2023/08/31 のログ
ご案内:「タナール砦」に天ツ鬼さんが現れました。
■天ツ鬼 >
白昼堂々、砦に白煙が昇る
戦火の匂いを嗅ぎつけた鬼が一匹、暴れていた
此度の戦は王国の軍が不利であった
そもそもの兵力差に加え、魔物の軍に統率がとれていた
撤退も視野か、といった折に現れた鬼は敗軍となりつつあった王国軍には追い風だっただろう
「劣勢久しからずや、呵呵!面白い!」
良く理解らぬことを言いながら敵陣に突っ込み風穴を空ける小柄な鬼
なんだアレはと疑念を抱く間に態勢を立て直した王国軍は流石と言える
思わぬ追い風ではあったものの、砦の状態は拮抗となりつつあった
■天ツ鬼 >
真っ先に目をつけたのは、大柄な魔族の将
手に巨大な戦鎚を持つその魔族を───アレが大将首か、と即座に判断した鬼は敵陣を穿ちながら突き進んでゆく
多少の傷など歯牙にも掛けず正面突破する鬼、否応なく目立ち早々に戦鎚の魔将の視界に収まる
鬼にとって幸運だったのは
その魔族が己の力に自負心を持つ将であったこと
知略を凝らし、術を張り巡らせる相手であればこうはいかなかっただろう───
「くくッ…!佳き…ッ!!」
肉薄した両者、小柄な鬼から見れば天空から降り注ぐにも似た巨大な戦鎚を隻腕を折り曲げ、全身で受け止めていた
叩き潰され赤黒い染みになると思われたその一撃を、太く隆起した両脚と、人外の膂力を漲らせた腹にて押し上げ──
「隙あり───!!」
鬼の放った強烈な前蹴りによって魔族の巨体が吹き飛び、転倒する
大きな音を立てて落下した戦鎚を尻目に駆け出した鬼の手には、身の丈程の大鉈が握られ───
直後、魔将の断末魔の咆哮が砦へと響き渡った
■天ツ鬼 >
正面突破と真っ向勝負に魔族の軍の将を撃破
返り血を拭う鬼の姿に畏怖し、軍は散り散り逃げ出し───
「ふぅ──、…む?」
正面から殴り合えた余韻に浸る間もなく、辺りから刺すような敵意を感じ、表情を引き締める
尻を捲くり逃げ出すかと思えば、鬼を取り囲むようにして魔族や魔物が剣を牙を向けているその他大勢
成程、よき軍勢であると嗤う
「将の仇討ち善き哉。愉しませよ!」
笑みを深めた鬼は大鉈を振り回し、迎え撃つ所存だった
■天ツ鬼 >
佳き、佳き
鬼の闘争心が燃え上がる
あの将の配下にして、将がやられても逃げぬ度量
一粒一粒が精鋭か
そう考えれば此度の戦火、人間の軍が押されていた理由も頷ける
大鉈を振り回し暴風を巻き起こす
それに怯む者すらもいない様子を愉しげに鬼は嗤い──大立ち回りが始まる
鬼は防御を好まない
肉体の頑強さと不死身の生命力に被弾の全てを任せ、ひたすら力を振るう
傷は負えど、それ以上の破壊を見舞う
そう考えれば先程の一撃を受けざるをえなかったあの将は、佳き相手であった
この熱を醒ましてくれるなよ、と
戦場は再び剣戟と喧騒に包まれる
ご案内:「タナール砦」から天ツ鬼さんが去りました。