2023/11/29 のログ
ご案内:「無名遺跡」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 無名遺跡。昼夜を問わず、変わらずにほぼ一切の陽射しの差さない閉塞的な空間が維持されている。数多くの遺跡特有の怪物だけならず、生きたトラップ類が作動する事も在り、安全性だけを考えるならば活動に適している場所とは到底には言えない。
しかしながら、怪物の棲息数が多いということは、即ちにおいてはその遺伝子も多種多様に渡っているという事に他ならない。よって、その採取を目的として、此処に足を運んで来る者が居る事も在った。

「………」

薄暗く、照明は壁際に立て掛けられている松明の類だけ。周囲を焼き締めた煉瓦の壁で構築されている人工回廊内を徘徊する巨大な蜥蜴のような生き物が一体散見される。表皮粘膜の腹部に位置する場所が破れ、そこから黒々とした体粘液を垂れ流しにしながら。
街でぬくぬくとしている一般人や、油断した対象ならばまだしも。生存競争の著しい環境下での強敵を相手に遺伝子を採取する事はこういったリスクも在るという事だ。手痛い反撃を受けて命からがらに情けなくも逃げ出した怪物は、回廊内を廻っていた。

そのように今も肌に感じ続けている猛獣や、それに類する危険な生命体の気配から身を隠しつつ、辿り着いたのは回廊の端に設置されている宝箱となる。

ドラゴン・ジーン > ぬるん、と、間も無くしてそこに手足をかけてとりつき、閉じられている箱の中にへと入り込んだ。施錠をされており閉じた箱も鍵穴やその他僅かな隙間さえあれば侵入するのは非常に容易だ。本来は不定形である我が身を生かして一抱え以上もありそうな豪奢な装飾の施された宝箱の中にへと逃げこんでしまう。

あたかも、この手のダンジョンにはありがちなミミックのような有様だ。そのまま内包されている財宝類に紛れ込んでその底に身を隠し、周囲の危険をやり過ごす為の休眠に入り始める。
潜り込んだ粘液の分だけ嵩増しのされた箱の容量は満杯になり、見目においては内圧によってみちみちと箱を構成している木目の板や金属部品が窮屈気にしているようにも見えるかも知れない。だが、そのような些細な変化は周辺に居る怪物達も気にしないだろう。
遺跡内に座している財宝など、食えも飲めもしないのだから。

ご案内:「無名遺跡」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にキュアポットさんが現れました。
キュアポット > 無名遺跡にある地下迷宮。
冒険者であれば一度は立寄る初心者向けで有名な迷宮である。
出現するモンスターもゴブリンや強くてオークやスケルトンレベル、トラップに至っては擽りや簡単な落とし穴くらいで、危険性はほぼほぼ皆無である。

モンスターにしても定期的に中~上級冒険者が間引きするくらいで、別名訓練所とも度胸試しの迷宮とも呼ばれている。

さてそんな安全な迷宮であるが、時と場合に寄る。
例えばであるが、油断した冒険者や無謀な冒険者は手痛い歓迎を受けることもあるし、罠だって無防備に飛び込めば骨折したり、そこを魔物に襲撃されると命の危険性だって無いことはない。

もうひとつ例外がある。
そこに誰もが想定してないモンスターが出没すること。
それも誰かの通報や目撃情報により直ぐに間引きされるのだが、今夜はその中でも例外的な例外が存在した。

それは落とし穴に偶然湧いたキュアポットと呼ばれるスライムに近しい医療用魔導生命体である。

迷宮の通路のど真ん中に巧妙に隠された落とし穴。
すぐ目の前には落とし穴に誘うように宝箱がこれ見よがしに設置されている。

で、宝箱に誘われて落とし穴に落ちるわけだが、キュアポットが湧いている落とし穴は落とし穴自体はこの迷宮に存在するびっくり要素的な落とし穴で、人によっては落ちても脇の下くらいまでしかない深さであり、ちょっと縁が滑らかになっていて、這い上がるのは難しそうな、筒状の落とし穴であった。

感覚遮断、何ておしゃれなものもなく。
ただただ普通の落とし穴、落ちればズポと足先から腰くらいまでたっぷりとスライムに埋まりはするが。

ぬるま湯のように温かく、他のスライムのように消化するような効果はない、ただただヌルヌルドロドロの湯に落ちた、そんな印象を受けるであろう落とし穴の罠だった。

ただ誰も近づかないければただの落とし穴である。
今宵は罠にかかるものもなく、たぷたぷよ揺れるのみであった。

ご案内:「無名遺跡」からキュアポットさんが去りました。