2024/01/28 のログ
■サウロ > 「……、……知るか、と言われても」
(スライムは湯気も出るのか……なんて場違いなことを思う程度には、怒り心頭な様子の反応に唖然としてしまったが、
明らかにオーバーサイズな乳房の揺れを見れば、魔物への性的な情欲を抱くことはないにしても、
形状やら柔らかさやらを連想してしまうものはあるので思わず視線が横へとずれていく。
心臓部分たるコアが見受けられない様子に、やはり隠すだけの知性はあるのかと。
そもそも捕食以外にハグをする魔物というのも聞いた事がないので、結局警戒は溶けないままだ。)
「く、クロ…? クロー…、クロッティ…クローティ?」
(更に言えばどうにも聞き慣れない響きだったようで、彼女に対して無礼を重ねてしまっているようなものか。
モンスターで、名があり、親切だと言い切る。それはもはや魔族では。
魔族が作った魔物? と諸々連想や想定をするが、首を傾げる仕草までまるで人のようだ。
一先ず剣の先を床に降ろしてから、掛けられた問いには視線を壁へ向け。)
「……サウロだ。迷ったわけではないが、依頼で無名遺跡の調査をしている。
女性冒険者や、パーティの失踪が相次いでいるようでね。
何か心当たりがあるなら、聞かせて貰えると嬉しいんだが」
(隠し部屋に用があると正直に言わず、一先ず無名遺跡で女性冒険者が被害に合うケースが多いことは事実。
何か知っているのであればと、試しに尋ねてみる。)
■涅 > こうして胸を張れば、そして腕をだらりと下ろしても先の素振りもそうだが身動ぎ一つで大ぶりの乳房は何も抑えるものもない為いちいち撓み弾む。もしこれが普通の生き物なら何ならいちいち弾みすぎて痛そうなぐらいに撓み弾む。これだけのデカさできちりと前に迫り出した其れは自分自身でも中々うまく出来たと思う一品。そこに注がれる視線、そして気まずそうにそれる視線に、どや! とばかりもう一度ふんぞり返れば、たぷんっ、とまた揺れた。
心臓部を観察されているとは露知らず。
隠す、心算など実は毛頭ないまま、
「涅! くろつち! く・ろ・つ・ち!」
クローだのクロッティだのクローティだの。
間違えに間違える彼に一文字ずつ、口や唇を大きく開けて形を横にしたり縦に伸ばしたりと口の形から発音を教えている。
なんてやつだ! と、また湯気が出そうになりつつ暫く発音講座を続けた。
何者かの問いには結局名前しか答えていないのだが其れを深く問い詰められたとしても名前以外は出てこない。
己が何者であるかなど己は不定形生物(スライム)だとしか知らないし調べようと思った事もないのだから。
「サウロ。あー。依頼。冒険者ノ」
彼の名前に目的に。一つ一つ、首を戻せば今度は頷いては反芻しては記憶していき、質問にも、一つ頷き、
「こコよりもーっト下のほーにわたシの塒があル。そこに入ってきタのは食ったか苗床だネ。
他はよく知らなイ。写真あル? 顔見たら分かるかも。親切だカら協力してやロ~~~」
親切云々言っていた口であっけらかんとのたまった。
■サウロ > (視界に入っては撓み揺れるソレから目を背けているのが知れたのか、ふんぞり返る様子に目を伏せて息を吐く。
魔物とはいえ女性の形をしている以上、煩悩を刺激するのがまた厄介だ。
青年にとっては魔物を性行為の対象にする、という経験や性癖がないので引っ張られていないだけなのだが、
魔物でも良い女の形をしていたら構わないというような猛者の話も聞いた事があるので微妙に複雑な表情にもなろう。
流石に魔物に「襲われないように気を付けなさい」なんていうのもおかしな話なので、口は噤んだ。
よく喋り、知性を持ち、名を持ち、一筋縄ではいかないだろう存在を改めてみる。)
「……クロ……、なるほど、クロツチか」
(聞き慣れない発音に対して発音講座を開かれて、最終的には明らかに微妙に何か違うような発音で覚えたらしい。
冒険者ではないのだが、それは些事。
続く言葉を聞けば、眉間に皺を寄せて、剣を握る手にも力が籠る。
碧い双眸が静かに涅を見据えたが、その剣が振るわれることはない。
一緒に探そうと言う申し出にも、首を横に振った。)
「……君が親切な心持であるのは、理解した。
だが、モンスターである君は、何故俺を信じられる?
