2024/09/04 のログ
ご案内:「無名遺跡」にクロスさんが現れました。
■クロス > 「くぁぁ…あぁ、やっと終わったか…」
(とある遺跡の近くで大きなあくびをする。
冒険者が見ればすぐにわかる様な安物の甲冑に身を染め、長い黒髪を垂らしているミレーの男クロスは疲れているかのようにあくびを漏らす。
つい先ほどギルドの依頼が終わりその報告のために帰路に歩いていたのだった。
そんな時、近くで不自然な穴を見つける)
「…あ?今さっき崩れた…と言わんばかりの穴だな…。
めんどくせぇが、ちと中を見るか…」
(後ろ髪をぼりぼりと掻きながらため息を漏らしてその穴へと近づいた。
魔物の暴走や遭難した冒険者によるものだった場合、ギルドが依頼を作るため報告をしなければ後から問いただせるから面倒だと思い早急に行動することにしたのだ。
穴から顔を覗かせて底を見れば、一人の少女が座り込んでいるが見えていた。)
「なんだ、やっぱし事故だったのか…。
おーい、お前さん…大丈夫か?」
(尻もちをついているであろう少女に気付き声を掛ける。
その後、出来上がった穴の壁の強度を調べて飛び出ている岩屋ら遺跡の瓦礫やらを掴んでゆっくりと降りていき、甲冑を着ているにも限らずに身軽な様子で少女の元へ降りていこうとする)
■ナラン > 滑り落ちてきた壁面は泥にまみれた中に弱弱しい木の根が見える程度。あとは遺跡の天井だったと思しき、人工的な切り口を見せる岩が見えた。
壁を伝ってそこまで行こうにも、壁から直角に折れた天井を行く術がない。
登るのはあきらめて、遺跡の通路をに目をやるとぼうと明りが灯っていくのが見えた。何時できたものなのか、いつみても不思議な仕掛けだ。
そこまで考えてから身体に異常がないか改めていると、天井の方から声が聞こえる。
今日は曇天で大して明るいわけでもないはずだが、暗がりから外を目を細めて見るとどうやら声の主はこちらへ降りてこようとしているようだった。
「―――あの!
大丈夫です。戻って、縄か何かあれば、降ろして戴ければ」
直接脱出できるなら、遺跡を通って出口を目指すよりずっといい。
一番まずいのは、2人して遺跡の中を彷徨う羽目になることだろう。
怪我などしていないから、伝うものさえあれば自分で登れる、 と
言外に伝えながら女は尻もちをついた姿勢から立ち上がる。
逆光で姿は形しかわからないが、どうやら降りてくるのは大柄な男性らしい。
万が一遺跡の通路を行くにも、狭く感じるだろう。
■クロス > (ある程度進んだところで少女から返事が返って来る。
壁にくっつく様子はまるで虫か猿の様な態勢であったがぴたりとその状態で一度止まる。)
「そうか?だったら近くにツタが転がっていたな。
それなりに太いだろうし、あんたの重量なら何とかなるかもな?
ちょっと待ってろよッ」
(この穴に入る前に遺跡やあたりに生えていたツタを思い出す。
人が踏み入れることも動物が来ることも少ないせいか元気に育っている様子であり、人一人、ましてや身軽そうな少女程度なら大丈夫だろうと考えた。
ぐるりと方向を変えて入ってきた方へ登っていくとすぐさま近くのツタを毟る。
思った通り頑丈であり、裂くのに少々手間取った)
「…そらッ!今下ろすからしっかりと登って来いよ…!」
(少女の要望通りにスルスルとツタを下ろしていく。
途中で千切れないことを祈りながら掴む様子を眺め、しっかりと掴んで安定できるように抑えようとするのであった。)
■ナラン > 「すみません!ありがとうございます」
女が足を踏み込んだだけで崩落してしまったような地層だ。それなのに易々とそこを伝う動作に半ば以上感嘆しながら、女は再び登っていく姿に感謝の声を張り上げた。
ひゅう、と穴を通って遺跡内に風が通っていく。その風に揺られたような遺跡の明りは、奥へ招いているようでちょっと不気味だ。
滑り落ちた拍子に散らばってしまった矢を矢筒にもどしていると、程なくして再び声がかかり、それとともに縄状のものが下りてくる。どうやら辺りの蔦を取ってきてくれたらしい。
