遥か古代、有史以前より存在すると言われる名もなき遺跡。九頭龍山脈の麓に存在している。
中は迷宮のようになっており、魔物も潜んでおり危険である。
しかしながら、古代の財宝や「魔導機械」なども大量に存在するため、遺跡を潜る者たちが後を立たない。
実は古くから魔族がこの遺跡に住みついており、遺跡を改造している。
そのため、卑猥な仕掛けの罠などが大量に存在し、触手などの魔物も数多く放たれている。
これらのトラップにハマってしまえば、散々な凌辱を受けることは間違いないだろう。
ここに潜んでいる魔族は一人だけではなく、総数がどれくらいかなどは不明である。
※ダンジョンなどとしてお使いください。色々な仕掛けが施されたようなダンジョンを想定しています。
内部の構造などはご自由に想像してくれて構いません。
参加者(0):ROM(1)
Time:20:48:45 更新
ご案内:「無名遺跡 浅層」からシロナさんが去りました。
■シロナ > 加速方法
1 ローラーダッシュ
2 空気噴出系加速
3 電磁力系加速
4 ワイヤーアンカー
5 ジェット噴出
6 重力操作系 [1d6+0→1+(+0)=1]
■シロナ > 魔導機械 足甲能力
1 加速系能力
2 飛行系能力
3 物理系射出系能力
4 バリア
5 重力操作
6 エネルギー系放射能力 [1d6+0→1+(+0)=1]
ご案内:「無名遺跡 浅層」から影時さんが去りました。
■シロナ > 足甲詳細
1 マジックアイテム 魔法発動型
2 マジックアイテム 能力増強型
3 マジックアイテム 属性付与型
4 魔道機械 機械的能力増強型
5 魔道機械 魔法再現型
6 魔道機械 機械的特殊能力付与型 [1d6+0→6+(+0)=6]
■シロナ > 「はーい。」
こう、貴族様の悪口言ったら不敬罪。
そのくらいは分かっているし、だから、先生の言葉にうん、と頷いて。
先生の教育上手は理解しているから、それに同意して見せて。
「成程……。
格闘家は、むしろ……っ!」
先生の言葉、格闘家と聞けば、目が輝く。
まあ、武術家として、そこは興味がわくのは仕方がないだろうし。
それで大けがするが、だから、危ないのだろう。
「クロねーちゃんは、淫魔が濃いから。
ふつうに、淫魔そのものの姿だし、能力も。
鑑定……か。」
確かに、鑑定が必要だ、見たところ足甲だ。
自分も体術は、投げと蹴りが中心だからこそ、これは嬉しい。
流石に、魔力があるかどうか、は分かる、価値は、判る。
竜としてのそれがあるから。
ただ、詳細はやはり、鑑定が必要なのだろう。
師匠とともに、ダッシュで逃げ帰るのだった。
その後、正座の後説教&シロナにはお仕置き、が待っていた―――
■影時 > 「おっと。表でそう言っちゃァいけないぜ?」
一応と前置きするでもなく、親御様から大事な子供を預かっているのが、教師であり講師である。
響く言の葉に、クと喉を鳴らしては、笑い声交じりに一応は釘を刺しておこう。
監督責任やら何やらを言われ出すと、それはそれはもう、返す言葉の有り無しを探すところから始めないといけなくなる。
雨が降っても戦う時は戦わないといけない、と教えるのだって、時期と塩梅を考えないと面倒が過ぎる。
誰も彼もが冒険者になるわけではない。騎士や兵士になるものも居る。
そうした者達のやる気、気持ちを見て、可能な限りを教えるのだ。
雨天の凌ぎ方、濡れた靴の対処の仕方。それらを実際に教えるのが難しい時は、座学。
「……――いやいや。魔法じゃなくてな、体術使いも居るンだよなあ。
それも奇妙な位に動きのキレが良い奴。もしかすると名のある奴が、この辺りで果てて骨になったのかねェ」
それがな、と。覆面越しからも分かる位に、心底面倒そうな顔つきをしながらぼやく。
戦う術は武器の有り無しに限らない。その身一つを武器と成すまで鍛えた使い手が、骸骨兵として使役される場合がある。
余分な肉も何もかもを削ぎ落とし、軽くなった極限の骨身が速さを以て、侵入者を打ちのめす。
その情景を見た時、思わず目が点になった程だ。
復活させられたものが若しかしたら、この階層で闊歩していると考えると、非常に厄介だ。
純粋な暴力が速度の二文字のみで、敵を叩きのめしてくる情景はまさに悪夢めいていて。
「だ、な。……クロナお嬢様かぁ。あンま話したことはないが、飛びぬけ過ぎてるような感じがするな。
さて。思わぬ戦果というか、土産だな。
帰って鑑定してもらうか。俺が持つより、お前さんが使う方がきっと良い類だろうよ」
