2024/06/16 のログ
ご案内:「タナール砦」にラストさんが現れました。
■ラスト > (――一方的な蹂躙とは、相当の戦力差があってこそ起こり得る。
戦力差とは兵の数だけでは測れない。 布陣、環境、練度、経験、指揮、士気。
あらゆる要素が、其れを左右する事になる。 故に、数字で表せる事など殆ど無い。
今回もそうだ。 数で言えば此方が圧倒的であったにも拘らず、砦の抵抗は激しい
時間を掛ければ、磨り潰す事は可能であろう。 だが、予測よりも人間側が"善戦"を続けて居るのは
此れまでと異なり、彼方の軍内に、核と呼べる物が存在するからだろう
指揮官、一騎当千の英雄。 或いは其れに準ずる者。
或いは理由――如何しても守らなければ為らない理由、と言う物。
タナール砦の性質からして、長期的な防衛が出来る場で無い事は
彼方の軍も重々承知して居る筈だが、其れでも尚、防衛に力を注ぐ理由が在れば
――有象無象の兵も、死兵の覚悟を胸に抱けば、侮れぬもの。)
「――――……ふ…、……これほど意気の高い敵兵も久しぶりだ。
良い経験になるだろう、手を緩めるなよ。」
(配下に――この場を任せ、指揮を取らせる右腕に、告げる。
戦況を見下ろせる丘の上へと本陣を組み、まだ膠着が続く戦場を見守りながら
圧倒的な力で、奪うばかりであった自軍にとって此れは
良い教訓になるだろうと、寧ろこの苦戦を前向きに捉えていた
配下の指揮が不足して居る訳では無い。 寧ろ良く遣って居ると言えよう。
この状況においても巧みに敵兵の穴を突き、守りの薄さを読み取って
柔軟に部隊の位置を変える等、工夫其の物は見て取れる
其の上で砦を死守して居る敵軍の粘りこそを賞賛すべきであり
其れを判って居るからこそ、激励する事は在れど、焦る事も、叱咤する事も無い
――この位の手応えが絶えずあったなら、と、そう思うのは贅沢か)。
■ラスト > (要因は何だってあり得るのだ。
例えば、予測不能な"協力者"が敵軍に混ざって居る事も有る
魔族だって一枚岩とは言い難い、都合次第で敵方に付く事も有り得よう
そうなった場合、戦力と言う物は一層読み辛くなる
たった一人の兵が、戦況を変えて仕舞うと言う事なぞざらに存在する
圧倒的な個の力、と言う物が存在する以上は、いつ何時、其れに晒されるやも知れぬと
常に備えるのが、指揮官であり、将と言う物だ。)
「……だが、それにしても粘る。
……案山子の様に無気力だった此れ迄とは、随分な差だ。」
(――指揮を任せている以上、口を挟む事は無い、が
戦場に目を配り、其の要因が何処に在るかを探るのは、監督者の役目
砦への籠城どころか、堀に掛かった橋の手前までで押し留められている現状
ただ意気が在るだけではなく、兵の練度も相当に高いのだろう
指揮系統も、此方の動きに対応して、被害を最小限に抑える様にと練られて居る
見事だ。 戦への備えも、覚悟も、充分に出来ている。
敵に感心を覚えたのは、久方ぶりの事では無いだろうか。)
「―――――……ボーウム。 戦の目的を忘れるな。
目先の勝利に囚われる必要は無い。 ……御前は、俺では無いからな。」
(配下の名を呼ぶ。 この指揮が己で在れば、求められるのは圧倒的な制圧、蹂躙による勝利のみ。
だが、指揮が己では無い以上、求められる物は必ずしも、戦局的な勝利だけではない。
捕虜の収容、情報の収集、或いは大きな打撃さえ与えられれば、其れで良しとする事も出来る
最も避けなければならないのは、無駄な損耗を被る事だ。 相手に何も与えず、此方が一方的に何かを得る
其れもまた、圧倒的な勝利と言える物。 特に、奪取と撤退を互いに繰り返さざるを得ない、こんな場所では)。