやや物寂しさは感じていた

天ツ鬼 >  
「さて、あの童が何か言っていたが…まぁ構わぬか」

渾沌の力を借りて…代償がないわけもない
細かいこと気にしない性分の鬼ゆえあまり気にも止めない、どころかまともに聞いてすらいなかった
"女にとって屈辱的な代償を戴いてゆく"
という内容だったが、女であることに拘りもない天ツ鬼にとってはどうでも良かった…というのも大きい

「まぁ好い好い。快気祝いといこうかの」

麓で手に入れたとっておきの酒を空ける
快気祝いなどなくとも飲むつもりではあったが、それはそれ
どっかとむき出しの岩場に腰を下ろし、酒瓶を大きく煽る
口の端から酒が多少溢れ落ちることなど気にもしない、豪快な飲みっぷりである

天ツ鬼 >  
「──くふー、早速身体の調子を試す機会はないかとも思ったが」

結局酒瓶が空になるまで酒を飲み、女鬼は立ち上がる
いい気分で酔った時は喧嘩相手が欲しくなるが、生憎今日はそれには恵まれなかったらしい

「──くく。しばし帝国を荒らすのも悪くはないかの。別段人を喰らいたいという気もないが…」

有り余る力を宿す己の肉体に、ついつい調子が乗ってくる
此方で暴れ回っていた頃のことを思い出し、やや沸き立つものすら感じる
単純な性格の持ち主ゆえ、そう見られぬことも多いが、シェンヤンの民にとっては人喰いの悪鬼には変わりがない
思えばあの頃は多くの道士を屠ったか、とやや懐かしくも思いながら

「ま、力が余っておるのだから、已む無しとしよう♪」


ほんのり千鳥足、たっぷり酔った女鬼はよたよたと山道を下ってゆくのだった

ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」から天ツ鬼さんが去りました。