かの一族の家に出入りし、子女の悉くの顔を覚えてはいるが、話す機会に恵まれない、少ない子も居る。
確か、と聞こえる名と顔を思い出しつつ、竜というにはどこか違う有様を思い返すのだ。
それはきっと、淫魔という在り方の方が強く出ている、と呼ぶべきだろうか。
そう考えながら、見つけたものを手慣れた仕草で拡げた風呂敷に包み、腰裏の雑嚢へと放り込んでゆく。
短剣は自分が引き取っても良いし、売り払っても良い。
脚甲の一揃いについては、自分よりもきっとこのお嬢様が使う方が一番無理がない。そう見立てる。
強いマジックアイテムの類か、それとも精巧な魔導機械のいずれか。
いずれにしても鑑定し、正体を突き止めてから最終的な使い方を見出せばいいだろう。
そう考えながら、この先に続く順路を見定め、地上を目指そう。
己が付いていながら、うっかりこの階層まで落ちてきた責については、二人揃って正座でもしながら説教を受けよう――。
■シロナ > 「あー。お貴族様とか。」
トゥルネソルはその辺りは緩いというか、むしろ風邪ひく方が悪いとかいうかもしれない。
妹のルミスに至っては、騎士志望だし、水の竜だ、雨は喜ぶ方だ。
後、オルテンシアも雨の日がテンション爆上がりするとかなんとか。
まあ、こう、その辺りを気にするのは、プリシアとか、くらいだろうか。
気にするのは主に、シロナだけど。
ま、基本先生は家庭教師だし。
学校の先生ではなく、リスはあれだから、任せたら本気で任せきりにする。
その代わり、任せるに足るかどうかは、凄くチェックするけれど。
「無手のやつ……ぁあ。魔法を使うから、か。
とりあえず、早く撤退しないと、ね。」
そうだ、魔物だから人間の様に魔道発動のための道具が必要とは限らない。
見てもわからないから、怖いのだ、と、頷いて見せた。
一番怖いのが、無手に関しては、シロナは魔法と言う認識をする。
その辺りはやはり、人竜ゆえの、自分の防御力を無意識に信頼しきっているのかもしれない。
「でしょう?
まあ、クロねーちゃんのように、あれだけ全開でとは出来ないよ。」
もともと、淫魔としての覚醒は後からだから。
姉のように生まれつきの淫魔ではないので、こう、自分が淫魔だ―と言うのは、エロいことをするとき以外は言いたくない。
特に、冒険者とか、そういう場合だと、特に。
冒険者が色恋で崩れるとかよくあるし、それで、淫魔だから何かしたんだろとか言いがかりを受けても仕方ない。
シロナは、戦士ギルドに所属してるから、警戒の重要度は学んでいる。
誰だって、無防備なままで居たくはないのだと。
そして宝箱を開ける間、かちゃかちゃ、と言う音がして。
宝箱が開いた。
とはいえ、今は、シロナは警戒中だ。
声がかかるまでは、安全を優先する必要があるので、シロナはただ、周囲を見回していた。
■影時 > 出てくる中身を、改める。
少しの古びた金貨と正体の知れぬ水薬の瓶が、いくつか。それは良い。これ位なら、そう珍しいことではない。
最終的に問題になるのは、武器防具の類が出てきたときである。
二つの宝箱を開けて、出てきたのは二つ。
一つは短剣。これ自体はそう珍しくはない。年代こそあれ、普通の出来のいい短剣。
もう一つは打撃用。よくあるメイスやハンマーではない。双つ揃った脚甲、グリーブ等とも呼べる蹴り、踏み抜き用の格闘武器。
(これは……)
後者については詳細に鑑定が必要ではあるが、手にした段階で何となくとも感じるものがある。秘められた魔力の気配だ。
■影時 > 「雇い主殿はあンま言わないと思うが、どこの土地でも居るものなのさ。
……我が子の可愛さ余って、みてぇな御仁はね。真っ当かどうかは程度と次第にもよるだろうがね」
教育の観点で、この辺りの塩梅は難しい。
騎士の家の育ちなら、そもそもそういう理解はあると思うだろうが、お貴族様は家にもよる。
雨天でも決行すると予め周知しておいても、いざ風邪を引いた時にあれやこれやと突き上げてくる事例の多さよ。
それらを嫌がって教師の職を辞する事例は資料を紐解くまでもなく、学院では存外多そうだ。
教える方も、多少なりとも気を遣う。
雨続きの時期は屋内、またや屋根付きの場を貴族や王族クラスに既に取られている――というのは、割とある。
「そうそう、先ずは持ち物で察しをつけられる。
さっき倒した羽根持ちも、弓や槍を持ってくることもあるからなぁ……無手の奴が一番怖い。
奥に行くと、もっと大所帯で出てくることもある。
今回はあれだ。入口にの方に逆に向かっているからかもしれねェなあ」
