2024/05/19 のログ
ご案内:「帝都シェンヤン・皇城宮殿」に緋天尊さんが現れました。
■緋天尊 >
「ふぅあ…ぁ、…ぁふ……。ふぅむ……。
やはり帝都は退屈であるな…。王都のほうが些か刺激がある…そうは思わぬか?」
帝都シェンヤンの奥に鎮座する皇城。
宮殿の廊下にて数人の道士を共に連れながら、退屈そうな表情を浮かべる后女が一人。
お付きの道士達は言葉を濁す。
否定材料がないものの、肯定すればまた王都へ征くぞと出かけられかねない。
帝都から王都へ、気楽に移動というわけには往かず、その度に従者達は気が休まらないのである。
「ふん。怠惰な。
我の為に働けるのだぞ。光栄に思いこそすれ、面倒事と思うなど恥を知れ」
そんな内心を見透かし、つまらぬ者達よの、と鼻を小さく鳴らし。散歩を続ける。
ご案内:「帝都シェンヤン・皇城宮殿」にグスタフさんが現れました。
ご案内:「帝都シェンヤン・皇城宮殿」からグスタフさんが去りました。
■緋天尊 >
「(──ふむ…? 今、誰か、気配が──?)」
宮殿の中、悪仙なども入り込めぬ、ある種の聖域…。
そこに緋妃が感じとったものは明らかに"邪な気配"、である──。
「…どれ、少し"視て"みるとするか───」
ご案内:「帝都シェンヤン・皇城宮殿」から緋天尊さんが去りました。
ご案内:「帝都シェンヤン・皇城宮殿」に緋天尊さんが現れました。
■緋天尊 >
『如何されましたか、緋妃様』
駆け出した緋天尊に続き、やや遅れて従者達が追い縋る。
「──道士ども。妖の気配は感じなかったか?」
虚空を見つめる金眼。
その様子に道士達はそれぞれ眼を見合わせるも、首を傾げるばかり。
「……ふむ。吾の勘違いであれば良いが。
宮殿には強固な警備も結界も在る。よもや悪妖が入り込むことはなかろうが…」
口元に白指をつがえ、やや思案を巡らせ──。
「…いや、気になるな…。道士ども、周辺を探るのだ。
宮殿は広い、結界のほつれなぞもないとは限らんからな……良いな?」
命じられた道士達は一様に了解の礼を払い、その場から散ってゆく。
「妖ならばまだ良し…。
よこしまなる人間がこの宮殿では最も厄介であるがな」
さて、と一人その場に残った少女は悠然と廊下の先へと歩み始める──。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」に緋天尊さんが現れました。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」にキュリアスさんが現れました。
■緋天尊 >
「……さて」
ドレスの裾から取り出した華美なる扇子。
それを口元に広げ、長め見るは帝都の城下町。
窓辺から覗く町並みは夕陽に照らされ赤く燃える。
陽が沈み、闇が訪れる。
杞憂で終われば良し。
それでなければ…何かしら、起きるか。
くすりと口元に浮かんだ笑みは扇子にて隠され、誰にしも見えはしない。
■キュリアス > そんな皇城に住まう付き人は多けれど、時には小さな獣すら見逃してしまう時もある。
夕陽に照らされた城下、その半開きだった窓にだらりと紫と白の光が見えた。
それは一本の長く、ふさふさとした毛に覆われており、左右にゆらゆらと揺れて。
すぐにそれが動物の類いの尻尾だとその審美眼を持つ彼女にはわかるだろう。
それが何度か左右に揺れた後、上に戻っていき……。
「にゃあ?」
ひょっこり、と窓の上の方から、逆さまに顔だけ見せた尻尾の持ち主。
銀色を持つ口ひげと、強く真っ赤に輝く夕陽にあってなお宝石のような煌めきを持つ黄金と蒼の瞳を持つ猫らしき姿。
しかしただの猫にしては、紫と白の毛皮を持つ者などあなたの知識の上では見たかったことがないだろう。
窓の天縁を猫は両手で持ち、窓辺にいたあなたとその眼が合う。
「にゃーん」
不遜なのか、あなたに興味を持ったのか、その猫は笑うように泣いた後。
ひょい、とその身軽さであなたの目前に、廊下の上に降り立つ。
■緋天尊 >
「……ねこ?」
少女が金眼を丸くする。
