2023/11/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > ――っはあ、っはあ。
荒い呼吸を繰り返し、どくどくと胸を弾ませながら目の前の敵と対峙し、
「せあぁぁ!!」
裂帛を放ちながら魔物の脳天に戦棍を振り下ろす勇ましいアタッカー――…かと思いきや、スタッフで威勢よくカチ込んでいる――ヒーラー。パーティで編成を組んで入ったダンジョンと化した遺跡だったが……、分岐点で魔物の襲撃に遭い後方にいたヒーラーは一行と引き離されてそのままはぐれてしまい。今は2階層辺りでゴブリンに囲まれて、奮戦していた。
先ほど迷い込んだこの狭い部屋にはゴブリンが数匹たむろしていて、倒さなければ前にも後ろにも進むことができず。破れかぶれ気味で孤軍奮闘。
不幸中の幸いか、ホブゴブリンやゴブリンロードなど強化タイプはおらず、数は多いがどうにかこうにか地道に倒すことはできていたが。
「っは、――っふう! んぁ…!」
無傷という訳にはいかない。打撲やら裂傷を負いながらも、斜めから躍りかかって来るゴブリンを蹴飛ばし、正面から飛びかかって来る一匹をスタッフの一撃で薙ぎ払い――一人ではさすがにかなり苦戦を強いられ。残り三匹となったところで、腕や足ががくがくと震えて来て、正直かなり――
「ツライ…!!」
汗を滲ませながら、それでも膝を折る訳に行かず、一歩前に踏み込んできたすばしっこそうなゴブリンにスタッフをスイングさせるが、避けられ。
「――っひ、っぐ……!」
肉薄されて右腹に棍棒の一撃を食らい身体を折った。
ご案内:「無名遺跡」にアドラーさんが現れました。
■アドラー > 無名遺跡。比較的浅い階層にある遺物の回収依頼を請け負いやってきたが
そこで遭遇したのは焦燥した様子の冒険者パーティ。
聞くところによるとヒーラーの一人とはぐれてしまったと。
この階層はゴブリンが巣を作っていることもあり孤立は危険。
幸い、依頼主から地図と、自身が初見じゃないことも相まって、はぐれた冒険者がいきそうな場所の見当は付いている。
狭い部屋に近づけば、女性の激しい声、打撃音、そしてゴブリンたちの笑い声聞こえる。
気配を消し、近づいて…
女性に肉薄した一体。そのゴブリンに一息に接近。
右手に持ったナイフで、ゴブリンの首を切り、脳天ナイフを突き立てる。
「やぁ、手助けは必要か?」
死体からナイフを引き抜き、血を払う。
ゴブリンと彼女の間に割って入り、横目でチラッと負傷している様子を見る。
…深刻だ。
ここは自分が引き付けなければ。
ナイフを構え、残り2匹を手招きするように挑発する。
■ティアフェル > 「っふ、っはあ……ぁ゛……」
小柄なゴブリンからの一撃はそうは重くなかったが、何せ直撃したので衝撃に息を詰まらせて。
すぐには体勢を立て直せず。
「―――…!!」
再び棍棒を振り被られて頭部を庇うようにスタッフを翳した、その刹那のこと。
鋭い刃物が生きた肉を絶つ音。潰されたような断末魔が首を切られ脳天にとどめを刺されたゴブリンの口から短く洩れる。
ほとんど即死状態でごろりとそのまま息絶えて転がるゴブリンとぴしゃ、と頬に飛び散る血飛沫。
瞬く間に屠られた光景に一瞬情報の整理が追い付かず呆けたが、ナイフを引き抜きながら問いかける声には、っと我に返り。
一瞬はぐれた仲間がぎりぎりで駆けつけてくれたのかと思ったが、一瞥に視線を流すその横顔は見覚えのないもので意外そうに目を瞠るが。
「だ、誰……!? いや、誰でもいいっ、手伝ってくれるの? 助けてくれるんなら頼むわッ。
