2023/08/24 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」」にボスさんが現れました。
■ボス > いつからこの都市にいたのか。
黒衣の男はそこにあるのが当然とばかりに兵器庫にいた。
兵器庫とはいうものの、倉庫の横壁を破壊して大きな入口が作られた、ただ雨露を凌ぐための簡素なもの。
男はずらりと並んだエイコーンを面白そうに眺める。風が吹き抜けるような音に聞こえるものは魔導機兵から響く呪詛だ。
戦場では指向性をもって向けられる怨念は、格納されている今も僅かに漏れ出している。
「これはまた、高濃度の人蟲を集めてきたな。どれだけの外道をしてきたのやら」
男の口調に非難する響きはない。むしろ感心したように顎に手をあてた。
人形は男を敵とはみなしていない――あるいは存在を感知できていないのか、静かに唸っている。
「……面白い玩具を作るものだ」
地下の方に何かあるようだ、というのはしかるべき力を有しこの場にいれば誰でもわかることだ。
だが、観劇に行く前に芝居の筋書きを読む無粋はしない。
やや俯き加減にくつくつと笑う。次の幕で何が見れるのか楽しみで堪らない、といった様相。
この街に信仰を持つ者はどれだけいるのだろう。男が顕在できる以上、必ず存在する。
あるいは――神を憎む者。男の存在は、神への強い感情の結実だ。
■ボス > 男は紫煙を吐き出すと黒い騎士へと浴びせる。
ぎ、と鈍く動いたような気がした。
「誰か来るかと思ったが……」
低密度とはいえ、エイコーンは怨念を放出している。無用の接近は精神に悪影響を与えるため禁じられているようだ。
右を見て、左を見て。黒衣の男は兵器庫を出てどこかへと向かっていった。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」」からボスさんが去りました。