「ありがとうございます
…ちょっと、重いと思うので、近くの樹か何かに結んでいただいたほうがいいかもしれません」
崩落があったほどの所だ。穴の辺りで踏ん張っても滑るかまた陥没する惧れがある。…自分の重さも確かにある。
だが身ごなしからして手練れの人間だろう。こんな言葉は蛇足かもしれなかった。
念のためそうやって声をかけて、2、3回ぐいと引っ張ってから女は登り始める。当たり前に蔦にはぐんと力が掛かるが、みしみしと音を立てつつも堪えてくれそうだ。
「よいしょ…」
一度ぶら下がって蔦の様子を伺ってから、縄にすがって女は登り始める。
穴の壁面があるところまでくればそこへ足をついて、多少相手を引く重みは減るだろう。
彼のおかげで地上へ帰還を果たす女が、だいぶん泥だらけなのはご愛敬としてほしい。
「はぁ… ―――すみません、本当に 助かりました」
ありがとうございます、と多少息を乱しながら言葉を紡いで
泥だらけの女はようやく恩人を見上げることになる。
■クロス > 「あぁ、わかった…」
(徐々に目が慣れて少女の姿がある程度把握できた。
身に着けている装備も把握すれば弓矢ら矢筒やらの重さが加わるのだろうとそれなりに覚悟した。
辺りは雨のせいか少し地面がぬかるんでおり、力が効きにくいことを考えて装着している甲冑の重みを活かして足先だけでも地面に埋めて固定したのだ。)
「ん、大丈夫だ。
この程度の重さ、大したことじゃねぇよ…」
(引っ張って来るのを合図に上り始める少女を見る。
握っている感じからしても大して重くも感じなく登って来るまでしっかりと掴みことにした。
登ってくれば泥だらけの少女と対面することになった)
「構わねぇよ。
それにしても…こんなところで落ちるとは、ツイてねぇな…?
おまけも服も泥だらけだし…
…そらッ、近くに冒険者用の宿がある、そこでその服を洗ったらどうだ?」
(登ってきた少女の前に立つ男。
とても高い身長であり、ミレー特有の犬耳が生えており、顔は無表情で目つきが悪く少し口を開いただけでも尖った牙が目に入るだろう。
その後穴の方を軽く見ればまた頭を掻き、数歩外に向かう方角に進む。
指さす方角には宿があり、依頼に参加する前やその終わりのための休息の場として建てられた場所がある。
そこなら風呂も服を洗うための洗い場もあるだろうと思い案内しようと思ったのだ)
■ナラン > 律儀にお辞儀をしてから、衣服に着いた一部渇いた泥を払っていると『ついていない』という言葉が聞こえて女は苦く笑う。
「いえ…もともと、この辺りは少し足元が危ないと知っていたんです。
ちょっと、今日はぼおっとしていたみたいで。 すみません、見苦しい姿で」
苦笑がにじむ言葉を返しながら、女は助けてくれた相手を改めて見る。本当に背が高い。女が対面して普通に見上げてしまうほどで、先ほどの動きからすると信じられないといった感がぬぐえない。
未だに雨粒が、ごくたまにだが空から落ちてくる。雲の色からするとひと雨とまでは行かなそうだが、女の服が簡単に渇くようなことも無いだろう。
「宿、近くにあるんですね。知りませんでした。
…すみません、あまり 人がいるような場所で服を脱ぐことに慣れていなくて」
服を洗ったらいい、と言われると 女は言いづらそうに言葉を返した。
ぶっきらぼうな様子ではあるが助けてくれて、親切心で言ってもらってる言葉に対してひどく申し訳なく思う。
「自分の塒はそんなに遠くないので、大丈夫です。
……何か、お礼が出来たらいいのですけど」
生憎今は、お礼にできるようなものは何も持っていない。女は困った表情で自分の荷物を探る。
珍しい、と言えば、今日たまたま持ってきた燻製肉とチーズ。仕入先の店主に教えてもらって、ちょっと香り高い樹で燻してある。
だが、そんなものでお礼になるだろうか。
「ええと… 燻製とか、お好きですか?」
■クロス > 「気を付けとけよ?
