2025/02/10 のログ
■ザイヴァー > ドラグーンは首筋を撫でられれば「きゅいい~」と心地よさそうに鳴くだろう。
中々、女性に撫でられることなど少なく、こういう肌触りはくすぐったいやら気持ちいやらの様だ。
相手からの賞賛の言葉には。ムズかゆそうに頬を掻きつつ。
「ティアフェルさんか。はは、まあ。鍛えてないといざという時、国民の剣や盾になれないからな」
そう言いながら、頭を下げる相手には。
「ああ、俺も幸運だったよ。こうやって君の危ういところを助けることができた」
本当に幸運だったのだろう。もし、今日自分が山脈のパトロールに出ていなかったら?
そう考えると……まあ、そういうIFは、考えないようにしよう。
「ところで、冒険者で、この山脈に登ってるってことは……何か、仕事かな?
狼は追っ払ったとはいえ、今日これ以上の仕事はやめておいた方がいい」
そう狼から逃げていたことに心配しつつも、心配していることはそれだけではない。
ザイヴァーは「山賊に対するパトロール」を行っていたのだ。
つまり……変な道に迷って、彼女が山賊に襲われたら?
まあ、冒険者稼業、よくあることかもしれないが……心配は心配。
「もし、君さえよかったら、俺も君の仕事を手伝うか、それともこのままドラグーンに乗せて帰ることもできるが?」
まあ、最終的に決めるのはティアフェル自身。自分は提案するだけだ。
「俺の事は心配しなくていい。これくらい命令違反のうちに入らんからな」
その命令を下すのが自分なのだから、違反も何も無いのだ。
■ティアフェル > 「やー、この子かわい~」
わっしゃんわっしゃん、と鳴き声に気を良くして撫で追加。
犬以外の動物はドラゴンに至るまでなんでも好きだ。
触れた竜の表皮はしっかりした鱗であったが構わず愛で愛でしておく。
「ティアでいいっす。――んー、それは確かにね。でも国民として頼もしい限りだわ」
頬を搔きながらの返答ににこ、と笑って頼りになる、と今しがた頼った分際では多いに評価するのである。
「ほんと、マジ死ぬかと思われた……こんな偶然もあるもんね。ザイヴァーさんはこの辺良く巡回してるの?」
この寒空を寒風を真面に受けて本当にご苦労なことだとしみじみと腕組みしながら。
「うん、冒険者がこんなところうろついてる理由と云えば、まあ十中八九依頼ですよ。狼は怖いが……稼がねばなのですよ……生活かかってますんで……」
よした方がいいと忠告いただいたが、ここまで来ておめおめと手ぶらで帰還しては飯の食い上げ。
山賊は正味そんな心配してない。ここいらは山賊街道なんてあるんだから、そりゃあ出るでしょうねえと覚悟は決まってる。それより狼の方が怖い。
「……え? でも、お仕事中、じゃないの……? 一般市民に構ってて本当に大丈、夫……?
