2024/02/01 のログ
■バロン > 「それではエシーの言い値で買い取っていただくとしよう。
さて、次の品だがまぁ…目玉は出したからあとは小ぶりなものがちょこちょこあるくらいさ」
ふーむ、以前もそうだったが彼女は不埒な魔王というのがお気に召さないらしい。
こちらとしては魔王と名乗るものが気安く彷徨っている状況は美味しい餌が転がっているようなものなので構わないのだが。
それは彼女との文字通りの価値観の違いなので気にしないに尊重する。
寧ろそこで感情を見せてくる姿が愛らしいとまで思うのだがそれは内に秘めておくことにしよう。
さてさて、次の品々だが再度魔術で空間からぽろぽろといくつか値の付く品々を絨毯に並べてみる。
いくらなんでも王都の貴族に強盗に入るマネはしないので、郊外の領主とかそこらへんから根こそぎ頂いたものの中。
どうやらその領主はシェンヤンとも秘密裏に取引をしていたらしい、品々の中には王国のものとは異なるオリエンタルな装いのものもちらほらと見えただろう。
高価な武具は当然として、宝石や魔石の類に異国の調度品や呪具といったものが並ぶ中、食料品や書物といったものも入っているのはバロンの性格が出ているかもしれない。
「人の宗教染みた品物の意味はよくわからんものが多い、この十字のものはどういう意味があるのやら…異国のであれば余計だな」
金細工の施された手持ちの十字架を眺めながらいぶかしそうにするバロン。
少なくとも神聖な力は無いようだしバロンには効かないようだ。
シェンヤンの品であればバロンも余計に詳しくない…変わった形に曲がった宝石やら、変な意匠の皿といったもの。
人が食べるための加工食品の木箱までまぎれている…当然保存食の類なのだろうが、少なくとも料理に関しては人間の技術力は高い。
意外にも売れ筋となりえるかも…。
書物に関しては相手を選びそうだが、バロン曰く読み終わったものを持ってきたそうで、いかにも彼の性格が表れている品だろう。
歴史書から学術書から詩や小説といったものまで含まれており、文学面に関してもバロンなりに興味深いと考え、価値があると思って持ってきたらしいが。
■エスクレンタ > 「鎌は言い値と言うか、遺跡の奥に流すから買い取り手探す形になるだろうけど……、
最低このくらいは見積れるんじゃないかと思うよぅ」
と、指で示す数字の後に、指で丸を作って更に数字を示す。
後半の〇と数字は桁……、貴族の邸宅が買えそうな額を提示して。
こちらからすればよく壊さないでゲットしてきたねぇという意味合いもあったり。
もうその魔王捕まえて鎌職人に据えた方が良くないかと思えてきた。
「……魔王、というのは正しくも間違っていても長なのさ。
従える者もいる。収める土地もある。存在する意味もある。
それ等全てをないがしろにして、力を持っているから魔王、生まれながらに魔王、というのは
人にではなく、世の理そのものに仇成しているようなもんだと思うよぅ。」
不埒でも構わない、存在する上で生まれる意味を掲げるならそれで構わない。
だが魔王自ら戦陣に乗り出す者、あまつさえ捕まり嬲られる者。
それがまがりなりにも王を名乗る、というのは、商人からすれば名義で信用を貸し出せないなんともスムーズに行く取引が減った世の中になったということになる。
要は『魔王? 肩書はいーんですがね、何か身分証明証持ってます?』みたいなことを商人が言わないといけないような世の中。
辛い。
そういう閑話休題はさておき。
空間魔術で出してもらった品を水のクッションでキャッチしつつ、並べて行って、
確かに後はなるほど高級ではあるが上質とも言えるか言えないかぐらい。
「宗教もふたを開ければ魔族とか神格化された貴族とか多種にわたるからねぇ。
十字架はあんまり意味が……、お、これ魔刃生成する暗器だね。聖職者の中でも暗部の奴が使う奴だ。
レアものレアもの。」
十字架を弄んでいるとくるりと捻った後に十字架の一端が伸びて剣の柄のような形状になり、
込めた魔力が刃として形成される。魔力刃の展開までは瞬きよりも早く、すれ違いざまに一閃されればまあ面倒な武器だなと感心しきり。
まあそんな品だから神聖さの欠片もない。
シェンヤン方面は最近興味があるからわりと鑑定しやすい。この辺とこの辺はいいねぇとより分けていくが
曲がった宝石は特に呪われてないしなんだこれ、と保留ゾーンへぽいちょ。
後から知り合いの情報屋に押し付けとこう。
「あ、この辺の保存食は私が買い取ろうね。人間相手の食事提供に使えそうだ。