俺もさっきギルドの依頼が終わって帰る途中だが、ここら辺は魔族や魔物の出没情報が出ている…気を付いてたら、一瞬でお陀仏だぜ?」
(恐ろしくも冗談には聞こえないことを言う。
確かにここに動物の類が出歩ている形跡は見当たらないがそういうのに遭遇する可能性もあることだろう。
ある種、忠告をする意味も含めてそう言ったのだ。)
「ん、そうか…だが、一雨振りそうではあるしそのまま汚れたままと言うのもあれだな…。」
(宿は人が満員になるときもあればほとんど居ないときや誰も居ない時もある。
慣れていないと言う少女に対して居ないことに賭けて連れていくのも酷な話だがこのままにするのも気が引けると思っていた。
口の片方を下に曲げて少々悩む素振りを見せるのである。)
「あ?そうか…だったらそこまで護衛させてくれ。
このまま、あんた人帰らせてまた面倒なことになったら俺が嫌だしよ…
燻製?あぁ、好きだぜ。
酒のつまみに最適だしな…。
まぁ、礼がしたいって言うんだったらそれで構わねぇよ。
あんたのボディーガード代も含めてな?」
(どちらにせよこの遺跡付近にできた穴についてのことも報告しなければいけない。
それにこのまま塒に返したとしてまた道中で同じようなことになればそれはそれで面倒であった。
そこは男の性分、自分が関わったことに面倒ごとが起こるのを嫌がっていたのだった。
お礼がしたいと話す少女の荷物の中にチーズと燻製があった。
酒好きでもある故に貰えるなら大歓迎であった。)
■ナラン > 「!そうでしたか…
はい、これから気をつけます」
魔族や魔物の出没の話まで聞くと、女は流石に目を見開いた。この辺りは顔見知りの樵や狩人もしばしば訪れる場所だ。彼らにはもう伝わっている話かもしれないが、万が一がある。伝えておくことに越したことは無いだろう。
女の心配事はそちらに移る。彼らのよく集まる王都の店を脳裏に思い浮かべながら、目の前の恩人が燻製が好きだという言葉を聞くと笑みをこぼす。女の方も、少し笑う口元に八重歯をのぞかせる。
「よかった。 では少ないですがこれを。
昨夜作ったばかりなので今でも香りは良いですけど、少しするとまた味が良くなる。そうです」
女は帯に着けていた袋の一つを外して男に差し出す。女の片手に乗る程度の大きさだ。きっと彼の片手に乗れば小石程度にしか見えないかもしれない。
袋を渡すと、女は再び一礼して駆けていこうと思っていた。なので次に彼から掛けられた言葉に驚いて、同時に申し訳ないようにまた眉を寄せた。
「すみません、ご心配おかけして。 一応冒険者の仕事をすることもあるので、そこまでして頂くには及ばないです。
王都の知り合いに用事を思い付いたので、私はこれから一度王都に向かおうと思っています。
もしそちらにお帰りでしたら、途中まで一緒に」
道中一緒なら心強いです、と微笑う女は少し焦っているようだ。
彼の返答を聞いたら、どちらにせよ足早に王都の方へと向かうだろう。
■クロス > 「…そうかい。
それなら、酒盛りは明日に控えさせてもらうさね…」
(こちらが報酬が自身の好みだと聞けば笑う少女。
口の中で覗かせた八重歯と泥のせいで匂いが薄れていて気付かなかったことが合点した。
だが、今はそれを問いただすことも何か手を打つこともしなかった。
何もしていないのにこちらが危害を加える理由は無いし、面倒だからだ。)
「…王都には平民地区にはない良い酒があるらしい…
こいつにぴったしの酒を探すのにも丁度良さそうだな?」
(少女にお礼として貰った袋を見せる。
ギルドに遺跡の報告をしなければいけないがどのみち面倒ごとがやって来る。
ならば、その前に少し楽しんでも良いだろうと思い王都にある上質な酒でも買いに行こうと考えたのだ。
少女がもういいと言うまで付いていけばその後は自由。
酒を買って後日行う酒盛りの準備をし、ギルドへの報告と言う少々面倒な作業を終えていくことになるだろう…。)
■ナラン > 相手には本来の目的があったはずだ。それを色々と気遣ってもらうことに申し訳なさとありがたさを同時に感じる。
女はまた頭を下げて、すみません、とありがとうございます、をもう一度繰り返すと王都の方へと足を向ける。
王都までの道中、女は控えめに彼の好みを聞いて 次回偶然会えた時のお礼を考えているだろう。また珍しいような燻製が出来上がったら、取っておこう。
街まで到着すると再び一礼をして 女は曇天の空の下、泥の付いた服のまま平民地区の人混みに紛れていった。
ご案内:「無名遺跡」からナランさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からクロスさんが去りました。