2023/11/25 のログ
ご案内:「無名遺跡」にイオラさんが現れました。
イオラ > 主に侍る時とは異なり、冒険者が身に纏うような動きやすさを重視した衣服を身に纏った姿。
普段は流している黒髪も、緩くではあるが一つに纏め上げられている。

そんな装いで訪れたのは、名も無い遺跡の中層。
浅層とは異なり、魔物の量もトラップの量も増え、勿論、質も上がっている。

「――――困りましたねえ……。」

己の首元に填め込まれた”魔封じの首輪”を撫でながら、小さく呟いた。
自身の肉体の耐久テストとばかり、トラップを碌に避けなかった結果がこれ。
まさか、中層でそんな物が出てくるとは思わず――正しく、油断である。

ご案内:「無名遺跡」に肉檻さんが現れました。
肉檻 > 困ったように独り呟く女の耳元に届くであろうは、カツン―――と硬質な何かが床を叩く音。
名も無き遺跡の中層部に突如現れたそれは新たなトラップか、それとも誰かの取り残した遺物の一部か。

大人の拳大程の大きさをした真球状の水晶玉がひとつ。
長い時の流れを感じさせる程に風化した遺跡の風景とは裏腹に、傷や汚れひとつ見当たらないそれは、
周囲を照らす幽かな明かりを受けながら、まるで来訪者にその存在を知らしめるかのように妖しげな煌めきを放っていた。

イオラ > 後方から響いた音に気付いて歩みが止まる。
通り過ぎる間に冒険者や魔物はいなかったし、新たに表れた気配もなかったはず。
振り向いて周囲を見渡せば、少し離れた位置に転がっているものを視界に捉え、緩く頭を捻って。

「―――?」

困ったと口にはしても、気を引き締めるでもない。
先までは無かったはずのそれが転がる場所へと戻りしゃがみ込む。
落ちていたのは瑕ひとつ無い艶やかな、透明感のある水晶玉。
不思議そうに金色の瞳を瞬かせながら手を伸ばし。

肉檻 > "それ"に生物的な気配は無く、ただ何処からともなく地面に落ちてはコロコロと緩やかに転がってゆく。
程無くして地面の凹凸に引っ掛かって動きを止めた水晶玉へと歩み寄り、屈み込む女の姿。
透明度の高いそれは周囲の光を受けながら、薄らとその表情を反射し映し出す。

しかし女がそれを拾い上げようと手を伸ばした次の瞬間、
無機物めいた筈のそれがどくん、と脈動したかと思えばまるで丸めた布が解けるように大きく広がり、
女の全身を包み込むように呑み込んでしまおうとするだろう。

イオラ > 指先が水晶玉に触れかける、その刹那。
本来であれば、あり得ない筈の脈打ちを捉えた。

あ、と、小さな声が漏れたかどうか。
目の前に広がる、遺跡とは異なる情景に遅まきに体が反応するも、時既に遅し。
”口”を広げた水晶玉に、瞬く間に呑まれ行き――――。

肉檻 > 女の姿を呑み込んだ"それ"は、何事も無かったかのように元の水晶玉の形へと戻り、
カツン―――と硬質な音を響かせて遺跡の地面へと落ちてゆく。

もしも間近でそれを覗き込もうとする第三者が居たならば、
その内側に捕らえられた女の憐れな姿を垣間見る事が出来たかも知れないが、
今はその第三者の姿は無く、名も無き遺跡は静寂に包まれていった―――

ご案内:「無名遺跡」から肉檻さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からイオラさんが去りました。