――あと二匹……っ、お願い……わたし、もう、腕、が……」
前衛でもないのに襲い掛かって来るゴブリンを一人でなんとか捌いていたものの。
体力が尽きて来て腕に碌に力が入らず、見っともないががたがた震えてきてしまっている。
スタッフを握りしめるのも辛うじて。せめて回復魔法を使う隙を作ってもらわないと後たった二匹のゴブリンを殲滅するのもきつい。
仲間じゃないとしても助力を請えると云うのならば一もにもなく縋るのみで。
すでに残りのゴブリンを挑発し注意を引いてくれている様子に、助かった…!と希望と安堵を覚えながら震えを止める為に深呼吸と瞑想に入り。
頭に血が上ったゴブリンは分の悪さを知ると普段ならば逃げ出すものの、激高して我を忘れたかのように挑発に高く苛立ったように啼いてなりふり構わず同時に青年の左右から飛び掛かっていった。
■アドラー > 生気がなくなるゴブリンの瞳を一瞥して、前の二匹に視線を移す。
左腕の怪我。二度と同じような失敗はしまいと、深呼吸をして相手を睨みつける。
「君のパーティに頼まれて来たんだ。詳しい説明は後でしようか
…わかった。私に任せてくれ」
状況がいまいち飲み込めていない彼女だが、詳しく説明している時間も惜しい。
そして“お願い”と言葉を掛けられれば、相手をチラッとみて笑顔を見せる。
ここからは時間は掛けない。一瞬で終わらせよう。
同時にとびかかってきたゴブリン。向かって左の個体に向けて右手を向ける。
袖からはワイヤーが飛び出し、その得物を持った手に絡まる。
ワイヤーに気づき、ちぎったり解いたりなどする隙も与えず、大きく右手を振るえば、腕ごと身体が移動して隣の個体と衝突する。
激突したゴブリンはその場に絡まって倒れ込み、その隙にワイヤーをしまえば、右手のナイフに魔力を込める。
青く輝く刃。遺跡内の暗闇で輝くそれは、ゴブリンたちの死を宣告するかのように無慈悲に光を増す。
「っ…!」
踏み込み、罰点を描くように斬撃を繰り出す。
絡まったゴブリン2匹を切り裂き、堅牢なレンガ造りの地面に斬撃の痕を残す。
魔力を込めた斬撃はバツ印の残光を残した後、暗闇へと溶け込んでいった。
「…君は治癒術が出来ると聞いた。自身を治すのは可能か?」
ナイフへの魔力放出を止め、周囲を警戒しながら問いかける。
今の音や血の匂いで仲間やほかのモンスターが来る可能性がある。
自身に付いた返り血を露払いして、いつでも増援が来てもいいように構える。
■ティアフェル > ゴブリンの屍骸が狭い部屋に増えて、それ以前に斃していたゴブリンたちの物に混ざって濃い死臭が狭い部屋にむっと立ち込めた。
単体の戦力で云えばそれこそ物の数ではないが、群れれば圧されるもの。
あと二匹まで沈めたところで限界を感じていたが。
まさに九死に一生。
駆けつけてくれた冒険者のように見える青年が残りを請け負ってくれる返答を聴かせてくれると、肩の力が抜けそうになる。
「……残りは無事なのね……ならいいわ。
ごめん、あと、よろしく……っ」
少しだけ向けられた笑顔に安堵が深まる、これで、大丈夫…と何故か無条件に感じた。
後二匹、のはずだが見落としなどないか部屋の隅に転がったゴブリンの遺骸へ目を向けて動く気配がないことを確認しつつ。
挑発に乗って青年へと飛び掛かっていくゴブリンの方は一任する。
こちらに飛び火してこないかを距離を取って警戒しながら、ワイヤーとナイフを駆使して鮮やかに二匹のゴブリンを相手取る様子に舌を巻き。
これは、敵じゃないってやつだな、としみじみ認識していれば、ナイフに魔力が宿ったように思えた瞬間。
「……っ……」