お、詩篇集まだ現物あったんだねぇ。バロン殿お目が高いナ。
意外と人間の文化も楽しんでたりするかい?」
などと聞いてくる。文化を嗜むのは心の栄養だ。
ふと、気になりもする。異空に呼ばれて謳歌しているとはいえ、よその世界だ。
バロン殿が、取引相手でも紳士的な御仁が知らず心を乾かしているのではないかとも。
■バロン > 彼女が示した金額を見てこくりと頷いて了承する。
肉便器と化した魔王の鎌職人とは…ある意味よいかもしれないが、生憎こういうタイプの奴隷は王国に高ーく売れるのだ。
王国のマッドな研究機関が特に…魔王をどうするかなど容易に想像できる…もしくは想像以上かもしれないが。
少なくとも今の人間どもに魔王の肩書はただの畏怖されるためだけでしかないようだ。
さてさて、あとから出した品々も細かく彼女が見てくれている。
わかりやすい品からギミック付きのもの、結局わからんものなどうまいこと仕訳けてくれている。
持ってきた食料品や文芸品もまた、彼女はやはりその価値を見出してくれたようだ。
「あまり言わないというか、周りに教養のあるものがいないからな…
人の文学には惹かれるものがあるのは確かだ。
書物も良いが今は吟遊詩人や声楽を聞くのが好きでな…時折人にまぎれては魔石に記録している…」
頻繁に聞きに行けないため、記録用の魔石に歌を録音して聞いているらしい意外な趣味を明らかにしつつも、それを共有するような友人にまったく恵まれていないという事実もまた明らかに…
バロンの性格を考えれば教養のある趣味くらいあるとは想像していただろうが、変だろうか…?なんて少し気恥ずかしそうに思うくらいにはあったようだ。
■エスクレンタ > 魔王さえも呑み込むこの国の腐敗ぶりはまさに末法と言うべきだろうか。
まあ今後世に出てこない魔王など死んだも同然だろうと放置。
その鎌の性能だけはおしむらく、だが。
持ち込んだ中でも的確に仕分けしていくが、特に文芸品は遺跡では意外と売れたりするのだ。
とはいえ冒険者が苦労して持ち込んでも期待するほどの額ではないから流通しないのであって。
「あー、傭兵団だとねぇ……。吟遊詩人も今はまだ世を歩けてるんだねぇ。
魔石もまだまだ貴重だからね。そう言う風に使えるにはまだ余裕がないのさ。
人間の、富裕層は……、ゲーティア傭兵団所属、と謳えば趣味は信じてもらえなさそうだしねぇ……。」
変だろうかという仕草を見れば、人間より人間らしいよ、などと言う。
しかし魔石を、というのはいい考えかもしれないと思い、ふと。
「だったら、複数の魔石に記録して、次来た時に譲ってくれないかい?
私も聞いてみたいし、ここに住む魔族達も興味が湧けば他に趣味が共有できる相手が見つかるかもしれないよう」
と、己もだが、流通を通して趣味を共有する者がいないか探せないかと提案をしてみて
■バロン > 「うむ、吟遊詩人という言い方は今の世にあっているのかどうかわからんが…少なくとも楽器を奏でる者たち、歌を歌う者たちには大いに興味があってな。
ゆっくりしたいときは一人で聞きながら休んでいる程度さ」
信じてもらえぬだろうし、信じてもらう必要もないと思っている。
ましてや他人に話したことすら初めてなのだ。
なにより歌を記録し後から聞くという行動をしている者など、この時代にどれほどいるのだろうか、というレベル。
「ふむ…わかった、だがエシーの言う通り譲って共有するだけだ。
同好の士を作るのが目的であって、ビジネスをしたいわけではないからな」
彼女の言い方を考えれば、彼女はそこはしっかりわかって言ってくれているのは流石だろう。
バロンにしてみてもこれに金が絡んでしまえば趣味といえなくなってしまうということも。
そして何より、やるのであれば仲間内で楽しむだけにしておきたい。
もし外にも広まり歌った本人の耳に入れば権利を主張して…なんていうことが起きるのだろうから。
もちろん将来的にはそういう法的な整備ができていくのであろうが、今は一種の無法地帯。
ならば楽しむ者たちだけで、静かに共有するのが理想というものだと。
彼女の提案を受け入れつつ、その手法については一定の条件を加えてこそいるがそこに問題はないだろう。
意外な趣味の告白を交えたビジネスの時間はすっかり遅くまで行われて…やがては違う駆け引きも行われていくのだろうか。
ご案内:「無名遺跡」からバロンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からエスクレンタさんが去りました。