2024/04/22 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > タナール砦、魔族と人族が相争い、奪い合う場所、人族が魔属領に入るための橋頭保であり、魔族の進行を防ぐ砦。
それは、逆に魔族からすれば同じ場所と言う事なのだ、だから、争い合う。
この場所の確保を急務として、人間は集まり、魔族も集まる。

「――――。」

その中、兵士の少年は違和感を感じている。
今現状の第七師団、それは――――、

『ぶっ殺せ!』

以前の、自分の知る頃の第七師団だった。
オーギュスト将軍が居た頃、自分が入ったころのそれだ。
サロメ将軍に変り、人族に仇名す魔族のみと言っていたのを覚えている。
それに、馴染み切れてなかった自分もいた、だからこそ、過去の腕章を、未だに嵌めている。
新生となる前の、第七師団の腕章だ。
しかし、今は。

何が起きているのだろうか、兵士には理解が及ばない。
しかし、ただ、しかし、だ。
目の前にいる魔族、敵だ。
それを斃すこと自体に、変わりはなくて、少年は何時もの様に鉄の槍を振るう。
何も、魔法の対策の施されていない鉄の槍で、魔族の体を両断する。
その膂力は、確かに人の限界を超えているのだ、ゼロ自身、真面な人間とは言い難い。
黒い髪の毛の、仮面で顔を隠し、蒼い全身鎧を身に纏った兵士は。
違和感を感じ、その違和感の原因を疑問に思いつつも探ることなく。
今宵も、遅い来る魔族を、槍で斃す。

ゼロ > 魔族を殺す。
魔族を斃す。

それに何ら問題は無いし、何の疑問も挟まない、敵は殺すというのはどの世界でも通じる共通観念だと思っている。
そして、それを行うための存在が兵士であり、第七師団のような、存在なのだ。
他の隊員が、全員思い思いの武器で敵を倒す姿を見つつ、少年も又武器を振るう。
槍は大きく振られて、敵を横薙ぎに薙ぎ払い、吹き飛ばす。
第七師団の面々は其れこそ、対魔族に特化している事もあり、魔族に対しては無類の強さを誇る。
将軍のような上位クラスになれば、魔王と単騎も行けるのだろう。
そんな風に考えつつも、思考は冷静に、視線は前に、警戒は全周囲。

襲い来る魔族の先兵たちを斃していれば、いつの間にか、静かになっていた。
敵を撃退しきったのか。
それとも、一時的な静寂なのか。

少年は、警戒を緩めることなく、門の方へ。
元々、平時でも北にある、魔族の国の方の門を番する事が多かったから、だ。
静かに、敵が来ているのかどうかを確認するために、移動した。

ゼロ > 剣戟の音はなく、北門の方に来てみたが、誰かが居るというような気配はない。
魔族が居るという事も、ない、唯々、静かな空間が其処に有るというだけ。
隠れている気配も―――無い。仮面が夜闇を見通し、魔力を察知してくれる、魔族が居るというような様子もない。
隠れる事に特化しているとか言うのであれば兎も角、普通の魔族なら発見できるはずだから。

今、この一時は、砦を守り切る事が出来た、と言う事なのだろう。
少年は、軽く息を吐く。
戦闘態勢を解いたわけでは無く、肺腑に、全身に酸素を送り、直ぐに戦いに戻れるための深呼吸。
常在戦場、そして、此処は最前線。
次の襲撃に備え、少しでも休息しておくことにする。

それが、戦士の、兵士の役割だから。

今宵の、タナール砦の、戦闘の記録を、此処に記す―――

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。