薄暗い室内では閃光が奔ったかのような一瞬の斬撃。
交差したような光の余韻を見たかと思えば、先程まで動いていたゴブリンがただの肉塊になってごろりと床に転がっていた。
また増えた屍骸、血飛沫の後に訪れる静寂。
「……いま……やる……」
余りにも刹那の出来事で無意識に動きを止めて見入っていたが、訊かれた質問にどこか機械的にかくりと首を縦にして。
深く息を吐き、吸って震えを止めるとスタッフを握り直し瞑目して負った打撲、裂傷へ翳すと詠唱を紡ぎ始めた。
どこか謡うような独特の音階で唱えると暖色の光を生み出し、それが傷を覆い痛みを取り払い傷痕を消して癒してゆく。
周囲を警戒してくれている内に回復を終えられて、ほう、と深く息をつき。
「――ありがとう、助かったわ。ところで、あなたも……左手……」
改めて彼の前で頭を下げると、包帯に気づいて負傷しているのか問うように視線を彼の手と貌へと交互に向けて。
■アドラー > 血の匂い。死体から立ち込めるガスの匂い。
それには慣れてしまったが、長時間吸うと身体には悪い。
女性が倒したであろうゴブリンの躯も調べ、息が残っている者は居ないか確認する。
ゴブリンは卑劣で姑息。
死体に紛れて不意打ちなどよくある手口だが、今回はその危険性はないようだ。
「君の仲間はかなり焦っていたな。
回復役が孤立しているという状況は、君自身にも彼らにとってもかなり危険だ」
彼女の仲間の様子を思い出しながら、一時的な安全確保が出来れば相手と向かい合う。
肩に入っていた力を抜き、微笑みながらもやや厳しい指摘。
ナイフを懐にしまえば、相手が回復した様子を確認して表情を柔らかくする。
「礼は君のパーティメンバーに言うといい。
…あぁ、これは、今日できた傷じゃない。気にしないでくれ」
みるみると致命傷だった傷が治っていくのを見て、便利そうだなと思っていると
自身の包帯に視線が移ったことに気付き、包帯を見せながらも遠回しに治癒は必要ないと述べる。
■ティアフェル > 空気が悪い……ただでさえ籠り易くてかび臭い環境に死臭まで混じればいい気分にはならない。
回復したが、ふー…と少し疲れたように額に手を当てて。
ゴブリンの墓場と化した室内を見回して、うえぇ……と小さく唸り。
「……ま、急な分断だったから……罠を見切れてなかったのね。
よりによってわたし一人飛ばされちゃうんだもん……分断されたら出口に戻るってことになってたから目指してたけど……連中ももう引き返したかしら?」
魔物のたむろする遺跡でお互い探し回る状況は却ってよくない。
離脱したならそれでいい。仲間と顔を合わせたというなら出口へ向かったかどうか確認して。
「あなたにありがとうを云わないとわたしがただの礼儀知らずになるって。
――そ? 古傷ならいんだけど」
余計なお節介は焼かないのが吉だ。遠慮する声に喰い下がることなく呑み込んで。
それよりも、こう、俺の左手が疼くぜ…!的な黒歴史のアレだったら絶対に言及しない方がいい。
本心ではそのパターンは全力で掘り返したいところだけど、ここで不興を買ったら死活問題となり得ると判断してぐっと堪え。
「人には色んな事情があるよね!」
爽やかに笑って流すことにした。
そして、こきこきっと首を鳴らすと気を取り直すようにして。
「さて、ほいじゃ行くか…!
ってか……そのー……大変恐縮なのですがー……わたくし一人ではちょっと、大分、やばいんで……少々ご同行願いたい所存でして……」
いかがだろうか?とここで断られたら次に泣き落としに入るしかないな、とそこまで考えながら伺うように仰ぎ見て尋ね。