大したお礼もできないけど……」
帰投する意思は薄いので、同行してくれるというなら何せ本当に狼も怖いのでお願いしたいところではあるが、そこまで厄介になってもいいものか逡巡したようにアホ毛も悩むように揺れ。
■ザイヴァー > 「ティアか、わかった。そう呼ぼう……そうだな……」
ティアにこの空域をよく飛びかと問われれば。一瞬反応を考えるも。
「今日この空域を飛んだのは、偶然も偶然だな……だから、ある意味君は運が良かったね」
まあ、嘘をついても仕方がない。正直に答えてしまおう。
狼どもと追いかけっこしたのは運がなかったが、その果てに駆け付けられたのだ。
それを幸運と言わず何と言おう。
そして、手ぶらじゃ帰れませんというオーラを醸し出す相手には、フムフムと少し頷き。
「まあ、そうだろうな……うむ、なら俺も手伝おう。なに、君はヒーラー、後衛職だ。前衛のボディガードを手に入れたと思えばいい」
そう言いながらも、一般市民云々という相手には、安心させるよう優しく笑み。
「何を言うんだい? まあ、巡回も仕事の内だが、その一般市民を守る事こそ兵の本分だよ」
今は兵士ザイヴァーだ。一般市民……まあ、相手は冒険者だが……を護衛するのも仕事の内だし、言葉に嘘はない。
とはいえ、下心の無い完璧な善意というのも怖いというのは理解している……ので。
「まあ、もし礼をしてくれるというのなら……今度、一緒に食事にでも行こうか?」
なんてな。と、しっかり下心はありますよとアピールして笑いつつ。
「まあ、全ての兵士がそうではないが……俺は、兵士一人で国民一人が守れるなら、それを仕事だと胸を張れるから、心配いらないさ」
そう、あくまで兵士として、こういう兵士でありたいという姿を見せるのが……
ティアに対する、助けた相手に対する、助けた側の誠意だと思い、そう言ってみせよう。
■ティアフェル > 普段からこの辺を見回っている訳ではないという答えに、おお、と軽く目を瞠って。
「あー。そうなんだ! じゃあわたしツイてたな。
偶然通りかかったイケメンさんに拾ってもらえて」
その上、お人よしと云われかねない感じの好青年である。
助けた礼にあれしろこれしろと吹っ掛けても来ない。これは自前ラックの勝利である。多分。
神様信じてないがありがとうとお伝えしたい。信じてないが。
「きゃー、いーの? めちゃ助かるー! やった、今日マジついてるかも! やー…ボディガードなんて、そんなもったいないくらいだけど」
多分ただの一兵卒などではなさそうな階級もちのような空気だ。有能が鎧来て歩いてるよう。
しかも人がいいと来ている。これを幸運という以外表現方法は存在しない。ばんざーいと無邪気に諸手を挙げて喜んで。――遠慮? そんなもったいないことはしない。
「兵士の鑑か! ていうか希少種! この国にまだそんな善人の塊みたいな兵士さんがいたとは……世の中捨てたもんじゃないってことを教えられたわ」
軍属である彼の方がようっく分かっているだろうが腐敗政治の賜物で兵士たちもゴロツキと変わらないような輩も多い。
彼の生真面目な言葉につくづく感心しきり。
「お食事? もちろん、そんなで良ければ今回の報酬でどーんと奢っちゃうぜ。……あ、平民地区限定ね?」
どーんと、と大風呂敷広げてから富裕階級の晩餐は期待しないでちょうだいと、釘を差して広げた風呂敷を早々に畳む小市民。
「あはは、それはわたしとしては随分助かるけど、上官が聞いたら怒らないかな?」
それと税金が足りないのでは、と思う。けれど多分自分に付き合ってくれるというのはボランティアに類するのだろう。恐縮はするものの厚意には積極的に乗っかっておく。
■ザイヴァー > 「はは。イケメンなどと……褒めても、水と保存食しか出せないぞ?」
自分をイケメンなどとおだてる相手には、くすぐったいやらの笑顔を浮かべつつ。
兵士の鏡か!なんて言われれば。
「ふ、そんな事は無い……と、言い切れないのが、悲しい物よな」
自分の部下すら、この山脈の山賊に賄賂をもらっている可能性があり、
そのせいで今ここにいる自分としては、何とも言い難い話である。
「まあ、あまりこの国の兵に……俺のような者が少ないとはいえ……あまり、落胆や失望はしないで欲しい。」
難しいだろうがな。なんて言うのが精いっぱいなのが悲しいところだ。
そして、食事OKと聞けば、まあ、嬉しくないわけはない。
「ふ、期待しているよ。だが、俺は肉食だぞ?」
沢山食べるぜ?がはは、なんて、慣れない笑い方をしつつも。
それが嬉しくないわけはないが……実現は難しい事も、理解している。
まあ、今は兵として振舞っているが……自分は将軍ではあるのだ。
……とはいえ、あえて将軍とバレても相手の反応を見るのも面白そうだな?
