2025/03/09 のログ
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ご案内:「タナール砦」からアンネマリー・エミリア・シュルツさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」に宿儺さんが現れました。
宿儺 >  
──荒れ果てた戦場。雄々しく怒号が飛び交っていたのも、つい先程までのこと。

屍が散り、瓦礫が散乱するその中央には二つの影があった。

一方は、浅黒き肌を持つ女鬼。その筋骨逞しき肢体はまるで鍛え抜かれた鋼が如く、指先には鋭い黒爪が光る。
もう一方は、山のような体躯を持つ巨鬼(オーガ)。その巨腕には、岩をも砕くほどの巨大な槌が握られていた。

巨鬼(オーガ)が咆哮をあげる。
知性なき暴力の化身の、実に単純明快な殺意に場の空気がビリビリと震え。
地面を踏み砕きながら突進する巨鬼(オーガ)を目前に、女鬼は裂けるような笑みを浮かべる。

──こうでなくてはな、と。

宿儺 >  
瞬間、巨鬼(オーガ)の槌が唸りを上げる。
風を裂き、大地を割る一撃——その威力は、まともに受ければ女鬼といえども──。
だが、女鬼はその場に根を下ろしたかの様に動こうとしない。

轟音、粉塵。
振り上げられた豪脚一線。
槌により一撃を相殺したに留まらず、同時に、爪が唸った。
紅の閃光が走り、オーガの腹に浅い傷が刻まれる。
───だが、所詮その程度、オーガは意に介さない。
逆に傷口から湧き出す痛みに憤怒し、さらなる力を解放するかのように槌を振り上げた。

笑みを浮かべるも、渾身の巨槌が振るわれ大地が揺れる。その衝撃波だけで女鬼の体が吹き飛んだ。
砦の壁を深く砕きながら転がり、ようやく起き上がるも、口元から鮮血が滴る。

「──くく、こいつは…喰いでのある輩よ」

宿儺 >  
拳を握りしめる。
己の足で地を強く蹴り、そのまま懐へと飛び込み、全力のボディブローを叩き込む。
鈍い音が響いたが、拳に返る感触は巨大な樹木の幹を殴りつけたかの様。
オーガは怯まず、近距離で槌を横薙ぎに振るった。

「ぐっ…!?」

横腹に槌が叩き込まれ、衝撃に強靭な筈の鬼の骨格が軋む。
──だが、所詮その程度。それは女鬼とて同じ。痛みは憤怒の燃料に過ぎない。
唾を吐き捨てながらも、闘志をさらに燃え上がらせる。

「呵々、生半可では満足できんか、うすらでかいの!」

全身の筋肉を極限まで膨張させ、地を蹴る。
疾風の如き速度でオーガの懐へ潜り込み、鉄槌のような拳が炸裂する。
オーガの巨体が僅かに揺れる。さらに女鬼は跳び上がり、爪を振るい、目を狙った。
鋭い爪が眼球を抉り、オーガが苦悶の咆哮を上げる。

その隙を逃さず、女鬼は全身の力を込めて——最後の一撃を放った。

「───砕けよ!!」

頭上で組み上げた両の拳。
爆音にも似た轟音が轟き、全力の鉄槌がオーガの頭を叩き割った。

宿儺 >  
巨体が崩れ落ちる。地響きと共に、戦場は静寂に包まれた。

女鬼は肩で息をしながら、倒れた巨体を見下ろしていた。

「……くは…、一対一とはいえ、このようなヤツもまだおるか…」

やれ疲れたと言わんばかりにその場に腰を下ろし、小休止。
得物を持っていたといえど、並のオーガと比較しても大きな体躯に屈強な肉体。太さ、大きさ共に申し分ない。
そこをもってすれば、対する女鬼など細身に過ぎない肢体。種が近ければ近いほどに、雄雌の差が露骨に現れることを実感していた。