2025/01/19 のログ
■クローネ >
程なくして魔力が満たされる。
普段は七面倒で唱えない詠唱文にて自然力へのチャンネルを開き、
幾何学模様の中に織り込んだ魔術式を陣として展開する。
…スクロールなんて便利なモノもあるのに、この手の魔法のものが効果なのはただただプロセスが面倒だからだ。
「はぁーあ、面倒な目にあった。
負けじゃあ前金だけか…飲み潰してやろ……」
未だ友軍は撤退戦中、少しでも生き残りを逃がそうと死力を尽くしているに違いない。
ただ生憎この女にはそういった泥臭い理念なんてものはなく、ただただ軽々に戦場を去るのである。
ロクでもない目にあった、酒でも飲んで気を晴らそう。
次いでにイイ男でも捕まえられれば、まぁ良い日ったと言える。
勝手気儘で自己中心的、戦場においても在り様を変えない、ある意味ブレない女は移送法陣の光に包まれ、砦の指揮所から姿を消すのだった。
ご案内:「タナール砦」からクローネさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にスラッグさんが現れました。
■スラッグ > 分厚き雲が幾重にも折り重なる曇天の下。
煌々と篝火が焚かれた砦にて戦勝の鬨の声が響き渡る。
石造りの砦の鉄扉を潜り抜けて凱旋を果たしたのは、されど、人族に非ず。
ゴブリン、オーガ、人狼などの魔族の姿である。
そう、この日、王国北方タナール丘陵地帯にて行なわれた人魔会戦の結果は、魔族軍の圧勝で。
最早、何度目か分からぬ奪取を経て、砦は魔族の手に陥ちる事になった。
『スラッグだ!大将首獲りのオークヒーロー、スラッグの凱旋だ!』
一人、巨躯のオークが門を潜れば歓声が尚一層、大きく響き渡る。
オールバックの短めの黒髪、潰れた鼻、下顎から伸びる牙、尖った耳、オークと呼ばれる種族の巨躯。
オークヒーローの呼び名の通り、数々の戦場にて戦果を打ち立てた魔族内での英雄的存在。
腰に下げた王国軍を率いていた騎士の首を掲げると魔族達は歓喜の声と共に祝杯を挙げる。
飲酒は人族の専売特許ではなく、巨人や鬼が産み出したものを人族が盗んだというのが彼等の定説だ。
呑めや唄えやの戦勝の宴が始まる中、オークの英雄たる彼は、一人、砦内に用意された部屋へと足を運ぶ。
敷き詰められた藁の上に布が敷かれた部屋は、鉄格子に囲われて、戦で捕縛された騎士や傭兵、冒険者、
或いは、逃げ遅れたり、近隣から誘拐されたであろう女性が囚われている。
英雄とし次代に繋げる後継者を残す役割が彼には与えられており、それを果たす為に雌を求めて牢に足を踏み入れて――――。
ご案内:「タナール砦」からスラッグさんが去りました。