2024/04/29 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシアンさんが現れました。
シアン >  
無名遺跡中層階――
謎の廃墟群。
ル・リエーの水遊場が四つはすっぽりと収まるだろうか?
それほどの広さにずらーりと広がる王国首都風の無人街。

天蓋には、遺跡内部にありながら青空と雲が広がり今の時節らしい強めの日差しが照りつけて爽やかな風まで吹き抜けている。通りには、露天が出されて果物や装飾品までが並べられている。地震あるいは魔物禍が発生して住民たちがこぞって逃げ出したあとのような……生活感すら伺えるほどに不可思議な空間であった。魔物の気配もなければ罠の形跡も見受けられないぱっと見はセーフエリア、いやある意味ではセーフエリアか。

「おかしいのもやらしいのも此処に限った話じゃねぇがね。ったく、流石だわ」

装飾品はここから持ち出した途端に魔物を呼び寄せる波長を放ち始める。
果物を齧れば瑞々しい美味さを味わえるが酒豪でも悪酔いする酒気付き。
腰を下ろしてひと休憩する分には良いが下手に手を出せば……
帰り道か次の階層に向かう道すがらで酷い目に合うという塩梅である。

さらりと流れる風を浴びながらに独りごちてベンチの一つへと腰掛けた。
得物の鉄杖を傍に立て掛けて荷物袋の中から取り出すのは――
固形燃料、小型ストーブ、五徳、小さなケトル、飲料水入りの竹筒水筒にインスタントコーヒーセット。
装備を組み立てて火を灯したあとにお湯を沸かせば熱い珈琲を一杯嗜む休憩タイム。

「さて……」

ずずず、と、熱い珈琲を木のマグカップでひと啜りしつつ手元で広げるメモ帳。
ここに至るまでの道中でど突き回した魔物の目録やぶっ壊した罠の簡易目録だ。

「ここらが潮時かねぇ」

此処には本日、定期的に発生する魔物の掃討依頼にやってきている。
これ以上奥に踏み込むと割に合わないしノルマは達成はした。
このあたりで休憩取ってそろそろ帰ろうか、と、
メモ帳のページ捲りながらに首を傾げて一思案。

ご案内:「無名遺跡」からシアンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にE・T・D・Mさんが現れました。
E・T・D・M > ダンジョンが居る
ダンジョンが在る

迷宮が拡がっている、何の変哲も無く
教科書に出て来るような格式張った構造の
全て基礎を踏まえて行動をすれば致命傷足り得ない
そのような慣れを覚え込ませてからが本番となる

狭い通路が在る、一見すれば何のトラップも無い
魔力感知にも引っ掛からないし、聴覚、視覚、嗅覚、何れにおいても異常性を感じさせる事は無い
余程に鋭敏な第六感の持ち主ならば気付くかも知れないが
迷宮構成のありとあらゆるリソースを注ぎ込んで作り上げた落とし穴が在るという事に
ただの床面に擬態化しているがその周辺だけが驚く程に柔らかい
もしも一定量の体重を乗せてしまえばたちどころに足元は底なし沼が如くに立ち入る誰かを呑み込まんとする

そして更にはその何者かの体型を一瞬で採寸し、把握した落とし穴自体が窮屈に狭まり
腋から上が落とし穴の上に残留して引っ掛かるように留めてしまうのだ
更にはその脇から下の肉体的感覚、精神的感覚、全ての感覚を断ち切ってしまう
それ即ちは感覚遮断落とし穴トラップだ
流行の一端を出入りする冒険者の思考から盗み食いし、その誰かのアイデアを用いる事に定めたまではいいものの
思った以上に再現しようとすると高度な代物であり、凡百のダンジョン構造以外はこれしか作る事が出来なかった
特に大きな盛り上がりの波も無く、もしも辿り着いた冒険者が油断しているならば、脈絡もなくそれに飲まれる事になるだろう

E・T・D・M > 落とし穴の中は壺状に膨らんでおり、肉の触手を筆頭にした様々な玩具を潜ませてある
相当に余裕を持って建築した為、例え大柄なオーガであってもその両足が地面に着く事は無く宙ぶらりんになってしまう筈だ
魔法作用、及びに経皮吸収させる薬液の揮発した噴霧の蔓延は、引っ掛かる誰かの下半身の感覚機能を完璧に損なわせる準備が出来ている
視覚的に半透過させる特殊なレンズを用いた水晶眼は上下の風景を同時に撮影可能に起動状態を維持していた

地上でも、もしも落下した場合に少しでも時間を稼ぐ為の準備を拵えて在る
機能する両腕だけで遊べる長丁場のボードゲームや、振る舞う為の茶や菓子を、天井に潜伏している触手達は忙しなく支度している
相手が好戦的な態度に出て来た場合の、極力傷付けずに対峙する準備もバッチリだ

ご案内:「無名遺跡」からE・T・D・Mさんが去りました。