2023/09/04 のログ
■メイラ・ダンタリオ >
城塞都市アスピダ
エイコーンが増える事の他に厄介な部位がある
兵の純度 賊という不純物 濁りが消えていく度に、貌を見た覚えのある元騎士を泣き別れにさせる回数が増える。
国の中の敵を滅ぼすのなら、同じ土と水を喰った相手でも容赦はしない。
しかし、それが悪として反した気持ちすらない同じ床を踏んだ相手ともなれば
まとわりつく剣の血ですらもその粘度を感じ取れそうになる。
国に逆らう気概と理由が、王以外の糞のような奴輩のせいで行われている。
王に逆らったのではない 国に逆らったのではない 腐食部位に逆らったと言われたら
後に残るのは殺し合いでしかなかった。
雨雲が遠くに見える午後
灰色の雲が覆う中で山脈休息地
アスピダから出ずる者らを何度も責め立てる、メイラを含めたいくつかの団体が体を休める場所
メイラを含める、その背中についてきた狂気に浸された轡を並べる者らと、アスピダを攻略する複数
体を休めながらも、天幕や焚火の向こう側から荷を背負って訪れる者らが見える。
馬車を使い、歩荷を使い、途中から荷物や酒を手ずから抱えて来る者達。
全員が、浮かない貌 険しい顔をしている休息地の兵らを眺め、傷跡を消毒するための薬草や酒
食料に交代要員など アスピダの中での行き交いは増えつつある。
道中盗賊に狙われた様子を見せるものの、須らく殺した辺り、もはや間抜けはいない。
「任務ご苦労様 荷を狙う賊に人を狙う騎士 アスピダも混沌としてまいりましたわね。」
単純な賊に返り咲いて逃げるところか、利を得るために別行動を始めるのだから手に負えない。
メイラは全身を黒の甲冑姿 未だ血の匂いが消えていない中で、軽々と背中の巨剣を背負うままに、ふと目を向ける。
「―――イーヴィア?」
赤髪と体躯 間違えるはずが無い鍛冶屋の登場に、周りの反応もちらほらといく。
その名前が占めるところ それはメイラが身に着ける鎧が起因しているのは、当然だろう。
■イーヴィア・ヴァルケス > (――タナールの砦に赴いた事は在る
ハデグの戦場に従軍した事も在る
どちらも鍛冶師として、或いは今よりももっと、若かりし頃の傭兵として
戦場と言う物の空気は、多からずとも経験して来た心算だ
だが、此処は如何だ。 こんなにも兵の顔に、意気を感じられぬ戦場は久方ぶりだ
怖気づいて居る訳では無い、覚悟が無い訳では無い
ただ、此処で行われる戦いの遣る瀬無さに、心を削られて居るのだろうか
かつての同胞、其の意思無き屍を相手取ると言うのは
――其の心の内を、汲み取れぬ訳では無い。
重い空気の中を、己はゆっくりと歩き進む
王都からの補給商隊に混ざり、人込みの向こう、目指す姿を捕らえたならば
片手を掲げ、己が名を呼ぶ声へと応えよう
其の背には、一つの荷が背負われて居る。)
「――――よう、暫くぶりだ。
無事で何よりだが…、……余り、喜ばしい雰囲気じゃあ無さそうだな。」
(名を呼ばれた事で集まった周囲の視線には、余り気を留めぬ
将である女の前に近づけば、或いは何処かで
傍仕えの兵にでも、何用だと止められるかも知れないが
何れにしてもその場で、背負って居た荷物を下ろし。)
「御前さんの様子を聞いて見りゃあ、アスピダに根詰めてるって話だったからな
此の儘じゃ、何時帰って来るかも判りゃしない。 ……って、そんな事言われちまったらよ。」
(あくまで戦場で在る筈のこの場所に。 俺が足を運んだ方が早そうだった、と
そんな事を告げながら、降ろした背の荷鞄を、ぽんぽんと片掌で叩いて見せた
其れで、少なくとも女には、己が何の用向きで訪れたかは、判る筈だ
鍛冶屋で在る己が、運んで来るもの等一つしかあるまい
何せ――其れを望んだのは、他ならぬ、女自身なのだから)。
■メイラ・ダンタリオ >
戦場の空気
ピリついた 疲労した そして迷う空気
若い者同士が殺し合う者もいた。
メイラのような、大した者でもない 先駆するだけの暴れ者に信じてついてくる者らは
何も考えず 唯々 その黒い背中を追いかけ、敵を殺し続けるだけでいい。
