2023/07/29 のログ
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にシャイナーさんが現れました。
■シャイナー > 血の旅団の主要戦力たる暁天騎士団……その指揮官クシフォス・ガウルスの台頭は王国軍が優勢と思われていた趨勢を容易に覆した。
険しい山間部に設けられた堅牢な守備力を誇るアスピダは王国軍の大体的な包囲網の中でも変わらず戦線を維持できるだけの設備と戦力を有している。
単なる烏合の衆と侮るなかれ、単なる叛徒と侮るなかれ。
血の旅団にはとるにたらぬ荒くれの寄せ集めではない。名うての騎士や歴戦の勇士も連なっている。
それぞれの思惑までは知らないが、生死を共にする戦力であるならば無粋な詮索など必要ない。
そんなアスピダの上空、不可視の障壁で遮られた曇天をおどろおどろしい屍竜と共に駆け抜けてアスピダへ易々と進入を実現したのは真紅の鎧に身を包む一人の女騎士風情。
「シャイナー、帰投完了。状況は?」
錆びては使いものにならぬとよく磨かれて整えられた細身の剣の刃光を煌かせながら、そっと鞘に納めて屍竜から速やかに降下する。
アスピダ駐在の兵士たちに、黒ずんだクマだらけの瞳を向ければ、戦況の報告や城内から逃げ遅れた民間人や王国軍について報告を受ける。
「…………チッ……」
いくら自らが仇なす王国に属する臣民と言えど、無抵抗の存在が慰み者となり、強制労働を強いられている様には不快感を覚える。
奪われるもののさだめなれど、こんなものの為だけに先王より旧い時代から磨き続けた武勇を振るっているのではない。
アスピダの遥か高くから、己が掻き乱していた戦場を見下ろせば、未だ怒号や断末魔が繰り返し響き渡っている。
「遊びすぎないように。……迎撃を続けていると言えば聞こえはいい。
だけど、先日持ち帰られた噂が真実ならば……こんなものは王国軍の時間稼ぎに付き合わされているだけと言わざるを得ない」
腕を組み、深刻な表情で言い放つ真紅の装いに身を包む女。
王国への内偵を進めていたものの報告では、流石に王国もこの膠着状態を打破すべく秘密裏に計画を進めているとされる。
武人として、陸と空から王国軍をかく乱し、数多の兵を殺め続けるばかりの女だったが、その戦況に酔いしれる程の戦一辺倒の愚か者でもない。
■シャイナー > 見下ろす戦場では、同胞たちと王国軍の熾烈な退けあいがなおも続いている。
数人の兵士に牽引された、一際大きな攻城兵器や魔導機械らしき不可思議な兵器。
アスピダの設備を遺憾なく活用した後方からの援護射撃がなおも王国軍を寄せ付けまいと轟音を繰り返す。
「…………」
見覚えのある旗。見覚えのある鎧。かつては自らがあの軍の一員として、最前線で兵を率いていた事もあったか。
だが、あまりに色褪せてしまった遠い記憶に心を揺り動かされる事もない。
そんな事もあったな と想起するだけで、自らの思い出であり遺したものである王国軍の兵達を切り捨てる事に
微塵の躊躇さえ感じなくなってしまった。
理想を共にしたかつての戦友たち。道を違え、冥府へいち早く招かれ、汚泥を煮詰めたような腹黒い成金風情に
貶められ……無数の朋友が過去へ消えていった。
もはやあの王国に自らを鈍らせる思い出はない。それらを切り捨てる中で、瞳の輝きはおろか色さえも失って久しい。
「忌々しい亡霊にとり憑かれた有象無象ども。穢れた王城で眺めているがいい。
……あなた達病毒を等しく灼き払い、土へ還して必ず”わたし達”のものだった王国を取り戻してみせる。
あなた達愚か者が奪っていったものを返してもらう」
ぎゅ と鞘に納めたままの剣の柄を握りしめ、散っていく同胞や王国兵士の姿を見下ろす女は独り、零す。
王国への底知れぬ妄執に燃えて刃を向けるに至った己の激情の正体を知る者はアスピダには存在しない。
民を恐怖させ、苦しめる……本来はこの手で斬り捨てるべき存在に与してまで王国に牙を剥く理由……
それは己一人だけが片時も忘れず、心に刻んでいればよい。
■シャイナー > 地上の眺めていると、後方から駆け寄ってくる旧知の朋友。
自らについてきて「血の旅団」に名を連ねた一人が、自らを探していたようで安堵の笑みを浮かべながら近づけば「準備が整った」と。
「ご苦労。露払いが必要なのでしょう、わたしが向かう」
はるばる報告に訪れた朋友の肩にそっと手を置き、朋友から「武運を」と静かに告げられればこくり と頷いて屍竜のもとへ。
地を蹴って勢いよく鞍へ飛び乗り、鐙へ爪先を乗せれば、騎竜の馬銜に繋いだ手綱を引いて飛翔を指示して飛び立っていく。
無数の火煙で薄暗く曇った空のもとを駆け抜けて、アスピダの対地強襲部隊に合流。
そのまま先陣を切って地上へと進んでいけば…………
■シャイナー > ―――……マグ、メェェェェェルッ!!!!―――
■シャイナー > 凄まじい殺気を込めた、女の叫びと共に勢いよく地上へ降下。
王国の旗の下に集った斬り捨てるべき敵を空から蹂躙し、散り散りになったところを地上の兵達がまとめて轢き潰すのを見届ければ再び空へ舞う―――
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からシャイナーさんが去りました。