2024/09/03 のログ
ご案内:「無名遺跡」にナランさんが現れました。
■ナラン > 「痛たた…」
時折曇天から雫が零れ落ちる日。
遺跡と自然とが半分以上混じりあった場所は近隣の狩人や樵なども訪れる、ヒトの領域とも自然の領域とも言えない場所になっている。
そんな場所の一角、樹木に遮られた先の地中深くで女の声がする。
鳥瞰することが可能なら一見して解る。夏の間に生い茂った植物によって足元を惑わされたのだろう。一見して解らない穴から、天井が崩落した遺跡の中に滑り落ちたのだ。
穴は奈落の底とまではいかないが、井戸程度の深さはありそうだ。
空の見える穴の底で尻もちをついた格好の女は、そう目で測ってため息をつく。
前日までの雨もあって、足元がやや不安定になっている感はあった。遺跡が埋まっている近辺までは行かないように気を付けて進んでいたつもりだったが、ちょっとぼんやりしていたのかもしれない。
幸いまだ日が沈むまで少し時間はある。この程度の高さであれば、遺跡の中でも深層ではないだろう。方向さえ間違えなければ然程労せずに外に出られる…はずだ。