王の為にと、ほかになにも示さず迷わず殺し続けるメイラに従うだけでいいと決めた者らは
その心に疲れを廻りの若い心程は見せないだろう。
―――だが、中年の 若手の 或いは且つての同じ同胞の
その首や臓腑を切り落とすという行動は悪意の謀反とは違い、何とも後味が悪い
そうほかの者らは覚悟していても、そういった気持ちを示す。
向こう側がクシフォス・ガウルスを信じて戦う顔の力が、余りにも強烈なのかもしれない。
腐れた騎士のほうが、まだふてぶてしいだろう。
イーヴィアの周囲を見た眼をメイラが眺め、目が合わさればギザ歯は三日月を描く。
「変化があったのだから当然ですわ
明確な敵と思えていない 可愛げがあって危ういものですこと。」
メイラからしてみれば、こちらに剣を向けるということは王に逆らうということ
須らく敵に変わる。 敵と味方という面が転がり、入れ替わればその通りになる。
物わかりの良い答えは、迷いの無さを示すようで 周囲に比べ死の匂いの濃さもまた違うだろう。
「しばらく王都に滞在していた糞みたいな理由がありましたのよ。
その無駄な時間の分だけ、この身を捧げなければ王に申し訳が立ちませんわ。」
クスクスと笑い、少し空気は変わるだろうか
補給部隊と友人の登場 周りはメイラとイーヴィアのやり取りを眺めながら、補給の酒を口にし
身に憑かれたなにかを祓い落しつつも、その荷とやらに視線は注がれる。
「完成しましたのね アスピダの本格化を予測してお願いしたものの、ごめんなさいな。
わたくしもすっかり逢瀬の機会がありませんでしたもの。」
両手を合わせ、ウィンクを添えたギザ歯の笑み。
アスピダ根詰めている以上、いつ帰ってくるかわからないなどと言った誰かの言葉は正しい。
誰かがそろそろ一度休めと言わない限り、メイラはアスピダに居たことだろう。
背中の巨剣を抜いて地面に突き刺す、その剛力。
身を軽くした状態で、黒真銀の鎧に包まれたまま目の前の荷と対面することになろうか。
「―――これで、わたくしはいよいよアスピダを終わらせる意思が整いますわ。」
メイラというそれが 珍しく見せる物欲
人材ならば幾つも手を差し伸べるものの、これという物体を待ち望んでいたことなどあまりないだろう。
■イーヴィア・ヴァルケス > (精神的な迷いは、表に現れやすい
表に表さず内に留める者は、例え迷いを抱えて居ても、一流の兵だ
だが、僅かな空気が幾つも積もれば、其れは明確さを増す物
決して劣勢とは言うまい。 少なくとも、この女が此処に健在である限りは
だが、戦況の膠着は、停滞は、意気と言う物を少しずつ削いで行く
――そう言う意味でも、矢張り。
己が足を運んだのは間違いでは無かったと、そう、感じた。)
「其の時にゃあ、生憎まだ間に合わなくてな。
いや、こっちも大分待たせちまって悪かった。
本当なら、戦局が動き出す前に渡せれば良かったんだがなァ。」
(――妥協は出来なかった。 する心算も無かった。
だが、結果的に引き渡しが、こんな状況になって仕舞った事は
寧ろ女よりも、此方が頭を下げるべき所だろう
荷を解きながら、相手の謝罪は首を振って否定しては
荷袋の中から、一抱えの木箱を取り出して、女の前へと運ぶ
丁度、人の頭を収められる程度の大きさ
首級でも狩って来たのかと、僅か訝しむ者が居たやも知れぬ
その蓋に手を掛け、開けば。 その中身を女の目前へと差し出そう。)
「――――……そうなる事を願ってるぜ。
御前さんにとって此れが、足りなかった最後の破片になる事を、な。」
(――女の掌が、その中身に手を掛け、持ち上げれば
きっと、周囲の幾人かは息を呑んだ筈だ
女の、人の首にも似た、其れは――けれど
美しき、彫刻芸術の様な女の顔が基礎となって居るにも拘らず
大きく裂けた口元に、乱杭歯に並ぶ幾つもの牙を持ち
其の額に、縦に割れた三眼を携える――異形極まる、其の形状
誰もが、先ず、其れが兜で在る等と認識する事は出来なかっただろう
魔物の首、人の首、そう言ったおぞましい作品物と感じた物の方が多い筈だ
正しく、其れを兜だと認識出来た者はきっと
