2024/10/10 のログ
ご案内:「タナール砦」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
ガキン。バキン───。

タナール砦、地下牢。

破鐘を叩く様な、轟音が断続的に響く。
捕虜や捉えた女を捕縛しておく場所には似つかわしくない音だ。

音が鳴ると共に、パラパラと天井から石埃が落ち、相当な衝撃であることを匂わせる。

「───」

発生源は、奥まった牢獄に四肢を拘束されていた牝鬼。

力任せに、野太い鎖の繋がった手枷を振り抜き、鎖の繋がる牢獄の壁に亀裂を発生させていた。

宿儺姫 >  
更に数度、轟音と衝撃が地下牢を揺らせば、背後の壁が崩壊し太鎖が抜ける。
右腕、続いて、左腕も。
他に捉えられている者がいればいい迷惑の騒音である。

「…思いのほか頑丈じゃったな」

ふむ、と枷から鎖の垂れ下がる己の両手を見下ろす。
魔獣であるとか、魔族を捕縛するための鎖か、枷と鎖の重さだけでも相当なモノで並の人間や亜人ならばこれだけで満足に身動きも取れまい。

「まったく、魔術だの魔法だのというのは厄介じゃな…」

振り抜く様に右脚を蹴り出せば、次は足枷に繋がれた鎖がけたたましい音と共に破断する。

何時も通り、砦の戦に混ざり遊んでいたら急激な眠気に意識を失った。
恐らくそういった類の魔法なのだろうが、目が覚めた時には牢獄入りというわけだ。
そういった絡め手に滅法弱い鬼にとって、別に四肢を拘束されることなど珍しくもない。
特段慌てた様子もなく、力任せにそれを破壊しようとし、今に至る。

宿儺姫 >  
いても邪魔になる、暴れられても面倒、敵に回せばより厄介。
じゃあ終わるまで眠らせておけ、と言ったところだろう。

「王国軍だか魔物の軍だかは知らんが、せめて戦う気概をじゃな…」

ぶつくさと文句を言いつつ、残った左脚の枷に繋がれた鎖を掴み、思い切り引き千切る。
再びの破砕音が地下牢に響けば、四肢が自由となる。
……枷と中途半端に鎖は引き摺るままではあるが。

「さて……ちと騒々しいか?」

自分の立てた音ではなく、階上…砦が戦場となっているに違いない。

宿儺姫 >  
記憶が寸断される直前の記憶では、やや魔族の軍側が推していたようにも思えたが。
巨躯の魔物達に押し込まれる形だった。単純な単体戦闘能力で押され、撤退戦も激化している…といったところか。

まぁ、強そうな者がいるならそれがどちら側でも構いはしない。
敵も味方もなく襲いかかり、殴りかかってみてから考える。

そんな迷惑を繰り返していれば眠らされて拘束されるわけである。

まぁ起きたばかりでまた眠らされることもあるまい。
これといって特に確信や理屈があるわけでもないが。

重厚すぎる薬を引き摺る音を立てながら階段を登り、地下牢から地上へと,這い出てゆく。

ご案内:「タナール砦」から宿儺姫さんが去りました。