骸骨含め、人型の魔物の良いところでもあり、恐ろしいところである。
持ち物から凡その系統、タイプに見当をつけられる反面、諸々整ってない状態で相対を強いられた際が一番怖い。
一番不気味なのは、偶に。時たま、何も持っていないように見える骸骨が闊歩している時だ。
骨身にまで技が染み込んだ格闘家かもしれないし、杖が要らないほどに術を極めた稀代の魔術師かもしれない。
もっとこれが大勢で来た場合、それが一番なりふり構っていられなくなる。
使い時を選んでいる忍術、或いは火薬、力を秘めた忍具等々。そういった道具の消費も止むを得ない。
「確かに。……ふーむ、その意味でもあれか。シロナ、お前さんと組む奴は口が堅いのも必要かもしれん。
ん?ああ、宝箱だ。家令長殿への土産ついでにいいかもな、……――と」
淫魔と聴いて、いい顔をする人間がいるやら、いないやら。考えだすと苦笑が滲む。
教え子がそういうものだからと、その時点で毛嫌いはしない。否定する理由は己の中にはない。
人となりは実際に見て見極める。己と同じスタンスを他に求めた際にどうなるか、が徒党を組む際の問題だろう。
そう思いつつも、見つけた宝箱に向かう。
不意の突入だったとはいえ、せめて手土産はあるに越したことはない。
独りの時は分身を出すか、肩上に陣取る毛玉達が警戒をしてくれる。
今のこの場合なら、察しが良い彼女はあれやこれやと言わずとも、どうすればいいかを弁えてくれている。
宝箱に仕掛けられた罠は――幸か不幸か、そこまで厄介ではない。
鍵開け道具を広げ、注意しながらも手慣れた手つきで開錠して、出てくる中身はというと。
【形状判定(2d6)⇒1:剣/刀 2:短剣/短刀 3:槍/斧 4:打撃 5:射撃 6:棒/杖】 [2d6+0→2+4+(+0)=6]
■シロナ > 「……家はそう言うのだろうか……?」
なんか、言わなそうな気もするが、それはそれ、だ。
預かる方としては、気を回さないといけないのだろう。そんな風に考えれば、まあ此方が言うことはできない。
ただ、どんな状況下でも、しっかりとした授業を行ってくれるから、その手腕に任せたほうが良いのだろう。
経験豊富、と言うのは、経験のない自分からは、導き出せない答えや方策があるのだ、と。
知らないのに、文句を言うのは二流以下、では無いだろうか、と。
「少なくとも、持っているものである程度の把握はできるから。」
戦士は鎧を身に着けるし、重装。
魔術師は軽装で、魔法の発動具を持っている。
僧侶は、神の衣をまとう。
盗賊は軽装で、道具を持っている。
それだけでも、十分に対処が考えられる。
前にそう言っていたのを思い出して、ああ、と知識に納得と理解として定着する。
そして、それがモンスターだったとして。
見てわかるのか、判らないなら、判らないなりにどうすればいいのかと。
成程と、理解して頷いて。
「うわぁ……。」
ぐりぐり、ごりごり、と魔術師の骨が、じたばたしているが、そのままに動かなくなるのが見える。
なんかえぐいなぁ、と思うのだけど、これが、先生の戦闘の仕方、だ、と。
何もさせないままに、暗殺するのだ、と。
「あはは、まあ。
アタシもあまり使わない手段、だからさ。
淫魔だって言うのは前面に出せないし。」
そう、淫魔は、魔族だ。
この国は、魔族と戦っているし。
そんな中に、血筋とはいえ、それを大っぴらに見せられるわけでは無い。
それに、精霊と対峙するのは初めてだった。
竜眼で見て、出来ると感じたからしたのだし、と。
「後、せんせ?どしたの?」
先生の行き先を見ると、その先に、宝箱がある。
ああ、これは、トレジャーと言うやつであって。
それを解除するというのならば、シロナの役割は。
「周囲の警戒、だね。」
叔母のラファルとか、師匠ほどではないが。
警戒程度なら、出来るはずと、師匠の背中の前に立ち、周囲を見回す。
■影時 > 【お遊び判定/発見物(2d6)⇒1:良品/普通 2・3:高級品/業物 4・5:最高級品/大業物 6:マジックアイテムor魔導機械】 [2d6+0→1+6+(+0)=7]
■影時 > 「身体を冷やして風邪でも引かれると、色々面倒が多くてなぁ。
屋根がある訓練場も、此れは此れで奪い合いがあってな?」
常在戦場――の道理をこの国で説いて、受容されるのも時と場合による。
雨季、雨の季節ならばまだ良い。しかしまだこの時期だと、寒暖の変化が目まぐるしい。
生徒が風邪を引き、その責任やらどうたらを保護者などから突き上げられるのは、色々と始末が悪い。
