2024/04/11 のログ
ご案内:「タナール砦」に天ツ鬼さんが現れました。
■天ツ鬼 >
ぴちょーん。ぴちょーん。
静けさの中、漏る水滴の音で雌鬼は目を覚ます。
さて、確か己が無尽蔵の体力を使い切る勢いで大暴れしてその場で微睡みに落ちた。
背なに感じるのは冷たい石畳の感触。辺りは闇。そしてやたらと物静かである。
「くぁ……ぁふ。ううむ…すっかり寝てしまったか」
実質気を失っていたのかもしれないが、とりあえず寝ている間に余程の深手以外は快復していた。
満身創痍であったことを考えれば十分すぎるほどの回復ではあるが…。
身を起こそうとして、ガラリガラリと硬質な音が響くことに気づいた。
「………」
ずっしりと四肢に重みを感じる、ついでに首にも。
「ははぁ…さては……?」
頭の悪い雌鬼ではあるが察しは良い。
手枷、足枷、首枷。
鳴ったのは随分と頑丈そうな野太い鎖である。
タナール砦の地下牢獄に雌鬼はいた。
大の字でぶっ倒れていた雌鬼を、魔族の軍の生き残りか何かと勘違いされ、
とりあえずの拘束を施し牢屋にぶちこんだ、といったところだろうか。
「くく、こんなもので我を閉じ込めたと思っておるのか」
ニヤリと嘲笑う雌鬼。この程度の牢屋、力任せに鎖を断ち切りさっさと出てくれよう。
………もうちょっと体力が回復したら。
■天ツ鬼 >
ごん太の鎖は流石に頑丈。
しかし枷から伸びるそれらが接続されているのは牢獄背後の石壁である。
肉体さえ完全に回復すれば無理矢理に石壁を破壊する程度は容易かろう。
であれば、退屈ではあるが待つ他ない。
随分とダメージを負っていたのは事実であるし、やれやれとその場に胡座をかき、背を壁へと預ける。
──面倒な魔法や術をかけられているとことさら厄介であるが、今の時点ではそれは判らず。
「…しかし腹は減ったな」
空腹なぞ耐えられぬほどではないが…。
あまり空腹が過ぎると、その存在本能故か、人を喰らいたくなる本性が顔を出す。
…どうせならさっさと外に出て人間よりも美味い肉を喰いたいところである。