2025/01/12 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に宿儺さんが現れました。
■宿儺 >
街道にて一騒動。
王都へと急ぐ荷馬車が一輪。野党からの襲撃を受ける。
交易商も傭兵を雇ってはいたものの、略奪に慣れた山賊達のほうが一枚上手。
早々に尻を捲りて逃げ果てれば、残された荷馬車を山賊は我が物顔で物色しはじめる。
高く太い木々の上からそれを見下ろしていた、山を住処とする鬼は、それを待っていた。
■宿儺 >
都合の仔細はわからぬが、人間には二種類がいるらしい。
殺して、咎められる者。
殺しても、咎められぬ者。
本来は人間の文化圏においてはもう少し細やかな分類もあるのだろうが、
とりあえず『人間を襲う人間』は後者であるらしい。
文字通り、蜘蛛の子散らす有様。
突如襲いかかってきた屈強な鬼に、山賊達は為すすべなく──というよりも、
この地に巣食う竜喰らいの鬼の話は伝え聞くところだったのか、一目散、荷馬車を置いて散り散りに逃げ出していた。
「手に武器を持ちながら尻を捲くるとは…まったく気概のない」
逃げ出す様を追いもせず、溜息一つ。
無理もない。連中は闘士ではなく略奪者。
闘争ではなく、金品のみが目的であり、命は惜しいという生業である。
どうせなら少しは抵抗を期待していた鬼としては拍子抜けであることに変わりもないが。
■宿儺 >
「喰らったところさして美味い肉でもあるまいな」
追う足はあれど、不味い肉に費やす時も勿体ない。
久しく人を喰らってはいないが、人の肉でなくとも腹は満たされる。
魔物、ドラゴン、野生の獣。
とりあえずこの山で喰いものに困ることはない。あとは…。
「ほほう、これは上物。山賊風情には勿体ない♡」
襲われた荷車から落ちた木箱の中には割れぬよう敷き詰められた藁の中に数本の酒瓶が見える。
そう、これだけは野生の地にて収穫することは出来ぬもの。
山賊さまさま、というわけであるが。
山を根城にする賊であれば後に塒を探し当ててやるのも一興。
より多くの略奪品がそこには眠るだろう、鬼にとって都合の良い調達先であった。
■宿儺 >
──とはいえ、人を喰らっていないかといえばそうでもない。
自身の塒…山中の洞窟を自ら尋ねる猛者──鬼の首を狙う賞金稼ぎどもとなれば、容赦なく叩き潰し、贄とする。
うら若き冒険者の娘や、血気に早った若者などは、犠牲にとなった者もいる。
女鬼にとって不可思議なのは、自身の首を狙うでなく捕らえようとする者もいることであるが…人の事情など理解るはずもない。
保存の効く食料品に、酒。
鬼にとっては僅かそれが手に入れば十分と、荷車は放置。
交易商が逃げている以上、そのうち王国軍だか、雇われた者だかが回収来るのだろう。
「…どれ、連中の塒でも探してやるとするか」
今日は気が乗ったため、そうすることにした。
早速酒瓶を煽り、酒精にその首と胸元を濡らしながら、鬱蒼とした山中へと脚を進める。
どうせの類は山中の天然洞窟なりを利用しているのだ。
山の中であれば、女鬼の庭のようなものである。
■宿儺 >
──山中にいくつか点在する、天然洞窟。
大体は山賊のアジトになっていたり、小鬼などの巣になっていたり、魔物の塒になっていたりと。
常人が近づくには危険な洞窟である。
最も鬼にとりては奪って自らの塒にし、
強力な魔物が巣食っているのでれば闘争の欲を満たすことが出来る。
どう転んでも問題のない場所となってはいる。
……小鬼の巣に関しては、若干の不潔さを感じるためモノによるのだが。
「ふーむ…手は入ってはいるが、抜け殻か…?」
人に近しい何者かが使用していれば、すぐに理解る。
小鬼、豚鬼、巨鬼などの人に近しい生活様式を持つ種の巣穴か。
人間が利用していれば、更に清潔に保たれていることが多いが、既に廃棄された場であればその限りでもない。
まぁ良いか、と松明も持たず、闇を見通す翠の瞳を頼りにその深部まで、踏み込んでゆくのだった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から宿儺さんが去りました。