俺は君を利用し、背後から襲い掛かるかもしれない武器を持った人間だ。
多くのモンスターを切り伏せてきた。魔物と人、生まれ育つ環境も境遇も異なる。
────なぜ、君は、人間に"親切"にしようとするんだ?」
(違和感──。
容易く繋げられたとはいえ、今しがた殺意をもって首を落としたばかりだ。
攻撃を再開すればどちらかが倒れるまでの戦闘になるだろう。
それなのに、まるで友達にでもなろうと言わんばかりのフレンドリーさ。
何故自分のことを信用できるのか、魔物にとって、人間をどう見ているのか。
彼女にとって人間とは何なのか、今こうして対話している自分をどう見ているのか。
それがわからない以上、"敵"として"討伐対象"であることを覆すことはできないだろう。)
■涅 > 「ん~~~~~……惜シい……!!」
黒土と涅では発音の仕方がちょっと違う。然し今迄よりは随分と良くなった。舌の動き、発音の上下にまで言及しはじめるとなるとまず己の発音で伝わるかどうか怪しいので、ん~~~~~……!! 等と暫く悩ましげな声を上げるし眉間に皺も寄るし眉間に人差し指を当てて暫く悶絶していたが、結果的には『まあよしとしよう』に落ち着いた。其れはさておき件の、失踪した冒険者とやら、何なら自分がまだ苗床にしている真っ最中かもしれない、人間の顔は正直判別しにくいが人間には写真とかいう便利なものがあるのであるなら見てみよう見比べてみよう探してみようという話……
緊張か、何某かの警戒色がまたじわりと浮かび始めた様相に、はて? と、訝しみ、続く言葉にまた、
「はて?」
信用。利用。モンスター。親切。生まれてきた環境だの何だのと並べられる言葉に、訝しんだのちに、
「ぁはは!」
笑った。可笑しくって。可笑しい、と、顔に書いてあるみたいに口元に目元も全部笑みに変えて笑った。
「動機の言語化をしタがる人いるよネ、人間は。サウロもそのクチ? だねェ? 理由なンてないヨ?
えーと。強いて言うなら。わたシは今お腹いっパいだから。えーと。気紛れ!」
戦う気分じゃないから、戦わないし、食べる気分じゃないから、彼を食べないし種付けもしない。
“親切にしようと思った”から“親切にしている”だけでそういう心持ちでなかった日には……
もし、次の出会ったときにそうだったらば彼の顔を知っていたって彼に襲いかかるだろう。
今こうして会話しているのさえそれだと、
「自分デ言ってルじゃナい、サウロ。違う生き物だヨ? 理解なンかしなくテいいよ~~~」
あっはっはっはっはっ! 手をぱんぱんと叩きながら可笑しくって仕方ないと笑って話す。
■サウロ > 「────なるほど。よく分かった」
(声を上げて笑いだした魔物の思考の一端を知り、眉間に寄る皺が深まっていく。
気まぐれ、とはっきりと分かりやすい言語が返ってきて腑に落ちた。
魔物の行動原理など理解できるものではなく、また彼女の思考は魔族に近しい。
言語とは、人間が生み出した理性と知性の賜物だ。
それを繰る魔物がいれば警戒もする。青年の問うた言葉もその一環。
可笑しくてたまらないといった表情で笑みを浮かべる姿を冷静に見据えながら、
武器を鞘に納め、盾は構えたまま腰のポーチに手を伸ばす。)
「……今日の所は、君の気が変わらないうちに退散させてもらうとしよう」
(理解しなくていい、とは言うが、人間とは、理解できないものを恐れる。
だからこそ魔物を研究する者は後を絶たない。
今日であった彼女、涅という不定形モンスターのことも、情報として残し、理解を深めなければならない。
満腹、ということは、おそらく何者かを食べたからだろうとは思うが、その点には目を伏せるしかなく。
今日襲われることがなかったことを幸運とし、彼女の情報を持ち帰ることを優先とした。
移転魔法の術式が書かれたスクロールを広がると同時にサウロの足元に術式が走り、
一瞬の強烈な光が周囲と彼女を眩く照らした後、青年の姿はその場から掻き消えていただろう。
気紛れで襲わず戦わずを選んだ彼女とまた再会する時があるとすれば、
その時もまた彼女の気紛れに乗る形になるかもしれないが、それはまだわからない話──。)
ご案内:「無名遺跡」から涅さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からサウロさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にミラさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からミラさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 昼夜の関係も無い、閉ざされた無名遺跡の底にてそれは潜んでいる。朗々と照らし付けて来るのは何者かが敷設した魔力照明の灯火だ。延々とひた続く回廊の彼処において悍ましい怪物達が跋扈しているのをその気配から感じとる事が出来るだろう。焼き締めた魔法煉瓦が壁や床、それに天井までをも埋め尽くし、そこに補強として建てられた梁には入り込んだ蜘蛛のかけた白い巣がカーテンのように下がっている。
その廊下に面した一室の中にそれは潜んでいた。何の変哲もないベッドが幾つかに食料や水の入った棚。椅子やテーブルが設けられ、良くみれば竈らしきものまで備わっている小部屋だ。入口にたてられた木製の門戸に刻み付けられた魔法陣はまだ活性化しており、白々と放たれる発光は即ち邪な者達を寄せ付けない結界の一種だ。この遺跡に元々在ったものではなく、遺跡を攻略する冒険者が一時的なセーフルームを拵える為にかけた魔術の賜物となる。
「………」
今も入口周囲から壁や床にまでぎちぎちに走った魔法文字の放つ力によって、その御蔭で此処には怪物達も容易には立ち入れないという訳だ。しかしながらにおいて封鎖されているのは入口の門戸だけであって、それ以外の場所からならば容易に此処に忍び込む事も可能であった。
即ちにおいては敷き詰められた煉瓦のモルタルの欠けた僅かな隙間を経由してスライムのような不定形ならば此処に入り込める。
元々は竜の形を形成しているその怪物は今は黒いコールタールのような形状として、今は眠る者の居ないベッド下の物陰に平らに伏せるようにして潜伏している。
休眠状態ではないその証に、時折に頭部から伸びている触角が炯々と光を湛え、うねるようにして周囲の暗がりを照らし出す。
ご案内:「無名遺跡」からドラゴン・ジーンさんが去りました。