2024/11/11 のログ
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
砦に現れたのは──少数精鋭
ただし、対魔族のみを念頭に負いた専用の装備や魔術で武装された手練れの兵
魔王クラスの御首級を討ち取ろうとも、それに沸き立つ者はこの軍勢の中にはいない
魔王であれ、魔神であれ、悪魔であれ…滅ぼすべき魔族であることには変わりない
一切の容赦も躊躇もなく蹂躙し、逃げる者もその背から一切の慈悲なく貫き、殺す
「──…大勢は決したな」
剣に滴る赤黒い血潮を振り払い、灰髪の女は陣頭指揮を配下に任せ、外套を翻し砦の中へと向かう──
■サロメ > タナールを襲った軍勢に魔王の姿を確認
報告と救援の要請を受け、駐屯地から即座に砦へと向かった王国軍第七師団は然程時間も掛からずにそれを討伐…戦場を掌握する
──ただ、然程に強力な魔王でもなかったという事実がそこにはあった
大方、力に溺れた田舎魔族が自ら名乗っていた、といった程度だったのだろう
指揮所でもある一室へと戻れば、外套を外し…椅子へと腰掛ける
残党の処理、近辺の警邏、他の王国軍と連携しての砦の補修保全
繰り返し繰り返し行われる作業だ、師団の者なら最早手慣れている
「あの程度、傭兵達程度でも如何にでも叩き潰せるだろうに」
頬杖をつき、嘆息する
こうやって出向くのは構わない
魔族は皆殺しにする、その先代師団長からの理念に揺らぎはない
しかし対魔族特化の練兵や装備・魔術…第七師団が働くには傭兵や冒険者の兵達と比べて破格の金が掛かる
まぁ、動いた以上は…多少高くつこうが金は要求させてもらうが
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
■サロメ >
法外とも思える高い報酬を王国に要求する
王族貴族の顰めっ面が目に浮かぶかのようだ
しかそれは必要経費
魔族という、人間を脅かす存在を駆逐するために文字通り命を賭ける
その成功報酬という点でいえば、決して高くはないだろう
故に、最近ではより強力な、危険性の高い魔族の襲撃の報告があった時に第七師団は動く…というスタンスをとっている
冒険者や、傭兵といった部隊で事が済むのであれば、支援と退路確保に徹する
今日の一戦も、それに類する攻略難易度のものだったが、こういうこともある──
■ゼロ > 兵士とは、兵士である。師団長が、考える頭だとすれば、兵士は、その駒として、頭脳からの指令を受けて、殲滅する装置である。
特に、少年兵はその気質が大きい。他の団員よりもだ。
だからこそ―――兵団が動く時は、大体、其処に居る。
何時いなくても、戦場となればいつの間にか、少年兵は―――ゼロは其処に有る。
それこそ、何の変哲もなく、魔法の掛かっていない鉄の槍で、魔族を屠る。
今現在は、残党を狩っている所。
頭を屠られて逃げようとする雑魚。
彼等は一匹でも逃せば、群れに成り帰ってくる。アブラムシのような。
否、それ以上に知能がある分面倒臭くなる存在だから。
態々。魔族の領地へと続く門の前に、門番の様に立ちはだかり、逃げようとする魔族を抑える。
槍を振るい、雑魚を一匹、一匹、丁寧に、鏖殺していく。
魔族の蒼い血で染まった鎧は、元は白銀のミスリルの魔法の鎧だった。
ゴブリンも、オーガも、トロールも、必死に逃げようと門に殺到する存在を、部隊の仲間と共に。
そして、手が空く仲間は、少しずつ、少しずつ、砦の方に、修繕の方に戻っていく。
■サロメ >
高位魔族を滅することの出来る短期戦力は、王国にもいくらかは点在している
魔王を撃滅するほどのものですら、幾らかはいるだろう
無論見つけ次第、魔族を殺すための剣として第七師団がそれらの力を擁する…そんな活動も続いている
それは、先代師団長の頃から変わらない
──今、砦の中へと踏み入いるだろう少年兵もいまた、その一人と言える
そういった稀有な人材を逃さないためにも法外な報酬は必要だ
もっとも、第七師団に属する者達が何のために魔族を狩るか…などは、人それぞれではあるのだが
ぎ…と椅子に深く掛け、時がすぎるのを待つ
