2024/10/28 のログ
■影時 > 「……ちと面ン倒だが、もうちょっと奥の方まで向かってみるかねぇ。なに、ちょっとだけ。ちょっとだけ、と」
さて、如何に守護を掻い潜るか。天の理。地の利。人の守り。これらを縫い、忍び込む手立てを考えるのはとても楽しい。
腕組しながら考え込み、零す言葉は戯れめいているが、何せ真っ向からとなると正気を疑う沙汰にもなる。
最奥と思われる方角から感じるものは、生半なものではない。侵入を果たすならば相応の謀を以てしなくてはならない。
そもそも、この国に足を運んだのは喧嘩を売るためでも何でもない。酔狂転じて災いとなることだけは、避けたい。
どの位の塩梅ならば、虎穴を突く騒ぎにならずに済むか。考えだすと塩梅が難しい。
最終的に欲するものはいまいち当たらなかった、出会えなかった結果のみを持ち帰るべきか。
子分たちに探索をさせるのも考えたが、仙人の類が想定通りとするなら、迂闊な探索はリスクになりかねない。
年月を経て長く生きた獣が“化ける”ことがあるが、それと同じ手合いが仙人として宮中に使えていた場合、どうだろうか。
文字通りの余所者が、跋扈している姿を見咎めないとどうして言えるか。
それがこの場所に子分たちを出さず、雑嚢の中の向こうにある隠れ家に寝かせて老いているのはそのためだ。
「……まぁ、無理はしねぇに限るか」
書庫に気配が己以外に感じ得ぬなら、第六感的に危機を察知しえぬならば、今のうち。
外に出て、警戒を突きすぎない範囲で宮中の有様、風情を堪能し切ってから、そうっと。夜陰に紛れて姿を消そう――。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」から影時さんが去りました。