なんて思いつつ。
上官に起こられないか?と言われれば。
「大丈夫さ。怒られたら怒られた時。素直に殴られるさ」
まあ、自分を殴れるものが何人いるか。という話だが。
とりあえず、相手を手助けする、その方向でまとまったようだが……
「ところで、今回は何を目的に山に入ったんだ?」
冒険者の仕事というのはわかる。だが、その仕事の中身がまだわからない。
まさか、要人暗殺とか非合法な物ではないだろうが……
ともかく、手伝う内容が分からなければ、手伝いようがない。
……あとは。
「ほら、護身用には心もとないが……これを預けよう」
そう言って、見た目シンプルな……実際は豪邸一つ買える値段の……短剣を手渡そうと。
「今度、食事の時に返してくれればいい……また会う、約束の証のようなものだ」
■ティアフェル > 「水と食料が出るんだ……! お得!」
水と食料の為にも云いたい気持ちになる愚民。思わず目が輝いた。
鑑、と称賛したつもりではあるが……云われた方は少々微妙な反応である。
あー……と、心境をさっすると複雑そうな表情で眉を下げて。まあ、うん、ねえ…と口ごもった。
「ああ、それは大丈夫。ただ期待もしてないだけだけど……」
今さら腐敗政治の産物にがっかりしないけれど、どうせそんなもんだから別にという境地ではある。期待しないと軍人サイドにいうのは悪いけどね、と苦笑しながら。
「マジかー。二言はないよ、ただ――今回の依頼の報酬稼ぐのに苦労はさせるな」
命の恩人でもあるし奢るといった言葉を引っ込めるつもりこそないが、その為に今回手伝ってもらう依頼は一層気合入れねばならず、そうなると同行している彼の方もそれなりに骨が折れる結果になるかも知れない……礼が出来高制という理不尽な様相を呈す。
「ううむ……大変潔いが、殴られるって懲罰レベルだと棒打ちとかじゃ……イタイイタイ……」
考えるだけで痛い。シンプルに軍法違反だと刑罰レベルになるのではと心配にはなるが、あっさりと云っているので実際懸念するようなことはなさそうには思える。
「あ、えっとね……薬草の採取と……この奥の神木の状態が悪いらしくて……わたしの治癒、草木にも効くからそれを回復させに行くの」
メインは神木の回復で、薬草は道中の片手間に引き受けたもの。だけれど今回の報酬でごちそうすることになれば予定していたよりも多種多量に採取して帰らねばならないだろう。
そう答えた後で、高価そうな短剣を差し出されればきょとん、と目を丸くして、
「え? いやいやいやいや、そんな……大事なものなんじゃないの…? なくしたりしたら大変だし……約束ならほら、指切りで! げんまんすればいいよ、ね?」
おいそれと受け取ってよさそうにも思えず慌てて小指を出して適えばそれで指切りげんまんしておくのだが。
それが難しければ相当恐縮しながらお借りしておくのだろう。
何にせよ、話はまとまったところでさらに山奥へ分け入り。狼がもしまた湧けば「ぎゃー」と叫んで彼の後ろに隠れて盾にしながら進んで行くのである――
■ザイヴァー > 「はは、まあ、君に無茶な支出を強いるつもりは無いさ」
食べるとしてもほどほどにするよ、と笑いかけつつ。
「ほう、薬草と……神木の治療か」
確かに、この当たりにご神木がある……ような話を聞いたような、聞かなかったような気がする。
なるほど、木々を治癒できるのは素晴らしい能力だ。
「なるほどな、その治癒能力、見させてもらうよ……まあ、薬草は俺も採取しよう。ま、手伝いついでだ」
そう言いつつ、自分を前に歩き始めれば……
「そうか?ま、指切りでもいいが……」
短刀を返されれば多少残念に思いつつ。
狼は切り伏せ、薬草は刈り取り、ご神木の治療を拝見し……
そして、共に王都に帰還すれば。
「ざ、ザイヴァー閣下!」
と、兵士たちが慌てふためき、もしかしたら彼女も、慌てふためくのだろうか……?
ともあれ、二人は無事に王都へ帰還できたのでした。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からザイヴァーさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からティアフェルさんが去りました。