屋内の訓練場も使えないような時なら、下手な運動よりも頭を使ってもらう方が有意義だ。
いけいけどんどん、猪突猛進ばかりが冒険でも戦争でもない。
――“こういう時、どうするか”の思考実験とて、存外馬鹿にならないものだ。
「こンな場所ならでは、という処もあってな。
移動している間もそうだが、遠くから動いている奴らを見つけて……音を立てずに観察する。
そうして得られる情報の有り無しってのは、存外馬鹿にならねェものだ」
歩いて移動ではなく、飛び石を渡るような移動を強いられる場合、順路が限られる。
ルートが限定されるならば、そこに魔物を巡回させれば、効率よく侵入者を排除できる――とは思うだろう。
だが、同時に考えなければならないのは、見通し、見晴らしの良さは敵味方関係なく働く。
可能な範囲で偵察、もしくは俯瞰して、手持ちの札を吟味して方策を練る余地が此処に産まれる。
例えば速攻。或いは敵の攻撃を一手防ぐか、出かかりを潰しながら攻めに転じる等々。
「旨いだろう?なに、旨くない?そりゃァ御尤も。よくしゃぶって果てるがいい」
例えば己の場合、詠唱もなく、或いは最低限にして術を発動できない敵なら、そこに速攻の余地がある。
まして、今右手に執り、突き立てる魔骸鋼石の刃は“魔導士殺し”となりうる魔刃だ。
詠唱器官たる口腔を潰し、屍人を駆動させる原動力が籠った頭部を破壊してしまえば、余計な被害は避けてしまえる。
残る厄介は精霊だ。此れは同じ刃か氣を篭めた刃、または忍術を行使する必要がある。
だが、それは己にとっての方策であり、今ここに同伴する人竜にはそうではない。何せ足手纏いなら――、
「……ちゅうちゅう吸っちまう、かぁ。その手は俺も思いつかなかったなァ……と」
吸精なんて技は、使ってこないのである。
迷宮によっては現れる淫魔の類が使ってくるそれに、冒険者が精も根も奪われ果て、死に至る。其れを精霊に使うとどうなるか。
こうなるのだ、と言わんばかりに玲瓏たる精霊体がほどけ、悲鳴宜しく軋むような響きを奏で、消えてゆく。
目を瞬かせつつしみじみと零し、鎧通しを引き抜く。
がらがらと屠った骸骨が崩れてゆく中、視界の端に捕らえるのは壁際に置かれたふたつの宝箱だ。
慣れた素振りで刃を収め、注意深くその箱の傍による。周囲に仕掛けられた罠の類は――なさそうだ。
■シロナ > 「はーい。
雨の日は、外使えないん、だ?」
雨の日は、雨の日だからこその訓練があると思っていた。いついかなる時も戦場になる。
雨だから襲わないとか、そういうことを考えないのが敵だし。
そう考えるなら、それでもいいか、と頷いて、みせて。
シロナは、物理的には飛びぬけている……方ではない、実は物理に寄りつつのバランス型。
体を鍛えたり、訓練しているから、物理に見えるのだ。
どっちかと言えば、プリシアとか、リーナ辺りが、物理に特化していると言って良いだろう。
「成程?」
初心者でも、足手まといではないという言葉に、目を丸くする。
でも、やりようがあるというなら、それに従う。
今は、プロの技や考え方をしっかり考えて、学んでいくようにしよう。
「ああ、確かに移動してるときは、放り出されているようにも見えるし。」
シロナは、理解する。
確かに、浮島から浮島への移動中は、魔力に包まれて中空を滑っていた。
それは、自分からも、向こうからも、しっかり見えるとの話に納得できた。
浮島に到着したところで、動き始める骨と何か。
「……風の魔法、精霊……。
ランクとしては……うん。」
構成されていく精霊魔法。
それを見るのはシロナの竜眼。
シロナは、にぃい、と笑って見せる。
そして、此方に向かって魔法として吐き出そうとしている。
精霊とは、魔力での存在だ。
シロナは、戦士で、人竜で、淫魔だ。
「もらう、よ!」
エナジードレイン、精を吸い取る、淫魔の魔力。
竜の眼で、風の魔法を散らしつつ、精霊の精を吸い取っていく。
風を震わせて、悲鳴のようなものを上げて逃げようとする、精霊。
シロナの全身に吸い込まれていく、徐々に、徐々に精霊の魔力の体が解かれて、吸い取られ、消えていき。
結末、何もできずにちゅるん、とシロナの中に吸い取られた。
■影時 > 「どういたしまして、だ。
……ふむ。この辺りの考え方を話し合う授業でも、外が使えない雨の日にでも考えてみるか」
役割分担の重要さ、有難みというのは、実際にやってみないことにはピンとくるまい。
だが、もし。今の事態を引き起こした罠を事前に察知出来たら、それは何か?
