2024/01/31 のログ
ご案内:「無名遺跡」にエスクレンタさんが現れました。
■エスクレンタ > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「無名遺跡」にバロンさんが現れました。
■エスクレンタ > 無銘遺跡の中層より少し上。
今日は事情があり、普段取引をしている在住の魔族と対価の代わりに回廊のいくつかに色のついた魔灯を灯してもらう。
色に法則性はない。ただ、先方との取り決めがあるだけ。
小部屋にて、天鵞絨の絨毯を広げているが今日は品物は広げていない。
今日は商いではなく、買取が目的だから。
「まあバロン殿なら大丈夫だろうねぇ」
遺跡の外へのつてで取引相手に手紙が届くかどうかも、ここまでたどり着くかも心配はしていない。
普段商いをしている中層から上がって来たのはある種の歓待でもあるが、
それもバイコーン、さらに言えば異空より至った上位種ともなれば無用な気遣いかと思いつつ。
■バロン > ぱかぱかと軽快な足音を響かせて無銘遺跡に現れるバイコーン。
一般的なそれと異なる体躯と、何より纏う雰囲気や様相が違うことは並みの冒険者にでもわかるくらい。
ただ今回は面倒ごと繋がる振舞いは控えての行動。
いくらお招きいただいたとはいえここは実力さえあれば誰でも自由に行き来できるダンジョンだ。
絡んできそうな人間やら魔獣やらは適当にやり過ごしつつ、目的の場所へさしたる問題なく訪れる。
「ごきげんようエシー、待たせたかな?」
手紙にある通り、魔灯の色を頼りに迷いなく目的地たる小部屋に辿り着けばその黒き馬は愉しそうに微笑んで、彼女の前でゆっくりと腰を降ろそうか。
「元気そうでなにより…今回は前よりはマシなものを持ってこれていると思う」
彼女の顔色を窺いつつ、息災そうであれば安心した様子。
今回の商談には期待しておけとばかりに尻尾を揺らし、自信を覗かせてみせるがはたしてどうなるやら。
■エスクレンタ > 「過不足なく時間通りだよバロン殿。偏りなくというのは商いには大事なことだからねぇ」
と、急くでもなく待たせるでもない、普段通りの歩調にあってゆったりとたどり着くならばこちらも顔を見れば頷いて。
一般的な魔物やバイコーンと比較して、明らかに異種が紛れ込むことはダンジョンへの影響を懸念する、と言いたいところだが、
大体この遺跡は良く魔王とか余所の魔族とか挙句逃げ出した実験魔導生物とか紛れ込んでたりする。
それで文句言ったり絡んでくる方が悪い。それでもアドベンチャラーか。
「ここは勝手知ったる住居にして寝床にして店だからねぇ。心配はないよぅ。
あまり質はこだわらなくてもいいさぁ。流れて来る出所が出所だからねぇ。」
元より取引する品は処分するにも持て余している品々。
それを取引の為に奪ってきたのではない、のだからそこに質を求めるのは取り決めに反する。
だがそれでも、取引相手やその主の戦力を鑑みれば、餌食となった品の出どころもまた相応に品質も期待は出来るだろうとは考えつつ。
■バロン > 「イイ女相手に焦らしたりしないものだ」
商売は敬意と信用あってこそ、主語は違えどそれはバロンにとっても同じようだ。
この無銘遺跡というのは中々面白いところというのもある。
もう少し深く潜ればこの身であってもスリリングな体験をすることができそうだ…召喚した主が違えばそういうこともしていただろう。
「そう言って貰えるとこちらも楽ではあるが…そう言われると一品目から気合入りすぎ…となりそうだ。
これなのだが…」
そう言って二対の角を光らせるとバロンの横の空間がぐにいと歪んで何か…武器がゆっくりと出現し、そのまま宙に浮く。
それは死神の得物を彷彿とさせる大振りの鎌であり、その柄や刀身にはまんべんなく巧みなエングレーブが施されていた…いかにも趣味の悪い魔王などが持っていそうな品というのが説明されなくてもわかる。
武器から漂う濃厚な瘴気がそれを裏付けているし、柄と刀身の付け根の部分にある水晶のようなもの、その中には魔力を視覚化したようなエネルギーのようなものが見えるが、なぜか頻繁に大きな反応をしてのたうち回っているようにも見える。