このような場所に、というのもあったが。
その物珍しい毛並みにも、意識を奪われる。
「ふむ…誰ぞの愛玩動物か…?」
舞い降りたその姿をじっと見下ろす様に。
この宮殿にも高価な猫を愛でる者はいよう。
飼われているのであれば、何かしら…首輪であったり、など。
そういった印がるものかと、その小さき闖入者へと視線を向け続ける……。
■キュリアス > 「ねこだにゃ~」
そんなのんびりとした、男とも女ともとれぬ声がその猫の口から聞こえる。
同時に、その首には所有物なのであろう、黒い首輪があることも。
細くその青目を細めて視線を向け返して。
意識奪われた彼女の反応がどうあれ、その猫は前足を一度自ら舐めた後近づき。
「ご主人様とはしばらく会ってないにゃあ。
キミは誰かのペット?それとも誰かをペットにしてるのかにゃ?」
猫の動作、しかし人間の動作のように首をかしげる。
くるり、とあなたの周りを一周するように歩けば、その大きさもわかる。
少し小柄めな彼女の心身の半分ぐらいの大きさであり、まぁまぁ大きい。
少なくとも子猫と言うようなサイズ感ではない。
「まー僕ちゃんも誰かをペットにしたりとかするのは好きだけどにゃあ~」
■緋天尊 >
人語を解する。
大きさも、一般的な猫として見るには大きい。
その首には黒い首輪こそ見えるものの──。
「ほう。人の言葉を話すのか。主人もいある…か。
妖猫の類…そのようなものの飼い主が宮殿内におればすぐに話題に登ろうものだな」
で、あるならば…外部からの侵入者…いやさ侵入猫。
「ふ、吾は人の上に立つ者。
愛玩動物を愛でる趣味はないが多くの者を従えているぞ。
……ふむ。それはどう意味だ?猫よ」
近づく猫を見下ろしつつ、その言葉。
誰かをペットにする──、その言葉に問いかける。
言葉の意味通りなのであれば、人に害する某か──そんな輩かも知れないと。
■キュリアス > 「妖猫?猫は猫にゃ。別のところはミレーとも言うにゃ。
まぁ僕ちゃんは猫と思ってるから猫なのにゃ~、誰かさんに決められるものでもないしにゃ~」
ふわぁ、と大きなあくびをした後、ペロリとまた前足を舐める。
ぶるぶると体を震わせながら大きく伸びをした後、またあなたを見上げて。
「たくさんの人の上に立つかにゃあ。まぁ、ニオイからしてそうだろうにゃあ。
滅茶苦茶キミは強いニオイがするにゃ。人を惹きつける何かもあるにゃあ。
―――どういう意味か、かにゃあ」
うーん、と頷き、まるで悩むようにその場でゴロゴロと転がる。
尻尾を動かしながら、左右に、廊下の上に自らを擦り付けるように。
どこか背中辺りがかゆいのだろうか。
「僕ちゃんはペットにされたい人をペットにするにゃ。ペットにしたい人のペットになるにゃ。
みんなの心の隙間を埋めるのが僕のやることにゃ。
キミも、もしかしたらそういう心の隙間を埋めたい何かがあるんじゃないのかにゃ?」
そう、その黄金と蒼の瞳が大きく開き、あなたを見つめ返す。
まるで青空に浮かぶ満月のような奇怪な眼をしていた。
「キミのやることはなんにゃ?人を使って何をしたいのにゃ?」
■緋天尊 >
「なるほど、ミレーか。王国にそういった神子のような種がいたという話は聞く。
いや、しかしお前は猫だ。吾が猫と思うが故にお前は猫とする」
ふふんと笑みを浮かべた口元を扇で隠しながら、傲慢な言葉を投げかける后女。
「お前自身が自身を定義する共に在り方は他に委ねる…と。
では吾がお前をペットにする、といえばその首輪は吾からの枷になるのか?」
ごろごろと転がる様子に、少し身を屈め、語りかける。
嫌がらなければ痒そうにしているその背を手指を差し向け、撫でてやり。
「吾の心に隙間なぞ在りはしないぞ、猫。
人の上に立ち、下々の者の導となることが吾の在り方。
故に吾のやりたいことは言葉にするには多すぎるな」
猫に語りかける様そのままに、声色を和らげそう言葉を紡ぐ……
■キュリアス > 語り掛けてくるその声を聴きながら、身を屈めるキミの顔を見上げて。
撫でれば、その毛並は非常に整っており、汚れなど一切手指にはつかない。
