2023/10/26 のログ
ご案内:「無名遺跡」に肉檻さんが現れました。
■肉檻 > 迷宮の如く入り組んだ名も無き遺跡の一角、魔物の気配も少ない開けた場所を、煌々と照らす炎の明かり。
パチパチと薪の爆ぜる音を立てながら燃える焚火と、その傍らに設置された簡易的な寝床。
冒険者による野営の支度が整えられたその場所に、しかし人の気配は何処にも見つける事は出来なかった。
焚火の傍に置かれたままの荷物に混じって、其処に鎮座していたのは握り拳大程の大きさをした透き通る水晶玉がひとつ。
争いや襲撃の痕跡も無く、忽然と人の気配だけが消え去ったかのような奇怪なその場所で、
それは揺らめく炎の明かりを受けながら、物言わずにただ妖しげな煌めきを放ち続けていた。
■肉檻 > 焚火の傍に置かれた荷物は二人分。剣士と魔法使い、それも女二人組のものだろう。
若い女冒険者が魔物に襲われ巣へと連れ去られるケースは珍しく無いが、争いはおろか魔物が踏み入った痕跡すら無く、
荷物の傍には彼女達の得物である筈の剣と杖すらも置かれたままであった。
何の異常も無い、ごくありふれた冒険者達の野営の光景。
ただその当事者達が居ない事と、焚火の傍らに転がる妖しげな水晶玉を除いては―――
もしもその光景に疑問を抱き、近付いて調べようとする者が居たならば気付く事が出来ようか。
汚れや罅のひとつも無く、反対側の風景を歪曲させながら映し続ける透き通った水晶玉。
しかし其れを翳して間近から覗き込もうとしたならば、その先に映る筈の遺跡の風景は何処にも無く、
グロテスクに蠕動する肉色の空間と、其処に捕らえられた二人の女冒険者の姿を映し出す事に―――
■肉檻 > しかし、そのような者が現れる事は無く。
薪をくべる者の居ない炎はやがて消え、置き去られた荷物は遠くない内に知能のある魔物が持ち去って行く事となるだろう。
そうなれば、後は暗闇の片隅に転がっただけの水晶玉は誰の目にも留まる事は無く、
その内に捕らえられた哀れな二人の女冒険者が解放されるのは、遠い先の出来事となるのだった―――
ご案内:「無名遺跡」から肉檻さんが去りました。