2025/01/18 のログ
ご案内:「タナール砦」にクローネさんが現れました。
■クローネ >
「くっそー…マジで来るんじゃなかった…」
騒々しい、その一言につきる砦の中。
喧騒と共に戦場へと突っ込んでゆく王国軍と葉柄の一団を尻目に女…クローネは物陰に潜んでいた。
何度金額に騙されれば気が済むんだか。
タナール鳥への出兵依頼の仕事で金額が高い時は頭数が足りない、つまりは負け戦の確率が高い。
いい加減それを学習しなさいよと自分に説教をしたい気持ちで一杯である。
「ツケも溜まってるしてきとーに魔法ぶっ放していい金になると思ったんだけどなー」
現在、絶賛撤退戦、敗走中。思ったより強力な魔物が多かったらしく、俄仕込みの戦列では食い止めきれないようだった。
王国の師団が到着するまで保たないのであれば魔物が雪崩込んでくるのも時間の問題、必死に友軍が食い止めている中、
女はそこに参加するでもなく、いい感じに連中が時間稼ぎをはじめたらさっさと退散する腹積もりである。
「(移動用の魔法陣とか複雑で面倒なんだけど仕方ないか)」
魔導士のクセに細かい詠唱や陣の展開は苦手とするところ、だが自分一人でさっさと逃げるには一番手っ取り早い。
仕方なしと胸元から触媒用の宝石を取り出し、魔力を籠めてゆく。当然使いきり、高くはないが安くもないのでなるべく使いたくはなかった。
■クローネ >
魔力を高めていると、不意に集中が途切れる。
──激しくなる喧騒の中に混じり、剣戟の音、そして悲鳴までもが聞こえはじめたから。
「…もう突破されたわけ? ああもう、こんなトコ隠れてられないじゃん」
舌打ちしつつ、辺りを伺いながら物陰から顔を出す。
砦内の通路に人影はない。僅か安堵の息を吐きつつ這い出せば──。
「うげ…」
通路の曲がり角から現れたゴブリン数匹とエンカウントした。
当たり前だが、こちらを見るなり、武具を構えて襲いかかってくる──
「っ、ええい…舐めんな!ゴブリン如き!!」
高めた魔力を、魔法式を彫り込んだ腕の魔術刻印を通し、撃ち放つ。
広い砦の通路をまるごと塞ぐ程の爆発が起こり、振動と爆音、そしてゴブリンの悲鳴が響き渡る。
魔族の国からやってきたといえどゴブリンはゴブリン。やれないことはなかった、が…。
「(咄嗟にやっちゃったけど、不味ったかな……)」
音に引き寄せられたか、魔物の気配を色濃く感じる。
「どっか隠れられる部屋とかないわけ…?」
駆け出し、部屋を探す。
施錠もできれば尚良いが、せっかく移動魔法用に高めた魔力も今のだ使ってしまった。
じっくり集中できる、隠れられる部屋がなければ、正直困る。
──お誂え向きに、指揮所の一つとして使われる広い部屋が近くにあった。
素早く部屋に入り、扉を閉めて息を殺し、外の気配を伺う───。
魔物の一群が足音と共に通り過ぎていったことを確認すれば、やれやれと項垂れた。
「こんなもんワリに合わないじゃん。ツイてないったらないわ……」
ひとまず此処に隠れることはできそうだとゆっくり集中しながら魔力を高めてゆく、が。
触媒の費用くらい請求してやろうか、と苛々まで募ってくる……、