2024/04/12 のログ
天ツ鬼 >  
腹を空かせた人喰い鬼を捕らえtた地下牢。
その噂はしばしして、砦を預かる者の間にじわりじわりと広がることとなり……。

そんな牢を訪れるのは人間か、魔族か…。
その訪れの時まで今しばし、鬼は牢獄の闇の中で過ごしていることだろう。

ご案内:「タナール砦」から天ツ鬼さんが去りました。
ご案内:「タナール砦・牢獄」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
「ぬッッ!」

ガキン!!ゴキン!!

……本来静かな筈の牢獄が今は余りにも騒がしい。
それは投獄されている雌鬼が、手枷足枷の強固な鎖をブチ切ろうとしている音なのだったが──。

「ぐゥ……まだ万全とはいかんか……」

ぜー、ぜー、と呼気を荒らげ雌鬼は鎖を鳴らし、諦めその場へと座り込む。
思った以上に消耗していたらしい。

さすがに大勢の魔物の群相手にたった一人で暴れ回ったのはやりすぎだったか。
頭が悪いので反省にまでは至らないが。
それに空腹が手伝って余計に力が出ないと来ている。

──いっそ牢番でも現れたならひっ捕まえて喰ってしまうか。
元々が人喰い鬼である故に、飢えればそういった思考に瞳がギラつきはじめもする。

天ツ鬼 >  
──餓死にするほど軟な怪物ではない、が。
理性を保っていられるか否かはまた別の問題である。
人を喰らうことに特に抵抗があるわけでもないが。
過去に人喰い鬼として暴れすぎてシェンヤンの道士どもに一度封印をされた身。
また数百年岩の中は御免被る。

「ハァ……まぁこのような枷に重さを感じているうちは断ち切ること叶わんな…」

己の四肢に課せられた鉄錠を見下ろす。
やはり今しばらく回復に専念するしかないかとため息一つ。
それはそれで退屈が過ぎるというものなのだが……。

「むん」

再び喧しい音を立てる鎖。
結局じっとしているのが苦手すぎて肉体を動かしてしまう始末だった。

ご案内:「タナール砦・牢獄」にタマモさんが現れました。
タマモ > 本日は、何か良い物がないか、探しに行こう。
そんな目的で、このタナール砦に訪れる、そんな者が居るだろうか?
まぁ、普通に考えたら、居ないのだろうが…居るのだ、そんな存在が。

そうした理由で、今回は、なるべく誰かに気付かれる事なく、砦ないを歩き回る。
それに適したのは、今、この砦を守っているだろう、兵士の姿を真似る事。
少数精鋭であれば、一発でバレるだろう作戦だが、団体様が相手であれば、なかなかに効果的な手段だ。

「………とは言え、やはり、そうそう見付からんのぅ」

ある程度、そこらを巡り、残った地下へと向かう…今は、兵士の男の姿。
この先にあるのは、牢獄ぐらいだろうか?それとも、ワンチャン倉庫か何か、あるだろうか?
ぽつりと呟きを零し、地下へと訪れれば、ふと、少し離れた所から聞こえる、何かの音。
はて?と首を傾げ、その音の元…誰かしら捕らえられている、牢屋の前へと訪れるのだった。

天ツ鬼 >  
空腹は神経を捺さくれ立たせ鋭敏にする。
地下の牢獄に響くその足音を雌鬼はしっかりと捉え、やがて牢の前へとやってくるその者を待つ。

腹が減った。人であろうと魔族であろうと、飢えた鬼の前ではただの肉か。
……雌鬼がもう少し理性的ならば知った匂いに気づいたやもしれぬが。

「──漸く、飯か?」

空腹にギラついた翠眼で、訪れた者を見据え、呟く。
牢の向こう、頑丈な格子の向こうから見えるは四肢を重厚な鉄枷と鎖で石壁に繋がれた雌鬼一人。
薄明かりに照らされる屈強な体躯には魔物の爪や牙による無数の傷跡が未だ生々しく残り、砦でひと暴れした末の姿なのだろうことがなんとなし、見て取れるか──。

「腹が減ったぞ。疾く寄越せ──」

タマモ > 相手には気付かれているだろう、鎧を着込んだ兵士の姿だ、歩む事で響く金属音は隠せない。
そうして、その牢獄の前で足を止めれば、檻の中に見える鬼の姿。
それと共に、掛けられる声に…あ、この相手、覚えがある、と理解をする。
…と言うか、飯の時間?いやいや、そんなもの、持って来てないのだが、とか思いながらも。
その声に、こちらも声を出して答えないのは、寡黙な兵士を装っているから。
と、言うのは建前で、口を開くと余計な事を言ってバレるから、である。

しかし、良く見れば、なかなかに酷い姿だ。
あの鬼の性格から、暴れ回って、取っ捕まったんだろうな、との予想を立てつつも。
この程度でどうこうなるような鬼ではない、とも、何となしに分かるもの。
だが、どうして自力で出てこれないのだろう?とも考えれば…そこは、少し気になるもので。
そんな興味に惹かれれば、無言のまま、がちゃりと牢屋の錠を開き、中へと足を踏み入れるのだ。

天ツ鬼 >  
その手に食料らしきものは見えないしそのような匂いもしない。
故に飯を持ってきたわけでないことは理解る。
が、それも空腹の人喰い鬼にとっては同じこと。
この場にやってきたその者それ自体が肉であることには違いない──。

どういうつもりか、兵士は無言のままに牢屋の鍵を開ける。
意図が今ひとつ掴めぬまでも、餌が近くまでやってくるのは確かである。

「───!!」

唸り声をあげながら、雌鬼が鎖を鳴らし立ち上がる。
重苦しい枷に囚われた雌鬼の右腕が、その手の鋭い爪を向け、伸ばされる。

──ガシャン!!というけたたましい音を建ててその爪は、兵士の眼前で停止する。
その姿は、頑丈な鋼鎖を力任せに断ち切る力も出し切れぬ程度には損傷している、というように見える。

……もっとも鎖を繋ぐ石壁のほうは僅か、石埃がパラパラと落ち、今にも引き抜けそうになってはいるが。

タマモ > 牢内に入れば、聞こえてくるのは鬼の唸り声。
飯がどうとか言ってたし、何も持って来てない事に、怒りを覚えたのかどうか。
まぁ、男が食事も持たず、鬼とは言え女の居る牢に入るのは…他にも理由はあるのだろうし。
実際に、そんな事をすればどうなるか、なんて想像も容易いのだが、そこまでの考えは巡らせない。

と、後一歩で、鎖の長さから届く範囲に入ってしまう。
そんなところで、鬼がその手を伸ばし手くる。
当然、がちゃり、と音を立てて、伸ばす手は止まるのだろうが…
それを見て、やっと気付いたのか、ぽむ、と手を打った。
以前、この鬼との遭遇時、別の会話中に行った、何か納得したような時の仕草だ。

「あぁ、そうかそうか…なるほど、今は力を蓄えている途中か」

うっかりと、それとも、わざとなのか、その様子にそう声を出してしまう。
そんな事をしている間にも、鎖はともかく、石壁がどうにかなってそうだが。
それでも、壊れるのはまだ先だ、それを見て取ってはいた。