2024/09/07 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」に淫堕仙人さんが現れました。
淫堕仙人 > さく、さく、と落ち葉や枯れ木が積もる獣道を気軽に歩む老僧じみた男が一人。
危険な魔物等もいるとも噂をされる山中を自由に歩き回れる存在は多くない。その中の一体が仙人だというだけの話。
雪駄が落ち葉や枝を踏みしめると、サク、と言う音とともに縦に切れていく落ち葉や枝。
竜の鱗を磨き、竜の牙の欠片をアイゼンの様に底に埋め込んだ代物。
不思議と地面を滑らず、落とし穴の様な洞穴に足を踏み入れてもふわり……と妙に時間をおいてから空中浮遊の姿勢を取って穴の奥へ気軽に降りる。

その老人は鼻の先に浮かぶ煙管の様な錬金窯。其処から煙をふかし自分の周囲を煙で覆っていた。
防護なのか、雑魚除けなのか。何かの意味はあるのだろうが説明するつもりもなさそうに。

「……腹も減ってきたかの。」

仙人でもある側面から無暗な殺生をしない。
山の恵みを口にして、時に川などの水源に出れば水の恵みを得る。
それでも自然と空腹感は蓄積され、我慢の限度が近くなれば釣り糸を垂らしたりと言ったくらいのことはする。
最近は獣もすっかりと鳴りを潜め、向かってくる野生の獣がいなかった。
気軽に老いた細い指先が近くの蔦を掴み取り、小枝を束ね自分の鼻先にある錬金窯へ。
サイズを無視して飲み込み――煙が薄れ、その代わりというように少しの時間を経て老人の手には釣り竿が握られていた。

淫堕仙人 > 次は水源を探す。順番が違うのは本人も知ってか知らずか、竿をしならせ、元が植物とは思えぬほどに重量感としなりが両立した黒漆塗りの釣り竿。
釣り糸は火竜の髭の残り火でも使ったのか奇妙な艶めきとその無茶苦茶な竿の強度についていき、意思を持つかのように釣り竿にくるくると自ら巻き付いて無駄な苦労を所有者にかけまいとしていた。
釣り竿の出来と釣り糸の出来に満足そうにうなずき、けれど腹がなってから水源を探し求める。

風水と言うよりも地脈、龍脈に通じた直感と仙人となって身についた第六感の上をいく閃きに足を任せ、足取りは急斜面でもまるで苦にせず。
水のせせらぎ、川魚が好物とする水面に浮かぶ水藻の甘い香り。
木々のざわめき、魔物や動物の遠吠えにまぎれそうになる水のせせらぎを耳が逃さず、確実に水の流れがある場所へとその歩みは進んでいく。

「ほいっと。」

がけ下に水場が見える。踵だけを崖の斜面、わずかな勾配に付けるような風情で崖の斜面を滑り降りていく。
目指すえさ場までは後僅か。