「これは主に絡んできた魔王が持っていた武器だな…なんでも使用者と精神で繋がっているとかなんとか…今その魔王は主が直々に相手していてな…もう一週間になるか…その水晶の中を見る限りまだ死んではいないようだがな」
大鎌の出どころを説明するも、それはこんなダンジョンの低層にあってはならないレベルの代物ではある…だが魔王のものであり精神接続されていようと所詮はモノ…ただの希少金属の塊というだけだ。
品質に関してはまず問題はないだろう…デザインについては最低と言わざるを得ないのはバロンも思うところ…問題は取り扱い注意という点だがそのために一応魔法で宙に浮かせているが…彼女もそういったものの取り扱いには慣れているだろうから不要な心配か。
■エスクレンタ > 「誠実さを併せ持つ獣、というのはまた女性も捨ておいちゃいないだろうに」
バロン殿、という存在自体は男が立っていると思っている。
野性味の中になまなかな人間、魔族より男としての筋を感じることが多々ある。
……召喚、異なる場より呼ぶことは、己にない異を補う意味もある。
意図せずして、かの御仁は己を補う存在を従えているというべきか。
「……また随分と大仰しいものが出てきたねぇ。おや、戦の最中に得物を奪われたのかいその魔王。
しかしこれ、後から遺跡の中で競売にかけてくると面白いかもしれないねぇ。」
気合が入ってるのはバロン殿のせいじゃない。むしろ襲われたアンポン共のアレ。
バロン殿は悪くないぞと内心思いつつ。
なるほど、と水晶を見据える烏賊目玉がぎょろりと動き、収縮し、何かを見定めているように。
「おっと、鑑定する上であまりお客様に持ってもらうのも不躾というものだ。
一度こちらで預かるよぅ」
そう言うとバロン殿の魔術で浮かび上がったままの鎌に虚空から這い出た水流が絡みついて保持する。
その水流へ帯びる瘴気が絡みつき浸透していくが、それを受け流すように虚空へと瘴気ごと流れ続けていく。
清める、洗い流す。
瘴気は一説には沼気から語源が来てると言われている。つまりは水気から生じたもの。
発生源こそあれど一つ所に留まってこそ影響を及ぼす。
それは水の流れを極むれば如何に濃厚と言えど、魔王がもたらしたものと言えど受け流すことは容易く。
盛者必衰。あらゆるものはどれほどの力を持とうとも、大きな流れには小さな流れは飲まれるものなのだ。
「しかし、絡んできた、か……。バロン殿がそう評価するに、やはり最近台頭してくる魔王は品性の低さが目立つねぇ。
中々良い品を持ち込んでもらったが、しかしここでかの御仁に助力をするのは無作法というものだねぇ」
ある種心臓、と言わずとも、精神へのパスともいえる水晶があれば干渉も出来る。
だが、それではまるでかの御仁が無作法者を屠るに人の手を借りなければならないと言わしめるようなもの。
女の身、戦場に赴かぬ商人と言えどそこまで無粋ではないと。
金属彫刻に微細な水流が流れ込み、刻まれた意味を欠けさせていきながら封印を施していく。
徐々にかすれていく瘴気が消えていけば、美しい意匠も相まって荘厳さも見えてくるだろうか。
まるで、居丈高に力をかざすのではなく、魔王たる者静謐を以てあり方を示すものだとするように。
「持ち主が死んでも動力になるならどこかで炉心に組み込んでもいいかもねぇ。
しかし傭兵団どころじゃなかったネ。これは面白くなってきたよワハハハハ」
ちょっと傭兵団がしばき回した貴族の家から転がって来た奴、ぐらいの話だったが、
蓋を開けると貴族のニュアンス違ってて爆笑している烏賊頭だった。
■バロン > 「ふむ、少なくとも雌の馬にはモテるな」
そして人の姿に化ければ女に、中間の獣人の姿になればもちろん…
相当に察しの良い者でなければバロンの正体など気づきようもなく、多くの有象無象はその姿だけで良し悪しを判断する…シンプルでわかりやすくてよい。
少なくとも主に外交力というか、人付き合いの良さというものがあればバロンは必要ないのは間違いなく。
ゲーティア傭兵団もまた違った存在となっていたかもしれないが…それはそれで今の魅力が無くなる様な気がする。