最低限の砦の保全作業が終われば、後を近くに駐屯する王国兵に引き継ぎ、仕事は終わりだ
■ゼロ > 逃げようとしている雑魚を本来門で抑えるのは、自殺行為とも言える。
一般的に考えれば、そう言うのに限って、それこそ死に物狂いで襲い掛かってくるからこそ、始末に負えない。
我先に、と仲魔さえ見殺しにして、襲い掛かってくるのだけども。
それを逃がさずに、鏖殺し得るのが、第七師団の精鋭たちだ。対魔族に特化しているからこそできる。
師団のネームドの団員であれば、それこそ魔王を斃せずともその場に留める程度はしてのける。
流石に、新兵という訳では無いゼロも、それなりの実力は有る。
ゼロの実力を評価するとなれば、耐久力だ。
同じ部隊の仲間には、アンデッドと言われてしまう程度には、死なないし、何処に出しても生きて戻ってくる。
だからこそ、扉を閉めて、死に物狂いの雑魚を丁寧に鏖殺してのけるのだった。
ある程度の時間ののち、一匹の逃亡を許さずに仕事を終える。
魔族の死骸を、砦付きの神官に、アンデッドに為らぬように処理を依頼して。
そして、少年は砦に戻る。
石の床をグリーブで踏みしめ、階段を上り、師団長が、今駐留している部屋へ。
見て判っている事としても、報告は義務だ。
入室が叶うのか、叶わぬのかは、状況次第。
少年は、残念ながら、いま、師団長の状況を知りえていないから。
扉を、丁寧にノックする。
■サロメ >
部屋の扉がノックされる
懐から出した懐中時計を確認する…報告が入る頃合いだ
「入れ」
掛けられるのは、たった一言
この女が副師団長であった頃は、今より多少は愛嬌もあったものだが
前師団長が命を落とし、師団長の座と継いだ時から──少しずつ、様子は変わっていった
少年兵が部屋へと入れば、椅子にかけた女…現師団長の姿がそこにある
灰色の髪に、獅子の毛並みの様な黄金色の瞳
黒い甲冑に身を包んだ、どこか冷たさを感じさせる肌質の女
整った顔立ちにも関わらず、何事にも眉一つ動かさないだろうと感じ取らせる威容
その身に、そんな"風格"を身に纏って
■ゼロ > 入室の許可が、でた。
それは、報告を受け取る事が出来る状況だという事を示唆している。
「失礼します。」
少年兵は、声を放ち、扉を開ける。
普段から突けている仮面を外し、顔を晒す。
流石に、師団長の前で―――前の師団長は気にはしていなかったし、それで良いとの指示があったから仮面をつけていた。
今の師団長は、その話をしていないから、礼儀として仮面は外す。
この国ではない、黒髪黒目の黄色人種の顔が其処に有った。
「第七師団タナール方面軍第一強襲部隊所属、ゼロ。
報告をお持ちしました。
今回侵入してきた下級魔族、その配下の、妖魔、妖獣、鏖殺完了しました。
今現在、砦の破損個所の報告を砦付きの工兵に。
魔族等のアンデッド化防止作業を砦付きの神官に引継ぎを完了しました。
現在、陽動の可能性を考慮し、ツーマンセルの索敵を行っております。
報告は、二刻後になります。」
彼女は変わったと他の師団員は言う。
しかし、残念ながら、少年に変化はない。
それもそのはず、そもそも、彼女が副師団長のころから、少年は数えるほどしか彼女を見た事がない。
前師団長が居た際には、魔族の国にずっと偵察で潜り込んでいて、此処にすらいなかった。
そして、彼女が師団長を引き継いでからも、だ。
彼女を評するほど、彼女を知っているわけではない。
それでも、師団の師団長で、実力者だ。そして、前師団長を知る人だ。
それだけで、少年は付き従うのだ。
その風格すらも、師団長故に、この師団最強の存在だからと認める判断材料なのだ。
少年にとっては。
■サロメ >
「報告ご苦労」
少年兵…ゼロの報告と一通り聞けば、そう言葉を返す
かつての女ならば労いの言葉の一つもかけただろうが、今は淡々とその程度のもの
───しかし、女の金眼は少年兵を真っ直ぐと見据え、珍しく続きの言葉を紡いだ
「──貴殿も所属して長いな」
前師団長を知る者も随分と減ってしまった
かつて彼が戦死した時に大半が、そしてその後も…魔族との戦いは激戦続き故に