目の前の女の他に、もし、存在するとしたら――相当に、狂って居る。)
「御前さんが気に入るか。 まぁ、先ずは…確かめて貰おうじゃねぇか。」
(寸法や装着感に関しては、もう、今更語るまでも無い。
女の為に、女の為だけに創り出された其れは
――余りにも。 余りにも――この鍛冶屋の正気を疑われかねない程の
鮮烈な印象を、見た者へと、与える事になるか)。
■メイラ・ダンタリオ >
戦場で引き渡す
二人には初めての出来事
鎧も そして手渡すことは叶わなかった見当違いの剣も
全ては鍜治場での秘め事 二人だけの楽しい出来事だった。
それを周囲に人がいる中、それでも関係ない
これは公開アピールではなく 今はメイラはイーヴィアにしか意識を注いでいない。
遅れに対する抗議はなく、互いで謝っている。
本来貴族に受け渡す代物なら守るべきところを守り、納品するもの。
その遅れをなんら否とは思わない辺り、だ。
メイラ・ダンタリオは
イーヴィア・ヴァルケスに
大幅な信頼を寄せている
という、それになる。
メイラの黒く包まれた十指が、木箱から出されたそれを浮かせる。
二人は兜の形状や意味
最初のテーマから大きく外れて完成したものは異形そのもの。
乱杭歯は外側に反り返り、異国を思わせる顔立ちの女型貌が彫り込んである。
閉じた姿は歪な笑み 狂気的に香る代物である黒い兜。
額にのみ赤い煌めきが暗く埋め込まれている。
嵌め込んだだけではなく、瞼の中にあるというかのような縦筋の瞳のよう。
その両側は目暗のように、その赤がないせいで眼球無しの空洞を思わせながら
瞼はひらき、いつでも迎え入れる用意ができているかのようになっていた。
まるでむしり取られたばかりの眼窟のようだ。
「他人とは思えませんわね。」
面と向かい合い、一言述べる。
こんなもの、身に付けたいものか
身に憑けられてしまうのではないか そう見える。
周囲は呪いの兜のようなそれを一瞥し、軽く回してイーヴィアに向かせたのなら
開閉部位である上顎を上げ、ガチンとトラバサミのように一度掛かりができると
それをスルリと黒髪の上から被ろうか。
鼻筋の高さで下顎が来る。
視界は口の中からというところだろう
上顎を撫でると、バチンッとまるで食いちぎるかのように裏返る沿った乱杭歯が返って来た。
掛かりから外れると、強烈な戻りがあるようだ。
―――その衝撃か 普段の戦場での唯一な装いであるメイラの一条の三つ編み
裏返らせて尾と付け根を結んだ畳みがブツンとほどけ、尾を垂らす。
そしてその尾ですら千切れ解け、バサリと普段のウルトラロングの髪が兜の内側から伸びて
長々と出ずるようにマントの外側を覆ったことだろうか。
牙の向こう側 赤い瞳がキロリとイーヴィアを眺める。
視野は口の中だというのに妙にクリアだ
無数穴か、透かしているかのように視野が広い。
兜の構造上 下顎の部位が鼻筋の高さ故 兜の上顎は背丈をやや増やす。
「―――…、…。」
視界を確認するように、己の左右の五指を そして周囲を見る
やや背丈が太くなったメイラの表情は、目線を合わせるのは兜の瞳か
それとも口の中か 狂気的に歪んだ女の笑みの兜を纏う黒真銀の甲冑は、その背中に延びる独特な
身幅のある尾刃を一度ジャラリと揺らめかせる。
「《これの銘は?》」
兜越しの声色 やや篭って響く声で聴きながら、地面に突き刺した巨剣擬き
巨人の槍の穂先を再び、背中へと納めるだろうか。
■イーヴィア・ヴァルケス > (兜の中には、普通では加えられない細かな仕込みが鏤められて居る
頭部を完全に覆う形の兜では、防御力と引き換えに通常は視野角を失う
一般的な造りでは精々、正面を見据える事が精一杯で在ろう
されど、鎧に無数の、傍からでは判らぬ程に細かな穴を空ける事で
兜の向こう側を透かして見通せるように加工した
普段、兜無しで戦いに参加している女の、其の戦闘感覚を損なわぬ為に
兜が寧ろ、女の足枷となって仕舞わぬ様に
今回に限っては少なくとも、何かと引き換えに何かを得るのでは、意味が無いのだ。)
「――――"黒い母" 王国の其れとは違う、異教の女神から肖った。