実例を踏まえて考え合う、話し合うというのは「兎に角仲間を組め」と言うより得心し易いことではないかとも思う。
トゥルネソル家の子供たちは、個々人で同じ竜でも種別が違う。気質が違う。
飛びぬけている子が居れば、そうでないタイプも多種多様だ。
誰かと補い、支え合うのは人のように生きるにしても、非常に重要なことではないだろうか。
――この領域のような、危険地帯を進むにしてもそう。
この忍びは魔法じみた術を覚えてはいるが、考えなしに振るうことを好まない。
使い手の気質、性格もあっても、単なる出し惜しみではない。使いどころを心得ているからだ。
「いんや。一人の時は一人の、二人の時は二人のやり方がある。
だが、いずれにしても重要なのは、如何にして戦う回数を減らし、敵が先手を取る可能性を無くすかだ」
足手纏いではない、と。先に頭を振って伝える。
己にとっての足手纏いとは、それこそ無力で戦いようもない護衛対象を独りで護れ、というような場合だ。
戦うチカラを持つなら、それは経験の多寡こそあれ、一口に足手纏いとは云えない。
つまりは考えて立ち回れ、ということ。会うもの遭うものを片端から倒すのが、迷宮歩きの賢い作法とは云えない。
この階層の怖さは、洞窟や迷路の中以上に開けた上からの急襲に警戒が要る点にもあるのだから。
「然り然り。故に天井が低い場所だと倦厭される弓の類を、此処に備えて持ち込む奴らも居るな。
……飛んでいる間に、下をよく見ておくことだ。
飛ばされている時に不思議と攻撃は受けんが、丸見えになるのは敵も味方もお互いに、ということになる」
魔力や竜力の消耗を抑える手段は、何があるだろうか。
回復薬を余分に持つのもいい。行き先が決まっているのなら、それに適した装備を持っていくのも、間違いではない。
唯一つの回答なんてない。どれこれもこれも正しくもあり、偶に外れることもある。
上下が短くも強力な、遊牧民好みの合成弓を持ち込んでいる冒険者も、この階層を巡る者には少なくない。
装備を回収し、移動しながらもこの階層での振る舞い方のアドバイスを述べつつ、転移の魔法陣を踏む。
上層に通じる経路では、これをあと二回くらいは踏むだろう。
この先に見えてくるのは、先程の広場よりは狭くとも壁で区切られた広間だ。
そこに屯するものを確かめる。不可思議な結晶が宙に浮かび、蠢く精霊体や、干乾びた魔導士らしいスケルトンの群れ。
「――先に魔導士の骨野郎から潰す! 精霊体の奴は、魔力を篭めて殴るなら砕ける!」
着地すれば、直ぐに動く。地を蹴る。
生きた気配を遅れて、今更ながらに認識したのだろう。カクカクと奇妙な動きで震える骨魔導士が杖を構える姿を認める。
頭蓋骨の口元が震え、痙攣するように詠唱を始めるような素振りに、右手を腰裏に遣る。
其処にある雑嚢の裏から引き抜く、水晶のように煌めく鎧通しの短刀を敵の口元に捻じ込む。
脳髄をかき回すような刺突は、同時に魔力を奪う素材の特性と相俟って、物理的にも魔力的にも詠唱を許さない。
次いで、硝子が響くような音を放ち、震える薄緑の精霊体は恐らく風の精霊なのだろう。
攻撃の予兆を、吸い込むような風の唸りと動きで感じさせる。
吸い込んだなら、吐き出すのは道理だが、その際起こる風は強風か、真空の刃か。