2024/04/09 のログ
ご案内:「タナール砦」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
人間と魔族が日々戦いを繰り広げているタナール砦。
しかしその日はやや様子が違っていた。

いつも通り、戦乱が起こっていればどちらか不利なほうに肩入れしてやろうとやってきた鬼であったが。
なんとその日は既に雌雄が決してしまっていたのだ。

人間の軍は敗走し撤退済み、魔族や魔物が跋扈する砦内。
捉えられ捕虜となった人間の兵士や冒険者、傭兵を魔物が好き放題に蹂躙している光景がそこには広がっているのだった。

しかし、まぁそれならばそれで良いと深くは考えぬのがこの雌鬼。

意気揚々と勝敗の決した戦場に乗り込み、門扉を守る魔族を文字通り一蹴し、砦内へと踏み入った。

天ツ鬼 >  
戦えれば多対一であろうと全対個であろうと別段構うこともなく。
破壊された扉と共に吹き飛ばされた同胞の姿を見た魔物達は、秒でその雌鬼が敵であると認識するわけである。

「くく、話をするよりも早いな」

向けられる敵意に満足気に笑みを浮かべた雌鬼は砦内を埋め尽くす魔物の群れへと襲いかかった──。

………
……


雄の巨鬼とも張り合う剛力を宿した雌鬼、無論並の魔物程度では造作もなく力で捻じ伏せられる。
対峙した巨躯の魔獣が唯一互角以上に張り合うも、そのしぶとさに体力負けし、最後には雌鬼にその頸を蹴り折られるに至る。
魔族の放つ魔法の類は実によく効いた。避けることを知らぬ鬼は全身に砲撃じみた魔法を受け続けるが──体力を削り切る前に魔力が先に枯渇し敗走──。

「ふー、ふーっ…さすがに堪える…が、ククッ…劣勢久しからずや、愉しいものよの…!」

十二分にダメージを受けているにも関わらず、血風を魔物に振り撒き襲いかかる雌鬼。
物量的に鬼に勝ち目はなくも見えるが、このままでは損耗も大きいと、知恵ある魔族達は早々にこの場から離脱を始めていた。