変わらず顔を見せる存在が在る、同じく前師団長を知る者が
顔を合わせることこそ少なくとも、彼は前師団長が迎えた、今となっては数少ない存在である
「オーギュストが戦死して尚、この師団に尽くしてくれていることに感謝する」
──この少年は、それについて何か思うことはあるだろうか
従おうと決めた師団の長がいなくなり、師団の形も少なからず変わった
立て直しの基盤を盤石にするまでは、耐え忍び王族貴族の言いなりになった期間すらもある
今でこそかつての姿を取り戻し、前師団長の意思を高らかに叫ぶことが叶うようにはなったが…
■ゼロ > 「はっ。」
手短なねぎらいの言葉。兵士であるゼロとしては、それで十分だ。
彼女の言葉に、頭を垂れて、お辞儀を一つ。
軍隊とは、師団とはかくあるべきと言わんばかりの、お手本のような所作だ。
が、今回は一つ、追加があった。
「は。
オーギュスト前師団長にスカウトされてから。
6年は経過しております。」
6年、言葉にしてみると、思った以上に長い物だと、ゼロは思った。
と言うよりも―――成長していない自分に驚きを感じている。
精神的には兎も角、肉体的には、成長して然るべきなのだが。
もしかすると、仮面や鎧―――過去に行われた、薬物、魔導実験の所為なのかもしれない。
ただ、そのお陰で、今も最前線で、変わらず戦える。
それを悦ぶべきなのだろう、ゼロは思った
「オーギュスト前師団長への恩義もありますが。
第七師団が、失われていないのであれば、自分は、兵士としてあるだけです。
それに、サロメ師団長、第七は、魔族殲滅の師団と言うのが変わらないのであれば。
オーギュスト前師団長の言葉と意志は生きてます。
なれば、魔族殲滅を行うのは、兵士として……
いいえ、自分の様に、戦う事しか知らぬなら、戦う事は当然です。」
ゼロにとって、これが全て。
兵士として、壊すものとして、戦う事しか知らない存在だから。
師団長が、戦う事を辞めないのであれば、ゼロは、戦い続けるだけなのだ。
それが存在意義であり、それが、作成された理由なのだ。
そのなかに、前師団長への恩義、現師団長への、恩義が確かにある。
だから、ゼロは、此処にいる。
■サロメ >
「貴殿が義理堅いのは重々に承知しているが…そうだな」
「少し、話さないか」
今はもう少なくなった、前師団長を知る者同士
近くの椅子に座る様、促して
「仕事中だが…まぁ、ヤツの時代からの習わしだ。文句を言う者もいないだろう」
過去は、副師団長であった自分がよく窘めたものだが
迷惑そうに眉を顰めるヤツの顔が今も脳裏に浮かぶ
指揮所の机から取り出されたものは、一本の酒とグラス二つ
なぜこんなものが、と言えば…前述の通り、前師団長からの習わしである
銘柄もヤツが飲んでいたものと同じ、当時は度数が強く、美味く飲むことは出来なかった
「酒はいける口か? …まぁ、一杯くらいは良いだろう」
返事も待たず、ショットグラスに赤褐色の酒精を注ぐ──
■ゼロ > 「それだけの恩を感じているというだけです。
自分は、兵士としての自分しか知りませんから。」
だからこそ、最初、此処に来た時は傭兵だった。
仮面をして、全身を白銀の鎧で身を包んだ得体のしれない自分を拾って。
その上で、王国の兵士にしてくれたオーギュスト前団長には、感謝しかないのだ。
生きる意味を、くれたと言って良い相手なのだ。ゼロにとって。
「酒は、はい。
酔う事は出来ませんが、嗜むことはできます。」
ゼロの体には様々な実験の後がある。
薬物強化、魔術的な強化、鎧を脱いでいると、体が崩壊しかねないほどのもの。
その中に、酒精を分解するものも有るので、飲んで味を理解する事が出来るけども。
分解されて、酔う事が無いと、伝える。無粋とは思うのだけども。
其処は、言っておいた方が良いとおもうのだ、生真面目とか言われそうな気もしたが。
「それでは、師団長。
ご相伴に与ります。」
美しい赤褐色。
其処に香る、豊潤な匂い。
高級な酒だという事は、ゼロでもわかる。
ショットグラスを受け取り、師団長を見やる。
■サロメ >
彼が杯を手にとれば、自身もその小さなグラスを手に、軽く合わせる