まるでこの猫の身体だけ、ここの空気にすら触れていないようにも思えるほど。
そんな后女の撫でる手に、気持ちよさそうに猫は目を細める。
「この首輪は外そうと思えば外せるけどー……。
キミ、僕ちゃんの事が欲しいって事かにゃ?」
なんて言いながら、あなたの掌に首を擦り付けて。
和らげたその言葉を受けながら、ぺろり、とザラついた舌で手指を舐める。
「尊大で自信があって、すごいにゃあ。でも、隙間って言うのは常について回るにゃ。
それは寂しさとか、欲しいものがあるとか、自分がわからないものかもしれないにゃあ。
それに、願望だってその中には混ざるにゃ。だから……僕を欲しがるなら、それも入るにゃ。
…………僕ちゃんは、ペット欲しいなら別に構わないけどにゃあ」
にこり、と笑って。そう、対等なのかそうでないか微妙な声色で告げる。
■緋天尊 >
「吾は望めば大凡のものは手に入ってしまう。ミレー族であれ、その範疇であるだろう。
しかしお前は吾の前に舞い降りた。それは縁という奇蹟の一つ。吾はそれを快く思う」
語りかけながら、心地よさげに目を細める猫を愛でる。
美しく神秘的な毛並みを撫でつけ、時折手櫛のようにさらりと梳くように──。
「ふふ、もう一度言うぞ、猫よ。──吾に隙間なぞはない。
故にこそ、人の上に立つことができるのだ。それとも何か、お主は吾に隙間なくば納得がゆかぬか。
吾のペットとなるか否かは、戯れに問うてみただけではあるが…ふむ……」
そうか、この首輪は外せるのか、と。
その黒い首輪の嵌められた首元を撫で擦る。
「お主の今のご主人様、とやらはどうなる?」
■キュリアス > 「んにゃあ、快く思ってくれるなら何よりだにゃあ」
愛でられれば、愛でられるほど猫は嬉しそうに身を捩じらせる。
首元を撫で擦れば、不思議そうに首をかしげる。
「どうにもならないにゃあ。そもそも、今も生きてるかもわからないにゃあ。
ただ僕はそう生きて役割を果たし続けろとしか言われてないにゃ。
もう最後に見たのはすっかり忘れちゃったにゃ」
どこか懐かしむような顔、そのご主人様に対して、そこまでの感情はないのだろう。
ただ、役割を与えられた。だからその通りに生きている。
首元の首輪はなんてことはない、普通の首輪だ。
それこそ、あなたが外そうと思えば簡単に外せるし、猫も抵抗はしない。
「キミは僕ちゃんに、新しい首輪を着けたいのかにゃ?」
■緋天尊 >
「ふぅむ…毛並みも良し、手触りも良い。
ついでに人語に寄る意思疎通も出来る…。
王族が愛玩とするには良い猫ではある……しかし、そうだな…」
ふむ、と一度猫を愛でていた手を引っ込める。
このままの姿で人語を介する、それを傍から見た者は妖(アヤカシ)と見るだろう。
王国ほど、帝国の人間はミレーに対しての理解が深くはない。
それを飼い慣らして見せるのも…といったところではあったが。
「吾はお前を誰かから奪うような真似はしたくはないな。
まだ生きているかもわからぬ以上、己が首輪をつけた猫が、別の首輪をつけていてしまっては…。
うむ、やはりそれを良い気分で見れはしないだろう」
「故に吾はお前に首輪はつけぬ。その黒い首輪は…お主の主の安否が理解る時までつけておけ」
■キュリアス > 手を引っ込める彼女を見上げて、首をかしげる。
「そっかぁ。じゃあそうするにゃ。お気遣いありがとうにゃ」
その気持ちを理解したのか、最初は不思議そうにしていたがそう告げて。
朗らかに、そして嬉しそうに猫は言うと、しかし彼女の瞳をまた覗き込む。
一歩一歩歩みながら、じぃっと見つめて。
「でも、僕ちゃんはキミのことが好きになって来たにゃ。
どこにいるかも知らないご主人様よりも……ま、ご主人様が嫌いってわけでもないんだけどにゃ。
僕ちゃんはキュリアス、せっかくだからキミのことも教えてくれるかにゃ?」
小首をかしげて、その宝石のような瞳が射貫く。
それはある意味では、はたから見れば美しい神秘的な絵画にもなれるかもしれない光景であった。
