2023/12/10 のログ
イリーナ > すぐに砦へと逃げ込めるように腰を浮かしながら見据える小高い丘。
月明かりと魔物除けのかがり火。
冬の冷たい風にのせて警戒している獣の臭いは届かない。

「……異常なし。」

ポツリと呟き、交代要員としてやってきた見張りの兵士にいくつか気になったところを引き継ぎ、女は砦の中へと戻っていくことだろう。

少なくとも今夜は、安心して眠ることができそうで――。

ご案内:「タナール砦」からイリーナさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にノインさんが現れました。
ノイン > タナール砦。
王国と魔族の国との戦いの最前線ともいえるその場所で今日も人と魔族は戦闘を繰り広げていた。
戦いは一時的に人類側が優勢。砦を占拠し、陣地防御を展開している。
魔族側は魔物、魔獣などを含めて戦力を投入し、砦の奪還へと乗り出している。

まさしくその戦いの最中。攻めてきた魔族を門前で迎撃する傭兵の中で一人。
赤髪の男が武装をしたゴブリンやコボルトに向かって大太刀を振るう。

「死んどけェ!!」

長い刀身のそれを横に振るえば、まとめて数匹の敵の胴が両断される。
血しぶきを上げ、上半身は宙を舞い、直後に無慈悲に地面に叩き付けられる。

男は止まらない。
力任せに刀を振るい、返り血を浴びながら笑顔と鋭い眼光を見せて

「くっ――――ハッハッハッハ!!」

死体の山を築きながら、次の敵へと真っすぐ突っ込む。

まさしく狂犬。人間とは思えない残虐さに、敵も味方も畏怖の念を抱くだろうか。

ノイン > 王国側が雇う傭兵などは使い捨てという意味合いが強い。
そのため、傭兵が戦っていても積極的な支援はせずに孤立した者を見捨てることが多い。
この男もその例に漏れず、魔物と魔獣に囲まれている状況下にあっても味方の支援はない。

しかし…

「ッ、もッと歯ごたえのある奴ァ居ねェのかァ!?」

火を纏う犬型の魔獣を突き刺し、オーガやトロールなどの大型の魔物の首を切り落とす。
刀を奪われる状況下でも素手で敵を殴打し、首をひねって骨を折る。
襲い掛かってきた無数の魔物を仕留め、それでも足りずに防衛線であるにも関わらず一人突貫する。

まさしく鬼神のごとく戦い。
威勢よく軍勢を率いて攻めてきた魔族側もその姿にたじろぎ、攻める手が怯む。
その勢いに乗じて、他の人間たちも魔族側の戦力を削り、押し返していく。

期せずしてこの男により、この区画の旗色は良好。
頭からかぶった血が顔に滴り、それをペロっと舐める

「……つまらねェな…」

ぼそり、そのようにつぶやく

ノイン > そうして、一人の傭兵は大太刀をまた振るう。

最後の瞬間、戦場には敵の血にまみれ、いくつもの亡骸の上に立つ赤髪の男が立っていた―――

ご案内:「タナール砦」からノインさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にバランガさんが現れました。
バランガ > 人と魔族の争いに終わりはない…とはいえ戦には一段落、小康状態というものが存在する。
そして、そうしたひと時に活躍するのが人と魔、双方に通じた商人という生き物で。

どちらが勝ったか、なんてことは関係ない。
どうであれ戦利品というものは存在するし、その戦利品を相応の金品に変えることが出来る存在は重宝されるのだ。

「ほいよ、こんなもんでええやろ?」

牢番に心づけを渡し、地下牢への階段を降りていく。
向かう先は今回の争いで虜囚となった者が繋がれた牢屋だが、これがなかなかの“出物”という話を聞きつけ、牢番からその上役まで鼻薬を嗅がせ、いの一番にやってきたというわけだ。

「きっちり捕らえとるっちゅう話やが、どんなもんかいのう」

人か、魔か、それは分からないが分からないからこそ面白い。
そう嘯きながら牢の前までやってくれば、どれどれ、と覗き込んだ。