硬質な音が砦の一室に響く
その乾杯は誰のためのものか、きっとそれは各々だろう
小さなショットグラス、強い度数の酒を飲むためのものだ
くっと煽れば、喉を焼く強さ、鼻腔までを満たす芳醇な香り
自身はそれ程は好まないが、ヤツの好む酒の味だ
「私は…」
「君を直接迎え入れたオーギュストと違い、君のことを余り知らなかった」
グラスを置けば、女はそう話し始める
恩義を感じている、というのはお互いだ
前師団長が死に、半壊状態だった当時の第七師団を見限った者達も当然いた
眼の前の少年兵のように、この部隊そのものに忠誠を誓う者は珍しかった
「しかし今思えば、君に兵士としての道以外を与えなかったとも言える。
…オーギュスト亡き今、君がこの第七師団に拘り続ける必要はないのだぞ?」
他の道は彼には存在しないのか…それは女にはわからない
しかし年端もいかぬ少年のように見える彼…戦場以外での生き方は本当に有り得ないのか…
負い目、とまでは言うまい
それは彼の恩義を曇らせることになる
■ゼロ > 澄んだ、グラスの音は、部屋の中に静かに響き渡り、そして、消えていく。
その音の意味に思いを馳せて。
しかし、その意味を口にすることなく、ゼロも一口酒を嗜んだ。
喉に滑る、酒精の強さ、喉を灼く赤褐色は、荒々しさの中に上品さを感じさせる。
それは、第七師団を表わしているような、そういう思考になるのだ。
強く、強く、己がある、と言っているような、良い酒。
「はい。
自分も、サロメ師団長の事は、殆どお会いした事もありません。
今の第七師団に成ってさえ、数度程。」
知らなくても当然だとゼロは考えている。
ただでさえ、何百のレベルで兵士が居るのだ。
師団長としては、個人を知らなくても、師団運営が滞る事はない。
そう言ったことは、団の幹部や、部隊長とかそう言った所が行うべき所でもある。
それに、殆ど会わない相手を、さらに言えば、一兵卒を詳しく知るというのは、とても難しい物だと、ゼロは考えている。
「そこは、考え方、受け取り方、の違いでしかありません。
オーギュスト前師団長には、自分の仕様書―――別の国で兵士として改造されたそれを渡してあります。
師団長室のどこかに残っているかもしれませんし、残ってないかもしれませんが。
つまるところ、ゼロと言う個体は、兵士でしかあれないのです。
第七師団を抜けたとして。師団長に要らないと言われて、去るとして。
―――戦うしかできない個体は、それこそ野盗になるか、傭兵になるか、別の師団で戦いに明け暮れるかでしょう。
それ以外の道と言われても、思い浮かびません。考えることが苦手な自分は、指示を頂けるのが、とても喜ばしい。
この国ならでは、で言うなら、男娼とかあるのかもしれませんが。
この、仮面と鎧が無ければ、毒物をまき散らしながら崩壊するからだ、ですから。」
以前、師団長と出会った際には、師団が新しくなったばかりで、役割が判らないと懇願していた。
普通の生活にと言う言葉に関しては、この体がそれを邪魔するのだ。
確かに、言う通りに第七にこだわる理由は無いのかもしれないが。
離れてどうなるか。多分この砦で、傭兵として、戦い続けているのだろう、死ぬまで。
普通の生活が難しい体、なのだ、と、それを知っているからこそ、オーギュスト前団長は、ゼロを使ってくれていたのだと思うと告げる。
■サロメ >
「……そうか」
腹の奥に酒精の熱が身体に染み渡る感覚と共に、
少年兵の語る言葉を、自身の記憶に刻みつけておく
「いや、君が今の在り方に疑問や葛藤がないのであれば良い。
前師団長が君とこの第七師団に擁した理由も、今知ることが出来た」
別の国で兵士として改造された───
これは、彼の根幹に在る情報だ
副官であった自分も、前師団長から聞いていなかった情報である
そうか、そういう事情が背景になったのだと、今漸く知ることが出来た
「──であれば、君を他の師団に渡すのは惜しいな」
ぎ、と背もたれに体重を預け、笑う
「戦うことしか出来ないのであれば、その才能は我らの敵を屠るに相応しい。
…今後も王国軍第七師団の名の下、魔族殺しに励むといい」