「戦い…になっていたかどうか怪しいがまぁそんなところだ。
ふむやはりウチのごみ置き場に置いておくより良さそうだ」
まるで赤子の手をひねるようにその『戦い』は終わったのでバロンは苦笑するしかできず。
武器は捨て置いたはいいものの手下が勝手に拾って自分を真っ二つにしたので、あほらしいので処分名目で彼女を頼ったが正解だったようだ。
彼女が水流をまるで生きているかのように巧みに操り大鎌を保持しつつ瘴気を洗い流していく作業を、バロンをじっくりと観察する。
単純な作業を見ているのではなく、魔力の動かし方…魔術の操作の仕方をじっくりと、演舞でも見ているかのように興味深く。
「ん、フフフ…いやいや、私は品が良くなくても構わぬとも。
主の恐ろしさを忘れる者が多くなってくると、こうして定期的に程よい犠牲者が出てきてくれる。
いや、言い方が良くないな…主を討とうと試みる蛮勇だけは認めてやらねばな。
ああ、エシー…心配はいらぬとも…主はなんであれ細事を気にしない」
時折こうして犠牲者が自ら率先して現れては、その配下を数名逃がして主の名を改めて世に知らしめる。
やがてそれも形骸となればまた同じことの繰り返し。
愚かでもあるが美しき連鎖でもあると、バロンは笑う。
やはり彼も悪なのだと再認識できるだろう。
「ふむ、そういった再利用の仕方は思いつかなかったな…新たな知見だ。
まだ品はあるが…すべて見せるには時間が掛かりそうだな」
その貴族の屋敷を襲ったときの品、というのもまだあるのだが、愉しそうな彼女の様子を見る限り今回の買取はじっくりと時間を掛けて行えそうだ。
■エスクレンタ > かの傭兵団がその”魅力”を維持しているのは一助となっている黒馬の人柄、馬柄? 故だろうとは思っている。
「ああ、生きてるって……。
持ち主はともかく、これ自体は使い道は沢山あるから、確かにこうして私に流してくれた方が
武器の汚名もそそがれるだろうよぅ。精神を繋げられただけで武器に罪はないからねぇ」
呪うなら自分の蛮勇さを呪ってくれどこかの瘴気だけはすごい魔王。
そんなことを思いながらも、魔力の動かし方、操作を見ていれば、ただ術を行使するだけではないと分かるだろうか。
術が現象の発現、取り決めた動作を行わせるのだとすれば、商人が今行っているのは
反射的なのか周囲に向かって来る瘴気の動き方をつぶさに観察し、しかし掌握し、つぶさにいなしていく様。
瞬きの間に、変化する動向に魔力を微細に操作して少しずつ切り崩しながら隙を見て彫刻に意匠を水で上乗せして封印していく。
人の目では理解出来ぬ、盤上がない駒遊戯の如き対局を進めていく。
ただ瘴気をねじ伏せて武器を圧倒するのは容易い。
だがそれでは武器に負荷がかかってしまう。最悪破壊もされるだろう。
呪われた品が解呪の際に耐え切れず破壊される状況に近い。
それを避けるように、繊細な作業を、商人は雑談を進めながら、ショボ魔王への感想にため息さえ漏らしながらこなしていく。
「かの御仁は長い年月を彷徨っている。なれば風化も必定ということだねぇ。
まあしかし、魔王というのはタダの王とは違うと言えど、成り立ちも通常の魔性と違う。
だからこそ、己がそうだからこそ、他の”魔の統治者”に対しては成り立ちの異なりを掴み対応するが通常、とは思うが……。
なんかこう、人間の王族の二世というか、ボンボンというか、アンポン魔王が最近増えてる気がしてねぇ。」
持ち主より武器のほうが風格あるじゃん、と文句を言う有様である。
もっと人間の勇猛な命知らずが挑んできてくれたほうがかの御仁の溜飲も下がると言うものだろうかと。
そも、悪とは人のものさしに過ぎず、バロン殿の悪は毛並が示す艶のある黒を美しいと思う者がいるのと同じことだろうと考えて。
「ということは、他にも色々面白い品があるのかい?
どんどん行こうじゃあないか。
ああそういえば、勇猛と言うか命知らず、という意味では……、最近王国内の魔族排斥で名を上げようとか言う
愚かな貴族が最近動き回ってるみたいだねぇ。
そのうち御仁にも噛みついてくるかもだね。わははは。」