「僕ちゃんはキミの願いを叶えて上げたいにゃ。どんなものでも、どんな形でも。
だから、欲しいものも、嫌いなものも、なんでも言ってほしいにゃ。
それが僕ちゃんの今の心の隙間だからにゃ」
■緋天尊 >
「その名も、"ご主人様"からつけてもらったのか?」
名を名乗る大きな猫。
じっとこちらと見つめる猫瞳を、龍の金眼が見つめ返す。
「吾は緋。緋天尊、この帝国の后女だ。
ふふ、猫が吾の願いを叶えてくれる、と?」
再び、するりと手をのばす。
なでつけるのは、そのふわふわとした毛並みの頭。
「吾は願いは自らの力で掴み叶える。
好ましいものも、苛ましいものも吾が自ら裁定を下す。
猫の手も借りねばならぬ、というには吾は恵まれすぎておるのでな?」
しかしこの撫で心地はなかなかに捨てがたい。
上等なシルクでもすべやかに撫でているかのようだ。
「しかしそんな吾でもどうにもならないことがある。
それは暇だ。何をするにも、時間をいくら詰めようがそれは合間に湧いてくる。
今日のこの時のようにな?ふふ…今日はお主…キュリアスが見事にそれを埋めてくれた」
■キュリアス > 「んにゃあ、違うにゃ。昔に自分で名乗ったのにゃ。
どうしてそう名乗ったのかは正直覚えてはいないんだけども。
なんとなく気に入ってるから名乗ってるのにゃ。
これ以外の名前を名乗るつもりはないのにゃ」
見つめ返した彼女を見ながら、笑いながら尻尾を揺らして。
「そうにゃ。よろしくな緋ちゃん。僕ちゃんはたいそうな力はないけど、その人の望みを叶えて上げたいのにゃ」
ふわりとした頭は柔らかく、雲のようなどこか不可思議な感覚。
綿よりも柔らかく、そして羽毛よりも心地よい感触が走る。
「なるほどにゃあ。やっぱり緋ちゃんはすごいのにゃ。
でも、そんな緋ちゃんだから、力になりたいって人も多いんだろうにゃあ。
だけど……その分、緋ちゃんは危ない気もするけどにゃあ」
彼女から感じる、覇気はあるが、この宮殿にあるニオイを感じて。
その中にある陰謀は、決して彼女に追いつくことはないだろうが。
あるいは、足元をすくわれる可能性はゼロではなく。
だから……そう、だから。
「ふふ……それならよかったにゃ。今後とも埋められたらいいにゃあ。
もしも、本当に猫の手も借りたいのならいつでも呼んでほしいにゃ。
…………暇な時間も、もしも、うーん。
床でも暇になったら、多少楽しませることは出来るにゃ?」
なんて、冗談めいて。
■緋天尊 >
「なるほど。己で己をそう名乗るのであればそれがお主の名だな。
そして心配は無用。そのような邪に吾が傅くことはない♪
随分と心配性な猫であるな~?」
なでくりなでくり。
そんな猫の心配を払拭させるように強めに撫でてやる。
「いつでも呼べ、か。
名を呼べば良いのか?……ふふ、そうかそうか。
ミレーであったな、ヒトの姿もある…ということか。
生憎、吾が身を寄せるのは相応の者だけにと決めておる。そちらの心配は不要であるぞ」
さて、と立ち上がる。
手に残るふわふわの感触が名残り惜しい。
「そろそろ吾の従者達が戻ってくる頃合い。
見つかれば妖猫扱いでてんやわんや…となる可能性もあるぞ。
良き出会いであった。褒めて遣わすぞ、キュリアス」
■キュリアス > 「わかったにゃあ。いろいろ、楽しかったにゃ」
強めに撫でられれば、非常にうれしそうな甲高い猫の鳴き声が上がる。
立ち上がる彼女を見上げると、先ほど入ってきた窓の縁へと飛び上がる。
すたりとその小さな縁に立ち、彼女へと振り向いて。
「うん、名前でもなんでも。僕ちゃんが欲しければ呼んでくれればいいにゃ。
その時に僕ちゃんが必要な時、僕ちゃんは来るしにゃ」
しゃらん、と鈴のような音が聞こえる。その首輪に鈴はなく。
ではこれは幻術の類いなのだとわかるだろうか。
「また会おうにゃ緋ちゃん。相応な者に出会えることを祈ってるにゃ」
そう告げると、その窓から飛び降りて。
彼女たちの従者が戻ってくるのだろう、果たしてこの猫が何者であったかは……。
少なくとも、話したあなた以外は覚えてはいないし、知りもしなかった。