……大いなる母でありながら、破壊神。 御前さんにも、ぴったりだと思ってな。」
(カーリー・マー ――王国の言葉に直せば、黒き母、或いは黒き聖母
母性を象徴するような印象の、その名前とは裏腹に
元となった女神は、其の宗教における"繋ぎ止める事の出来ぬ"破壊神
母たる女の、怒りと狂気の化身、象徴たる存在――其れが、カーリー
女の神が流れ、重力に従い堕ちれば、兜の隙間から揺れる髪糸が、より一層
兜の面相に人の顔立ちを想起させる。 ――他でも無い、メイラ・ダンタリオ、其の人を
異形の牙の其の向こう、見えるのは狂気の瞳、魔性の紅
異形乍ら堅牢なる其の兜の、頭への収まり具合を確かめる、鍛冶屋としての最後の確認をしながら
用を無くした木箱に蓋を閉じ、自らの腰へと手を当てて。)
「化け物の相手だってなら、相応の化け物で相手をすりゃあいい。
……御前さんなら、"飲まれる"事も無いだろうよ。」
(地面に一度置いた荷鞄を拾い上げる
まだ、他にも荷物が入っている、重そうな其れを事も無げに背負えば。
其処でようやく、一度、周囲を見回してから、何も無礼はしないと言う主張の様に
両掌を一度、肩の上まで掲げて見せた。)
「―――……アスピダの連中と、どっちが本物か。
……今回は、特等席で見せて貰うぜ。 折角足を運んだついでに、な。」
■メイラ・ダンタリオ >
周囲の目線がある中で、メイラは全身黒づくめ 牙まで黒いそれ
裏返り、歯の付け根と付け根では嚙みちぎることはできないだろう歯列なのに
その異形さに拍車をかけた兜から、今にも生暖かい吐息が漏れそうに思える。
その兜をかぶり、衝撃で髪が開けてまるで一体化しかたのような姿のまま
その姿を眺め、兜の緩みがないか、視野の高さは想定通りか
それを確かめた上で、視線の幾先も確認し合う。
それらが終わると、メイラと合わさった黒い兜は、黒い鎧と馴染むかのようにそこにはあった。
「黒い母…、…強ちわたくしのように思えます事。」
クスクスと笑むメイラの瞳すら、まるで歪んで見える兜の内側
カリリッ、と並ぶ外側に反り返った牙を黒い爪先がなぞりながら、化け物には化け物で行くべきだなどと。
そんな事柄、もはや脱げているときからやれている。
これからの苛烈さに対し、更に掛けたい言葉なのだろう。
呑まれないだろうという言葉には、この兜自体も、ささやかななにかがあるようだ。
武器自体は無骨そのもののメイラの装い 鎧は尾がひとりでに跳ね、メイラの精神に作用する。
でかく大胆にではなく、引き立たせる程度の小さな出来事をいくつか添えたものながら
その程度がダンタリオには丁度いい。
兜もおそらく、今のメイラを引き立たせるなにかがあるのだろうと
余計な出来事ではないと端から信じている様子だった。
「我が王に対して誓いましょう わたくしは必ずクシフォス・ガウルスを追い詰める。
この手に掛けれなくてもいい 首級なんぞくれてやる
わたくしは唯! この世界の創造神ですらも認めさせる程に!
―――あの御方の為だけに、この剣を捧げたのだと!」
メイラの狂気的な笑みが、瞳が、声色を珍しく強めている
高揚した体は鎧が肥し、尾刃がギュラリと周囲の地面の青い葉をパンッと薙いだ。
「それを見ていなさいなイーヴィア。」
その声に対し、周囲の悲し気だったあの空気がはじけ飛ぶ
メイラが強引に飛ばした。
同胞を殺めた空気から、今はもういない先王が、いずれ旅立つ地の底で
膝を折り、傅き、目の前でメイラが先王から褒美の言葉を賜るとき
その時同じ戦列にいることができるのならと、非現実的でどこまでも強く願うメイラに圧倒される。
高揚からか、鎧から零れた熱が兜の口から白い吐息を吐き出して、その額の赤い眼が
ただの宝玉だというのに、イーヴィアを一瞥したかのように見えたのだった。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からイーヴィア・ヴァルケスさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にドロレスさんが現れました。